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添加することでプラスチックの自然分解を可能にする、欧州発の環境素材「lyfecycle(ライフサイクル)」が切り拓く、プラスチックと共存できる社会

著者: 株式会社ウエストワン


世界では今、プラスチックごみによる環境汚染が問題視されています。その解決方法は大きく分けると二つあり、1つは「プラスチックそのものの使用量を減らす」、例えばプラスチックに代わる木や紙などの代替材料へ転換すること、もう1つは「分解され、自然界に還るプラスチックを使用する」ことです。英国発テクノロジー企業が開発し、欧州を中心にさまざまな企業で採用されている新しい環境素材「lyfecycle(ライフサイクル)」は、プラスチック製品の製造段階で添加するだけで、これまで完全に分解することは難しいとされたプラスチックを生分解させる画期的製品、と注目を集めています。



(株)ウエストワンでは、環境素材の大型展示会などを通して、日本国内で「lyfecycle(ライフサイクル)」をご紹介しています。今回、マーケティング マネージャーの柴崎信子に話を聞きました。


  • 便利さの影に生態系や人体への脅威も。マイクロプラスチック問題の怖さとは

プラスチックを生分解(※1)させる注目素材、それが「lyfecycle(ライフサイクル)」(※2)なのですが、これは世界的な環境破壊問題となっているマイクロプラスチックの解決のために開発されたものです。まずはマイクロプラスチック問題とは何か、お伝えしていきたいと思います。



私たちが廃棄したプラスチックごみの中で、リサイクルや焼却しきれなかったものは、河川や海に流れ込みます。そしてそれは紫外線の影響や衝撃などを経て、マイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックとは、大きさが5㎜以下の微小なプラスチックのことを言いますが、微小と言っても分解はされず、何十年も地球上に残り続けます。そして、海洋生物の生態系の破壊という大きな問題を引き起こしています。海に棲む魚や貝類をはじめ、クジラなどの海洋哺乳類が、海水に混ざったマイクロプラスチックを取り込んで、海洋生物が死んでしまうこともあります。さらに、それらの生物が死に至らなくても、マイクロプラスチックが蓄積した魚介類などを私たちが口にし、結果として人への健康被害のリスクも指摘されています。このままいけば、2050年には、海に流れ込むプラスチックごみの量が海洋生物の数を上回るという予測もあります。


プラスチックという素材がここまで世界に普及したのは、プラスチックの持つメリットの多さにあると柴崎は指摘します。



  • わたしたちの日常生活はほとんど「プラスチック」で出来ている⁈ 

今でこそ悪者扱いをされているプラスチックですが、軽い、安い、用途が多い、大量に生産できるといったメリットがあり、日本だけでなく、石油化学工業が発達し始めた1950年代後半からの世界の発展に一役買ってきたことも事実です。耐久性に優れ、いろいろな形に加工しやすく、それゆえ今や私たちの生活に欠かせない存在とも言えます。


例えば朝食を食べるシーンを思い浮かべると、食パンの袋、袋の口の留め具、卵のケース、野菜を保存する袋…。和食の朝食シーンを思い浮かべると、冷凍ごはんはラップに包んであり、納豆のケース、海苔の袋、鮭を入れたトレー…生活のワンシーンを切り取っただけでも、プラスチックを100%排除するのはそう簡単ではないとわかります。実際に今でも全世界で毎年数億トンのプラスチックが作られてもいるのです。


  • ポイ捨てされたりリサイクル回収しきれないという問題に対して「分解する」という解決策

家電、食器、洗濯かご、ハンガー、ごみ袋、ペットボトルなど、私たちの生活の中にはプラスチックがあふれています。またペットボトルなどは、リサイクルシステムが確立されていますが、他方リサイクルしきれないプラスチックが非常に多いという現実もあります。

例えば、お菓子やパンなどを入れる袋は、商品の品質保持に優れている一方、ポイ捨てもされやすく、リサイクル回収しきれず残った袋が海へと流され、冒頭に述べたマイクロプラスチック問題となるわけです。環境を守るためにはプラスチックごみは減らしたい!でもプラスチックは必要でもあるという現実…。


そういった複雑にからみあった状況に向き合いながら、では、プラスチックとうまく付き合っていくにはどうしたらよいのか…。そこで発想を転換して生まれたのが「lyfecycle(ライフサイクル)」なのだそう。「必要とされるプラスチックはある、だから共存できるようにしたい!それならプラスチックが残らないように分解させればいい!」これが、この新素材開発の原点にある考え方なのです。



  • 環境を守りながらプラスチックと共存できる社会へ

従来のプラスチック製品は、分解されずにマイクロプラスチックとして残留してしまうことが問題でした。それなら、マイクロプラスチックを残さないプラスチック、使用後は、生分解(※1)され自然に還るプラスチックを!それを可能にしたのが、柴崎が所属する、ウエストワンが取り扱うマスターバッチ添加剤(※2)「lyfecycle(ライフサイクル)」です。

「注目していただきたいのは、「lyfecycle(ライフサイクル)」は添加剤ですので、今ある製品、例えば食品のテイクアウト容器、ポリ袋、化粧品容器などを製造する前に、2%加えるだけで生分解性を持たせることができるという点です。しかも想定使用年数が過ぎると分解が始まる仕組み、いわばタイマー機能付きで、製品使用後は最終的に水と二酸化炭素、そしてバイオマスに完全分解されるのです。この過程でマイクロプラスチックを残すということがありません。」



  • 生分解に至るまでには約2年、その間は放置するだけで、特別な設備や手間は不要

では「lyfecycle(ライフサイクル)」を添加したプラスチック製品がどのように生分解されるのかですが、その製品の想定使用年数(18~24か月)が来ると分解がスタートするよう設計されているので、使用中に分解が始まるといった心配はありませんし、何か、スイッチを押して分解を開始させる必要もありません。


柴崎によれば、分解のための設備、例えばコンポスト(ごみ処理機)も不要なのだそう。「屋外の一般的な土壌の上で分解します。埋め立てたり、コンポストする必要はありません。使い終わった製品の分解の第一段階は3~5か月で、この期間で固形だったプラスチックがトロっとしたワックス状に変化、その後は微生物の力を借りて、トータルで約2年で完全に分解されます」。実際に「lyfecycle(ライフサイクル)」を添加した製品を屋外で風化させた実験写真をみると、完全分解の様子がわかります。また、完全に分解されたかどうかは、BSI(英国規格協会)の規格に基づいて、第三者機関によって確認されています。



  • 今使っているプラスチック製品がそのまま使える&分解開始前ならリサイクルも可能

「成形前に2%のlyfecycleを添加するだけで良いので、成形方法も製造工程も変えずに今使っているプラスチック製品にそのまま使えます。さらに驚くべき点は、想定使用期間中(18~24か月)であれば、プラスチックとしてリサイクルも可能なのだそうです。「ほかのリサイクルプラスチックと合わせて再利用されれば、2%以下の添加割合となるため、分解が始まりません。従来のリサイクルシステムにも載せることが可能で、リサイクルの選択肢の幅も広いのです」。

  • 環境を汚さずプラスチックと共存する未来を作るために、「lyfecycle(ライフサイクル)」を世界中に広めたい

海外では既に導入がされており、台湾のコンビニのお弁当箱や、スポーツメーカーのショッピングバッグ、2022年の10月に開催された米・シカゴマラソンの水分補給用のプラカップなどの実績があります。日本では数社による各製品サンプルが作られ、現在は機関による検証段階となっています。プラスチックを100%なくすことは難しいのが現実、それなら完全排除ではなく、環境を汚さないで共存していける道を探るのはどうだろう?その未来をかなえる一歩は「lyfecycle(ライフサイクル)」が日本で、世界で広く認知されていくことだと、柴崎は考えます。



「『lyfecycle(ライフサイクル)』を通して、わたしたちが日常生活の中でプラスチックを安全にを使いながら、環境問題にもきちんと向き合いながら生きていく、そんな未来を作っていけたら」。株式会社ウエストワンは挑戦を続けていきます。



🔳lyfecycleについて

lyfecycle(ライフサイクル)」は環境先進国イギリスにおいて環境素材の分野で注目されるスタートアップ企業Polymateria社が開発したポリエチレンやポリプロピレンを生分解性に改質するマスターバッチ(※2)です。現在、イギリスをはじめとした欧州圏を中心に、台湾、マレーシアなどの東南アジアなど、環境意識の高いグローバル企業の製品に採用されています。

◇Polymateria社:https://www.polymateria.com/


「lyfecycle(ライフサイクル)」は、わずか2%添加するだけで、樹脂全体を生分解性に改質することを可能にします。製品の想定使用期間経過後(18ヶ月〜24ヶ月)に分解が始まるように設計しています。設計期間中であれば通常のPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)としてリサイクルが可能です。設計期間経過後、成形品の分解が始まります。PEやPPの炭素結合が切れることで低分子化していき、微生物による分解を経て、最終的には水と二酸化炭素、バイオマスに完全分解されます。独自技術により、この過程においてマイクロプラスチックが残ることがありません。また、レジ袋や食品包装用フィルムなどのフィルム製品をはじめ、カップやトレーなどの真空成形品、容器やフタなどさまざまな用途に使われています。マイクロプラスチック対策の新たな選択肢として、日本でも幅広い展開が期待されます。


lyfecycle(ライフサイクル)

https://west-1.co.jp/products/materialfiller/cycle/




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