放棄林を再生・保全する一助としての循環葬。選択肢あふれる時代に、森に還る「循環葬®︎」を起案・開発した経緯とは。親の死や終活で感じた違和感を機に〝死〟と向き合った
昨年、国内で死亡した日本人の数は約156万人(厚生労働省 人口動態統計による)。団塊世代が後期高齢者となることもあり、この数字は上がり続け2040年には1日に約4,500人が亡くなる社会になると言われています。
そんな「多死社会」が目の前に迫ってきている中、私たちは「循環葬RETURN TO NATURE」という新たなお墓をスタートさせました。「森と生きる、森に還る、森をつくる」を合言葉に、墓標も何も残さず、命を森づくりに繋げていくサービスです。
RETURN TO NATUREシンボルツリー「山桜」
死んだら森に。未来の森づくりに貢献できる循環葬
1200年の歴史を持つ霊場、大阪・妙見山の山頂にある「能勢妙見山」という寺院に私たちの森があります。氷河期から続くブナの原生林(天然記念物)を所有する能勢妙見山の敷地は広大で、敷地内には何十年と手つかずの人工林もあります。私たちはその放置林を再生・保全する一助として循環葬RETURN TO NATUREを運営しています。
RETURN TO NATURE「憩いのデッキ」
今までのお墓とは違い、ここには墓標がありません。あるのは生前契約されたメンバーやご遺族が安らげるデッキとベンチ。埋葬は、土壌学の専門家である鈴木武志助教(神戸大学生命機能科学土壌学)の監修のもと、ご遺骨を細かくパウダー化し、森の土壌に混ぜて森に還します。人の命(ご遺骨)を樹木の栄養に、そしてご契約金の一部は森林保全に充てていく。私たちは、これから訪れる本格的な「多死社会」に向けて、死を森づくりに繋げる仕組みを作りました。
RETURN TO NATURE「憩いのベンチ」
両親のお墓の引っ越し。入りたいと思うお墓がない
このサービス開発の背景には、いくつかの死にまつわる気づきや違和感がありました。循環葬RETURN TO NATUREを運営するat FOREST/CEOの小池は三姉妹。両親から「田舎までお墓参りに行くのはみんな大変だろうし、こっちにお墓を引っ越そうと思う」と相談があり、母親とともに近くのお墓を探し始めたそうです。最近よく耳にする樹木葬という名前に惹かれ見学に行くと、シンボルツリーの周りに墓石がずらっと並ぶ、想像していた樹木葬とは違う風景が広がっており、遺骨も石製のカロート(安置スペース)に入れ土に還らないものが多かったそう。見学の帰り、母親がぽつりと呟いた「木が枯れるみたいに、もっと自然に眠れたらいいのに」という言葉に、小池も強く共感しました。そして結局、積極的に買いたいと思うお墓には出会えなかったのです。
循環葬の埋葬イメージ
「ペットと一緒に眠りたい」母の希望は叶わなかった
COOの正木は、母親が亡くなる前に「お父さんの実家のお墓には入りたくない。愛犬と一緒に埋葬してほしい」と言われていたそうですが、親戚内で前例がないという理由で願い通りの埋葬をすることができず、正木は母の希望を叶えてあげられなかったことがずっと心に残っていました。
正木家の愛犬
エンディングにも、慣習にとらわれない新たな選択肢を
昭和から平成、令和となり「生き方の選択肢」は確実に増えています。しかし、人生の終い方となると、まだまだ慣習が根強く、選択肢も少ないと私たちは感じていました。家に縛られず、自分らしく。継承ではなく、循環。未来に貢献できるお墓があったらいいのに。そんな想いから「循環葬RETURN TO NATURE」が始まりました。
多様性を大切にする僧侶との出会いにより「循環葬RETURN TO NATURE」が実現
お墓は公益性や永続性の観点から、地方自治体、宗教法人、公益法人しか経営できません。ですので、私たちはパートナーとなる寺院探しから始めることとなりました。私たちのコンセプトを理解していただける寺院なんてあるのだろうか。不安を抱きながらも、粘り強くさまざまな方にお声がけしたところ、ある僧侶からご紹介いただいたのが「能勢妙見山」の副住職・植田観肇(かんじょう)さんでした。
観肇さんは、IT業界を経て僧侶となり、ボストンでの修行やテキサスでの講師を務めるなど海外での経験も豊富で、多様性を認める豊かな世界を望んでおられました。さらに、1万年前から残るブナを守る「能勢妙見山ブナ守の会」創設メンバーであり、森を守る資金づくりのために能勢妙見山の森林を活用したサステナブルな葬送を考えておられましたが、マンパワー不足で実現できていませんでした。そんな時に、at FORESTの小池と正木が能勢妙見山にやってきた。この3人の出会いが「循環葬RETURN TO NATURE」を現実のものとしました。
プロジェクトを進める上で、最後まで議論になったのは「墓標」をどうするか。私たちは〝無形〟を提案していましたが、今までのお墓と同じような大きな石は置かないとしても、何かしら供養の対象物がいるのではないか。何もないとご遺族がお墓まいりに来た時に困るのではないか、という声もありました。森の中ではなく、本堂の近くにお参り用のシンボルを作るという案も出ましたが、私たちは「シンボルにお金をかけるよりも、森林整備に回すべきでは」という考えでした。その気持ちをまっすぐに観肇さんにお伝えしたところ、「確かに。大切なのは供養する〝気持ち〟であり、墓標という形にはこだわらなくてよいですね」とご理解いただけました。
慣習や形式にとらわれず、自由であることが循環葬RETURN TO NATUREの原点です。見学に来られる方には、「ご遺骨は森の栄養となり、この山自体がお参りの対象となります」とお伝えしています。ご自宅から山の方を向いて故人を想うことも、私たちはひとつの供養の形だと思います。
能勢妙見山 副住職/植田観肇 at FOREST CEO/小池友紀 at FOREST COO/正木雄太
木漏れ日がさす森の中で行う埋葬はとても清々しく、埋葬を終えたご遺族の表情は晴れやかです。最後に、循環葬について語ったグリーフケアの専門家(米国臨床心理学博士・森田亜紀氏)の言葉をお伝えします。「森は命の儚さと美しさが一年を通して循環する場所。森の中で五感を澄ませ、静かに想いを馳せれば、〝あちら〟と〝こちら〟の境界線が緩やかに溶け、大切な人の命を深い緑の生命体の中に感じることができる」。RETURN TO NATUREは、生前にメンバーとなるご本人だけでなく、ご遺族の心を癒す場でもあります。ぜひ一度、RETURN TO NATUREの森をご体感ください。
webサイト:https://returntonature.jp/
instagram:https://www.instagram.com/return2nature.jp/
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資料請求・見学予約:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfbV--d-Vg_bvpMz8yGt2M6P5ahdlA1Ruo0Bl98A1ruc_kDIw/viewform
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