女性建築家ならではの視点で、銀座三越というハイブランドに適した“三方よし”の店舗をデザイン! イタリアンレストラン「Italiana Tavola D’oro 1996」
イタリアンレストラン「Italiana Tavola D’oro 1996」
「クライアントの価値創造への貢献」「プロフェッショナルの生涯価値の向上」を事業コンセプトとする、クリーク・アンド・リバー社(C&R社)の建築グループでは、そのコンセプトを体現する活動の一つとして、建築プロデュース事業を展開しています。同社に登録した設計事務所、建築士などと建築プロジェクトの的確なマッチングを図り、双方の価値を最大限高めるという取り組みです。
その取り組みの中で今回ご紹介するのは、2019年2月、東京の銀座三越11階レストランフロアにオープンしたイタリアンレストラン「Italiana Tavola D’oro 1996」。本物件を担当した建築デザイナーの笠原英里子氏とC&R社建築グループの松葉力氏に、本プロジェクトの経緯と成果を聞きました。
初の百貨店出店でプロへの依頼に変更
施主のメティウスフーズは、東京都内のオフィスエリアに、ビジネスパーソン向けのイタリアンレストランを展開している企業です。代表の松澤俊氏は料理人出身であるが、内装への関心が高く、自らデザイン・ディレクションを行っています。しかし、女性客が大半という客層が異なる銀座三越への出店が決まり、初のケースとして建築デザイナーの選定をC&R社が担うこととなりました。決め手は「優れたクリエイターが多数登録している点」と松葉氏。
既成概念にとらわれたくないという施主からは、細かなデザインに関する要望はほぼなく、生産者にこだわる〝山、海、畑〞の〝三方よし〞という店のコンセプトを伝えられただけでした。そこで、松葉氏は、ブライダル施設やアパレルショップなど、女性向けの空間設計の実績が豊富な笠原 英里子氏を含むタイプの異なる3名を選びました。一方、施主側も独自で3社のデザイン会社に提案を要請し、合計4社の提案から選ぶこととなりました。
オープンなつくりと柔らかい雰囲気
笠原氏は、メティウスフーズの従来の路線を踏襲した案、〝三方よし〞を色で表現した案など3つの提案を用意。採用案は、入り口部分にピザ窯を囲むカタチで大きなカーブのカウンター席を設けた、オープンなつくり。壁や床に木を多用し、温かく柔らかい雰囲気を演出した。本デザインのポイントについて笠原氏は次のように説明します。
「店はフロアの最奥部、しかも手前側に大きな防火扉があって入り口が視認されづらい。女性は一人でも入りやすい、安心できる店を選ぶもの。そこで、店内が見えやすく、オープンで明るい雰囲気をつくることを狙いました。」
コンセプトの〝三方よし〞は、壁面に三角形をあしらって表現。基本的な素材は木や石など、自然の物だけで構成し、良質な天然食材にこだわる店のコンセプトに呼応させました。
“三方よし”をコンセプトとした三角形のデザインテーマにより、間接照明をちりばめた温かく奥行きのある空間が実現
選考の際に支持されていたのは、笠原氏のデザインとは別のデザインでした。別案は黒を基調としたデザインで、スタッフに人気があったそうです。別案で決定しかかったとき、迷った松澤氏は再度銀座三越の前テナントであるイタリアンレストランに足を運びました。そこで、改めて女性客が中心であることを再確認し、笠原氏の案のほうを採用することになりました。
本プロジェクトでは、百貨店側の意向も聞き入れる必要性が生じ、C&R社が工事管理に関する様々な交渉も担当しました。営業時間外を使った施工のため、通常の路面店に比べて倍近い工期を要したが、予定どおりに工事は完了。オープン直後から来店客の入りは好調で、施主や銀座三越側からも上々の評価が寄せられています。
「C&R社さんとは、今回が初めての仕事でした。デザインは自分一人で行いますが、途中で誰かの意見が欲しくなるもの。そんな時に中立的な立場で参考意見やアドバイスをもらえ、とても助かりました。」と、笠原氏は今回の仕事を振り返り、プロデュース事業のメリットを語ってくださいました。
<クライアントの声>
株式会社メティウスフーズ
代表取締役 松澤 俊(まつざわ・しゅん)
C&R社が持つ設計事務所との幅広いネットワークが魅力的でした。依頼に際しては、当社初の百貨店への出店ということで、あえて内装デザインに関する細かな要望は申し上げませんでした。結果、各社からまったく異なる案が出され、その中から笠原さんの案に決めたわけですが、自分では考えられなかった女性客向きのデザインは大正解。売上計画をかなり高めに設定していますが、おかげさまでそれをクリアするペースです。また、C&R社さんには百貨店との間に立ってもらい、様々な交渉、アドバイスをしてもらえたことも大きかったです。
C&R社はその幅広いネットワークを活用して、店舗の立地や客層に合わせて、柔軟で斬新な企画を提案してくれるので、非常に頼もしく感じています。今後も、一緒に事業を発展させていきたいと考えています。
物件概要
所在地/東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越11階
施主/株式会社メティウスフーズ
竣工/2019年2月
企画・プロデュース/株式会社クリーク・アンド・リバー社
撮影/Nacása & Partners Inc.(店舗)、内海明啓(人物)
PROFILE
笠原 英里子(かさはら・えりこ)
1989年、桑沢デザイン研究所スペースデザイン科卒業後、近藤康夫デザイン事務所入社。
99年、カサハラデザインワーク設立。
2007年、株式会社カサハラデザインワークとして法人化。
イテリアデザインをメインに、建築、プロダクトなど、人とモノ、人と人とのかかわりを考える空間デザインを手がけている。
松葉 力(まつば・ちから)
1991年、芝浦工業大学大学院修士課程修了後、アトリエ系設計事務所、不動産会社等での建築やインテリアの設計業務経験と自らの設計事務所運営の経験を生かし、2015年からクリーク・アンド・リバー社で建築プロデュース事業に携わる。
「超建築VR」が新たな住宅販売スタイルの確立へ!
C&R社建築事業部は、展示場やモデルルームを使わずに、VR空間でハウスメーカーや工務店などが顧客に住宅をプレゼン・販売できる「超建築VR」を開発し、このたび、VR(仮想現実)空間内において住宅の設計から営業、販売まで全てをオンラインで完結できる住宅展示販売プラットフォーム「VR建築展示場(XR EXPO)」の住宅事業者向けのサービス提供をスタートいたしました。
「VR建築展示場」は、消費者の皆さまには実際の住宅展示場の見学からモデルハウスの内覧、住宅事業者との打ち合わせ、購入にいたるまでのプロセスに限りなく近い体験を提供するVR住宅展示販売プラットフォームです。住宅事業者の皆さまは、VR空間内で住宅設計から営業、販売までを全てオンラインで完結することが可能です。販売者・購入者・設計者それぞれにメリットをもたらす、新しい建築販売スタイルの確立を目指していまいります。
「CREATIVE RESIDENCE🄬」シリーズに続いて「超建築VR」「VR建築展示場」と、C&R社建築グループの挑戦はまだまだ続きます。その他の取り組みや開発秘話は後日公開予定。乞うご期待!
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