埼玉から世界へ発信するサステナブルなクラフトビール。有機農作物の栽培から廃棄物の再利用に至る循環型エコシステムにかける想い。
埼玉・川越の「COEDO | コエドブルワリー」は、1975年創業し有機野菜の産直システムを構築した株式会社協同商事を創業母体とするクラフトビールブランドです。母体の協同商事は、農産物の栽培から、物流、販売、食品への加工を含め、農産物がお客様に消費されるまでの全ての過程を農業の一環と考え、有機栽培青果物栽培・加工・販売、物流、ビール製造、廃棄物リサイクル技術研究開発など、農業を出発点とする食のサイクルすべてに関与するアグリベンチャーです。
ビールで農作物の付加価値を。地域資源の有効活用から環境、地域の課題に取り組むアグリベンチャーのストーリー
・畑に漉き込まれていた大麦の存在がビール事業を始めるきっかけに
江戸時代、食糧供給地でもあった小江戸・川越地域は、落ち葉堆肥を使用した循環式農法があり、今なおさつまいもをはじめとするこだわりの野菜がつくられる地域です。この循環式農法は2023年7月国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定されました。地域で産出される農産物の未利用資源を活用し、付加価値型のモノづくりを目指してはじまったのがビール醸造でした。それではなぜビールなのでしょうか。
そこには連作障害の対策として栽培される大麦の存在が関係しています。
埼玉は、輸入品の増加により生産量は大きく減少していますが、もともと大麦の産地です。川越地域で有機的に畑を管理する目的の下では、その役割は緑肥として畑に漉き込むことに留まっていましたが、この大麦を利用してビールを造るということを着想の原点として、ビール事業の検討がはじまりました。
大麦の活用は、独立した製麦会社の不在から断念せざるを得ませんでしたが、地元の名産品でもあるさつまいもが収穫される約40%は大きさや形などの理由から規格外品として廃棄されている実情を目の当たりにしました。品質に何ら問題ないさつまいもをビールの副原料として有効活用するというアイデアへと繋がり、コエドブルワリーが誕生しました。
初めに開発したこのビールは、のちの「紅赤-Beniaka-」という名前で今も定番商品として展開しています。
・“Beer Beautiful”ビールが持つ本来の魅力を地域性と職人技と共に発信
1994年4月の酒税法改正により、ビールの製造免許における最低製造量が緩和され、日本全国でビール事業に参入する企業が一気に増えました。一方で、元々醸造技術やレファレンス先が用意されていない環境では、高品質なビールを提供することが出来ないケースもあり、かつて「地ビール」とカテゴライズされたシーンは運命共同的に厳しい道のりを辿りました。
コエドは、事業開始当初からドイツの醸造設備や技術を輸入し、本場仕込みの醸造技術の取得に努め、ビールを正しく作る事の基礎をこの時に確立していました。品質は担保されており、従来のマーケティングを見直すことで、ビール事業の再建を図りました。それまでの「地ビール」は、主に観光土産という狭いマーケットで展開していましたが、プロダクトのクオリティと職人道を究める「クラフトビール」として再び展開していきました。
ブランドデザインも刷新し、2006年プレミアムビールブランド「COEDO」を発表、翌年4月にはモンドセレクション最高金賞2品を含む出品5品が全て受賞すると、その後も世界2大ビールコンテスト「ワールドビアカップ」や「ヨーロピアンビアスター」でも受賞と、海外コンペティションを中心に数々の賞を頂きました。
・国内の自給率をビールで改善するために
私達の事業活動の中では、国内の自給率は課題の一つとして捉えています。
日本の有機農業においては、国内の耕地面積のうち有機認証のある田畑は0.3%程度にとどまっており、農業人口や耕作地の減少と共に重要な課題となっています。
また、国産ビールにおいても原材料の麦とホップは60年代の貿易自由化を機に輸入に依存している形となっています。
代表取締役の朝霧重治は、これらの課題に対して「大麦を作ってビールを造る」ことで向き合うことを決めました。
東松山市にあるCOEDOクラフトビール醸造所は、大手メーカーの工場用地に存在していた研修施設だった建物を改修し醸造所として活用しており、敷地内にはサッカーグラウンド併設されていました。このグランドを土づくりから始め、畑化することを2018年よりスタートしました。
実験農場となったこの地をさらに活用し、2022年11月にキャンプ型音楽フェスを、実験農場を軸に開催。エンターテイメントを通じた有機農業と生活者のタッチポイントを創出し、出演アーティストや参加いただいたお客様と共に、イベントの最後に麦の種を蒔きました。この麦は有機農法で順調に育ち、5月の収穫期にはおよそ1トンもの大麦が収穫出来ました。今後、収穫した大麦は自家製麦し、ビール醸造に使用する計画です。
コロナ禍を経て外食産業だけではなく量販店の販路拡大、さらにはエンドユーザーを意識した施策の必要性を感じていることから、川越に醸造所併設のレストランと売店キオスクを開設、オンラインストアもオープンするなど新たに展開しました。日本では、他国に比べ規制が厳しく酒造免許の取得は簡単なことではありません。そういう意味では、街にビール工場があることそのものが、地域の個性にもなるのではと考えています。
10年、20年という単位で有機の大麦栽培を拡大し、地域の景観や観光、農業へ寄与できるよう活動を続けます。ブルワリーの活動自体が街づくりの要素を有し、100年後も地域と共に発展する企業を目指していきます。
・再生エネルギーを積極的に活用し、CO2排出量の削減を目指す。
協同商事は、2003年に東京都の公募で都立多摩動物公園での動物の糞尿のバイオマスエネルギー活用の提携先としてエントリーし、企画案が採用された実績があります。動物の糞尿のほか飲食店からの食品残渣、枯れ木、芝草などからメタンガスを取り出し、電気や熱に変換し園内に供給する循環型システムの構築、また環境教育に役立てるといった内容でした。当時より、再生エネルギーに着目し研究開発に着手してきました。
エネルギー資源に乏しい日本では、限りある世界のエネルギー資源に依存するだけでなく、自然エネルギーや再生可能エネルギーを積極的に活用する必要があります。
そして20年後となる今年2023年、COEDOクラフトビール醸造所内にバイオマスプラントを建設し、有機性排水をメタン菌で発酵させメタンガスを生成、ガス燃焼時のエネルギーを電気に変換するシステムを実装しました。年間148680kwhの発電量とともに、220tのCO2排出量の削減を計画しています。
今後の中期計画では、残渣である消化液からリンと窒素を回収し、肥料原料とするゼロエミッションを目指した研究開発、持続可能な事業活動を目指す中でも排出せざるを得ない温室効果ガスに対しては、太陽熱の利用も加えてカーボンニュートラルを目指しています。
今後の中期計画では、残渣である消化液からリンと窒素を回収し、肥料原料とするゼロエミッションを目指した研究開発、持続可能な事業活動を目指す中でも排出せざるを得ない温室効果ガスに対しては、太陽熱の利用も加えてカーボンニュートラルを目指しています。
・会社概要
社名
株式会社協同商事
本社所在地
〒350-1150埼玉県川越市中台南2-20-1(本社)
049-244-6911(代)
資本金
9900万円
代表取締役社長
朝霧重治
事業分野
青果卸売事業・ビール製造事業・食品輸入事業・物流事業・花き卸売事業・環境関連事業
商品・サービス情報
クラフトビールブランド「COEDO | コエドブルワリー」
キャンプ型音楽フェス「麦ノ秋音楽祭」
https://muginotokiongakusai.jp/
オーガニック野菜や果物専門の八百屋、ファミリーブランド「ORGANIC & CO.」
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