誰でも、早く手軽に熟成酒を造れる。一級品の国産銘木を利活用した「#酒ハック」の誕生秘話。
酒ハックプロジェクト(所在地:静岡県浜松市、代表:種石 健一)は、2023年4月30日から38日間、クラウドファンディングプラットホーム「Makuake」にて、誰でも手軽にお酒を熟成できる銘木・ボトルセット「#酒ハック」の応援購入募集を実施しました。最短半日で熟成酒を味わえるようになる本商品には、特性や味、香りの異なる国産銘木を使用。日本の森に想いを馳せながら、オリジナルのお酒をお楽しみいただけます。
お酒好きのためのプロダクト開発に加え、日本の林業を振興するきっかけを作ることを目的に立ち上げた本プロジェクト。「#酒ハック」の銘木の一部には、間伐材や高級家具を制作する際に出る端材を使用することにしました。これまでやむなく廃棄されてしまっていた良質な木材の新たな活用方法を見出すきっかけになればと考えています。
本プロジェクトには多数の支援をいただき、クラウドファンディング開始からほんの2分で目標応援総額を達成。5日には支援額1,000万円を突破し、最終的な応援購入総額は2,200万円超、サポーター数は2,069名にも上りました。多くの方にご支援いただいた本プロジェクトがどのように立ち上げられ、そしてこれからどこに向かっていくのか。「#酒ハック」の裏側にある物語をご紹介します。
酒ハックプロジェクト 代表:種石 健一
地元静岡の銘木を使ってものづくりをしてみたい
「#酒ハック」の開発は、趣味のキャンプで焚き火をしていた際の気づきをきっかけに始まりました。火にくべるために流木や落ちている枝を集めていたところ、その中にとても良い香りのする木があったのです。ふと「お酒に合いそうな香りだ」と感じたことから、お酒に絡めて地元静岡の木を使ったプロジェクトを立ち上げられるのではないかと考えるようになりました。
ただその一方で、家具を製作する過程では、商品の形や木の節の関係で使うことができない端材が出てしまいます。銘木の品質は一級品であるにもかかわらず、そのまま捨ててしまうのはもったいない。何か銘木を材料の一部とした商品を作ることはできないだろうか。そんな思いを巡らせていた時にふと思い出したのが、お酒をつくる過程で木を用いることです。もともと私自身がお酒好きだったこともあり、ウイスキーやワインなどの熟成過程で、木の樽にお酒を保存することで木の味や香りを移す手法が気になっていました。ここから着想を得て、天竜の木材とお酒をコラボさせた商品の開発をすることに決めました。
現在、私は独立してプロダクトデザイナーとして活動していますが、それ以前は10年ほど精密機械や半導体を手がけるメーカーでものづくりに携わっていました。会社員時代から「世の中をワクワクさせるような商品を自分で作りたい」という想いを抱いていたため、銘木のアイデアを思いついた時は胸が踊りました。
金属やハイテク機器を使用するようなプロダクトを個人で開発するには、どうしてもコストが膨らんでしまいます。その点、木材を中心に活用したものであれば、初期投資を抑えながら開発が可能です。アイデア次第でイニシャルコストの問題をクリアできると感じたことも、開発を決断する後押しになりました。
熟成を”早く”、”お手軽に”楽しめる商品を
開発にあたっては、お酒にあまり詳しくない方にも木の味や香りを手軽に楽しんでいただけるようなプロダクトの完成を目指しました。実はすでに、木の味や香りをお酒に移して楽しめるような商品自体は世に出回っています。しかし、長期間漬けこまなければ木の味や香りが移りにくかったり、お酒が容器から漏れてしまったりと課題が多いのも事実でした。そこで、熟成を”より早く”、そして誰もが”お手軽に”楽しめるような工夫が求められていると感じていたのです。
まず取り組んだのは、木の味や香りをより早く実感できるよう、漬ける木の面積を従来のものから3倍ほどに拡大することでした。銘木がお酒に接する面積を広くすれば、お酒に木の味や香りが移りやすくなります。また、銘木に焦げ目を入れる「焼き処理」を施し、木の味や香りを引き立たせ、より味わいの変化がわかりやすくなるようにしました。
他にも、中のお酒が容器から漏れないようボトルの素材にはガラスを採用。容器が透明であることにより、容器から中身を取り出すことなく、熟成過程の変化を見るという楽しみ方をしたり、インテリアとして飾ったりしていただけるようになりました。
「#酒ハック」の魅力は、味や香りを楽しむことができる木の種類が幅広いことにあります。
さまざまな味や香りをお楽しみいただけるよう、銘木には「ミズナラ・樺・栗・天竜杉・天竜ヒノキ・桜・カエデ」の7種類の銘木を入れることに。
樽でお酒を熟成するという一般的な製法では、用いられる木材に、保存容器としての役割が求められます。味や香りではなく容器としての堅牢性を考慮した上で木の種類を選ぶ必要があるため、香りづけできる木の種類は限定的になってしまうのです。「#酒ハック」であれば、ボトルに銘木を漬け込む方式をとっているため、そうしたしがらみなく美味しさだけを追求した木材選びができました。
自分の樽でオリジナルのお酒を作ることは、お酒愛好家なら誰しも一度は考えること。しかし、樽の購入や長期にわたるお酒の熟成は、いくらお酒が好きといってもハードルが高いといえます。だからこそ、誰でも簡単にできる「#酒ハック」ではそうした課題を解決できるよう最大限配慮しました。
銘木の選出に何十種類の木を試す日々
銘木の選出にあたって、さまざまな木を使って試行錯誤をしました。これまでに樽や熟成時に使われていた木材を使えばもちろん美味しい。しかし、「#酒ハック」だからこそできるお酒づくりには、これまで目をつけてこられなかった個性的な木材の存在が必要不可欠だと感じていました。
そのため、何十種類もの木でお酒を熟成させ、味わいを確かめました。「どの木を使えばお酒が美味しくなるのか」「どれほどの焼き加減であれば香り高くなるのか」を吟味し、一つの木についてもトライアンドエラーを繰り返すため、かなりの時間と労力を費やしましています。数ヶ月かけ、ようやく納得のいく銘木と焼き加減の組み合わせが見つかりました。
その後は周囲の方々に試飲していただく機会を設け、フィードバックをもらうことに。
「#酒ハック」で初めてお酒の熟成に挑戦される方もいることを想定すると、味や香りに偏りのないラインナップにしなければなりません。多くの方に試飲いただき、意見をもらったことで、幅広い層の方に楽しんでいただける商品になりました。
誰でも手軽に熟成酒が楽しめる「#酒ハック」が完成
周囲の方々の協力もあって、誰でも手軽に樽熟成酒を楽しめる「#酒ハック」キットが完成しました。自分で焼き上げをしたい方向けに「ホワイトモデル」を用意し、焼き加減も含めてオリジナルのお酒づくりをお楽しみいただけるようにもしました。アウトドアシーンでお使いいただくことも想定し、ソフトケースをセットにしてクラウドファンディングに臨みました。
開始2分で目標突破、応援総額は2,200万円を超える大ヒット商品に
初めてのクラウドファンディング実施だったことから手探りの部分も多くありましたが、いざ蓋を開けてみると、プロジェクト開始から2分ほどで目標金額を達成。予想以上に反響が大きく驚きました。最終的な支援総額は2,200万円を超え、支援者数も2,000名以上に。想像以上の発注数になったことで、材料の確保や銘木の製造に奔走しています。
ここまで大きな反響をいただいたのは、プロダクトの品質はもちろんのことですが、クラウドファンディング開始にあたってPRにも力を入れたことが大きかったと思います。YouTuberの方々にリリースを開始するタイミングでコラボレーションしていただいたことで、多くの方に本プロジェクトについて知っていただけたほか、PR TIMESでのプレスリリース配信も反響の大きさにつながった一つの要因だと考えています。
支援者の方々からは、実際に銘木を漬け込んでみてお酒の味わいが変わり、美味しさを実感できたというお声をたくさんいただきました。反響の大きさもあり、これまでの過程は間違いではなかったのだと、嬉しさと達成感を噛みしめています。
「#酒ハック」第二弾、一般販売も計画中
今後は、「#酒ハック」第二弾として新しい種類の銘木を採用する予定です。ももやみかんといった、これまでお酒の熟成には使われてこなかった果樹の木で銘木を作ることに挑戦してみたいと考えているため、果樹園とのコラボレーションも計画しています。果樹栽培では、ある程度年数が経つと新しい品種の木に植え替えする必要が生じますが、現状ではその際に抜いた木はすべて産業廃棄物となってしまっています。そうした木を再活用することで、美味しいお酒を作りたいと考えています。
他にも、酒造メーカーで破棄された樽の木を再利用するプロジェクトなど、日本全国の事業者の方々と協力して、木材活用プロジェクトを日本中に広げていこうと考えています。豊かな森林を保全し、廃棄物の削減や関連する産業を振興するため、「#酒ハック」の活動に協力していただける方はぜひご連絡ください。
なお、今回のクラウドファンディングの反響を受け、「#酒ハック」の一般販売を2023年晩秋を目処に計画しています。居酒屋やバーでお使いいただき、そのお店独自のお酒をブレンドしてもらうなど、新たなお酒の楽しみ方が広がっていくことを期待しています。ゆくゆくは「#酒ハック」のユーザー様を中心に、オリジナルのお酒をシェアするコミュニティを形成する構想もあります。
「#酒ハック」は、これからも木とお酒を中心に、あたたかみのある明日を描いていきます。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ