小江戸川越の菓子屋横丁の小さなパン屋・川越ベーカリー楽楽のリブランディング。「小江戸の和パン」ブランドマネージャーが語る「他では買えない自慢の和パン」に込めた思い
小江戸川越にある「菓子屋横丁」の小さなパン屋さん・川越べーカリー楽楽は、2023年7月、開店17年を迎えました。
国産小麦のパンの専門店である同店は、多くのメディアに取り上げられ、行列店として知られてきました。しかし、観光立地のため、コロナ禍による打撃が大きく、大変苦しい3年間を過ごしました。最初の緊急事態宣言では、新卒入社の新人社員がいきなり休職を余儀なくされ、毎年社員そろって北海道の小麦畑を訪ねる研修旅行も中止となり、我慢我慢の日々でした。そして今春、運営会社を合同会社楽楽に移行させました。
それをきっかけに、新たな出発として「小江戸の和パン」をテーマにリブランディングを行いました。
このストーリーでは、リブランディングに込めたこだわりと新商品の魅力をお伝えします。
和のテイストを強化し、プチ自慢にふさわしいコンセプトに
既存商品の一番人気は累計150万個を販売した「お味噌のパン」です。
他店で真似しても売れないと言われていました。
お味噌のパン北海道産小麦に餅粉と秩父味噌を配合したパンに、秩父味噌のクッキーをトッピングした素朴なおやつパン。開店当初から続けている1番商品。累計150万個の販売実績がある。
「面白いパンだから、うちでもやってみたんだけど全然売れないんだよね」といろんな方に言われたきたお味噌のパン。スイートブールのトッピングクッキーに味噌をあわせたこのパンが、爆発的な人気を博したのは、テレビ番組で紹介されたのがきっかけでした。以来、何度も改良を重ね、パンの質も味わいもレベルアップ。一見簡単そうに見えても、実は難しいパンに十年余りをかけてバージョンアップしてきました。
しかし、同じようなパンを作っても他店では売れないと言われるのは、技術的な話ではなく、川越という和の街だからこそ、和素材のパンが魅力的になるのではないだろうかと考えました。
川越の街にあり、和の世界観を持つ店であることが同店の強みの一つであると強く認識し、その強みを活かしたコンセプトこそ、ブランドになると確信して「小江戸の和パン」を打ち出しました。
地元のお客様なら、地元自慢、観光客なら、川越でおもしろいパンをみつけた自慢など、楽楽だからこそ買える商品を増やしてお客様がプチ自慢できるパン屋さんになりたいと思いました。
観光地に立地する川越ベーカリー楽楽ですが、もともとパン屋は地域に根差し、その土地で愛されるべきものという考えを持っています。
そこで開業当初に元々は仏教用語である「身土不二」という言葉をスローガンのひとつにあげてきた。「身土不二」とは、仏教以外に、マクロビオティックの世界でも用いられる用語で、食分野では『体と土とは一つである』とし、その地で育ったものを食べ、生活するのが健康によいとする考え方のことです。
その言葉をベースに、楽楽は、国産小麦のパンの専門店として国産小麦を使ったパンを展開してきました。しかし、国産小麦に加え、日本の食材を使用することが更に「身土不二」の考えを体現できると考え、味噌、醤油、酒粕、よもぎ、干し柿といった日本ならではの食材に着目。他では買えないオリジナリティの高いパンは、和の街川越の魅力と相まって、多くの人に愛されてきました。
今回のリブランディングは、こうした楽楽の強みを拡大化して、これまで以上に「和」のテイストを強化しようと考えられたものです。
地元のお客様なら、うちの地元にはこんなパンがあるよ。川越っぽいでしょと地元自慢ができ、観光客なら、和の街でパンを通した和の体験ができるという、他のパン屋さんではできないプチ自慢にふさわしいパンを世に出していこうというコンセプトです。
商品開発は製造社員全員で担当
リブランドを行う上で、最も大切にしたいと思ったのは、楽楽らしさです。
和素材のパン「和パン」も楽楽らしいと思えたからこそ選んだテーマでした。そして、次に私が選んだ楽楽らしさは「スタッフ」です。
楽楽ではいつもスタッフを主役にすることを考えてきました。営業してきた17年間は、どうしたらスタッフたちが仕事を楽しみ、ともに成長していけるかを考え続けた日々でもありました。本当に少しずつの進歩でしたし、大変な思いをさせたこともあったと思います。それでも一緒にコロナ禍を乗り越えてくれたスタッフたちの存在は、とても大きなものです。
そこで、今回のリブランドにあたり、商品開発は製造社員全員で担当することにしました。製造社員といっても、それぞれ経験年数が異なり、力量には差があるため、それぞれのスキルレベルに合わせたかたちで依頼しました。まだパン生地が仕込めないスタッフも、ほんのちょっとの具材のバランスにこだわり、一味加えることでおいしさを拡大させるなど、本当に一生懸命取り組んでくれました。また、パン生地から仕込むことができるスタッフは「和素材のパン」というだけで、一から案を出して、かたちにしてくれました。
塩和バターパンの開発担当者は、既存の塩バターロールのサイズを小さくして買いやすい価格にし、和の調味料をトッピングすると決めました。トッピングの一つに味噌を選び、ネギ味噌をイメージしましたが、味噌の味の出し方に苦労しました。どうしても味が濃く出て、塩辛くなってしまいます。そこで思い出したのが、楽楽の一番商品のお味噌のパンです。お味噌のパンは味噌を使った素朴なおやつパンです。味噌だから総菜系の味にしようと思っていましたが、お味噌のパンのように甘いスイーツにも味噌はあいます。そこで、味噌にはちみつをプラスして、スイーツパンに方向転換をすることにしました。その結果、軽い塩味にはちみつの甘さと味噌のコク、そしてバターの奥深い風味が加わり、これまでに食べたことのない塩バターロールが誕生しました。
やはり、ブランドの実行者は社員ですね。社員一人一人が、ブランドの趣旨や目的を理解して、行動してこそ、ブランドはつくられていくと実感することができました。
次世代のナショナルブレッドをめざして和パンを作り続けたい
パンは古代エジプトで生まれ、キリスト教の布教とともに世界に広まり、その国ごとの気候や風土にあわせて、その国独自のナショナルブレッドが生まれました。
日本でも戦国の世に鉄砲と一緒に伝来したと言われていますが、急速に広まったのは文明開化の明治維新以降で、日本人の嗜好に合わせたあんパンやクリームパン、カレーパンなどが生まれました。食パンが定着したのはもっと後のことで、戦後に給食でコッペパンや食パンなどが食べられるようになったことがきっかけと言われています。いつの時代も食文化は、とどまることなく更新されていくものです。私たちも、次世代の日本のナショナルブレッドを作るつもりで、和パンを作り続けていこうと思います。
和菓子?それともパン?栗の豆大福あんパンは秋限定!小江戸の和パンシリーズから秋の新作3種を9/22に新発売。
豆大福が大好きだから開発したという豆大福あんパンを秋の味にバージョンアップしました。
北海道産ゆめちから100%のパンに赤えんどう豆の塩煮を混ぜ込み、北海道産小豆100%のつぶあんと求肥、そして栗の甘露煮を1粒いれた贅沢で楽しいあんパンに仕上がっています。軽い塩味と甘さのコントラストに求肥の食感、更に栗と、次々に口の中においしさが広がって、和菓子ともパンともつかない楽しい食体験ができること間違いなしです。
栗の豆大福あんパン。赤えんどう豆の塩煮、つぶあん、求肥、栗の甘露煮の組み合わせで豆大福を食べているかのようなおいしさが自慢だ。
ほかに、わさびを使った塩バターロール「カリじゅわ塩和バター コンソメわさび」と「柚子こしょうのベーコンエピ」も新登場。甘くないパンもちょっとしたアレンジで和体験ができるようにしました。
これからお出かけが楽しい季節。秋の川越で食べる小江戸の和パンは、小江戸で日本を感じる秋の日にぴったりです。
柚子こしょうのベーコンエピ。巻き込んでバゲット型に焼くつもりが、ベーコンが見えたほうがおいしそうだというスタッフのアイデアでベーコンエピに。
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甘酒仕込みのりんごのカンパーニュ。水の代わりに麹甘酒100%で仕込んだ。煮リンゴをあわせ、自然な甘みが楽しめる。
カリじゅわ塩和バターパン 3兄弟。沖縄の塩、はちみつ味噌、コンソメわさび。
炙りサーモンと塩麹のフォカッチャと甘辛生姜とコリコリ軟骨つくねのフォカッチャ。
総菜パンも和を前面に。
川越ベーカリー楽楽について
埼玉県川越市の菓子屋横丁のベーカリー 川越ベーカリー楽楽 は、自家製醗酵種や国産小麦など、体に優しく安全な材料選びをを基本としています。川越産や埼玉県産などの地産食材や和食材にもこだわり、埼玉県秩父市の秩父味噌を使用した看板メニュー「お味噌のパン」や、予約が絶えない「絹のなめらかプレミアム食パン」など、様々なバリエーションのパンを販売しています。愛する川越の街に根ざし、自由な発想で日本の食材を使った日本のパンをつくり続ける。川越ベーカリー楽楽はそんなお店を目指しています。
川越ベーカリー楽楽
埼玉県川越市元町2-10-13
049-257-7200
8:00-17:00
会社概要
企業名:合同会社楽楽
設立:2021年11月26日
代表者:代表社員 上野 祐子
所在地:埼玉県川越市元町2-10-13
従業員数:17名(2023年9月現在)
http://www.bakery-rakuraku.com
本件に関するお問い合わせ先
川越ベーカリー楽楽 広報:上野 祐子
電話:090-1217-5787 メール:yuko@bakery-rakuraku.co
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