「デジタル人材育成大賞」創設に込めた、影のヒーロー・デジタル人材への脚光の想い。人材不足が叫ばれる中で、デジタル人材育成学会が語るその意義とは
DX時代とも称される現代。多くの産業が変容する中でデジタル人材の不足は大きな社会課題となっております。
そんな中、2021年4月に設立した「デジタル人材育成学会」は、ビジネスとアカデミックの境界を超え、新しい風をもたらす存在として登場しました。
研究発表会や学会誌の発行・無料ウェブセミナー、そして企業や地方自治体への研修・コンサルティングと多岐にわたる活動を展開しながら、今回新たな取り組みとして「デジタル人材育成大賞」を創設しました。
この賞はデジタル人材育成の分野で優れた実績や革新的な取り組みを持つ組織や個人を称えるものです。
このストーリーではデジタル人材育成学会の活動と、デジタル人材育成大賞創設に至った背景と意義、そして想いをお伝えします。
2030年にデジタル人材が最大79万人不足の衝撃。企業と大学が参加できるプラットフォームを設立
2016年6月、経済産業省が「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」の中で2030年には最大で約79万人のデジタル人材が不足するとの推計が発表されました。これはまさに日本の未来を危機に晒す数字と言っても過言ではありませんでした。
実際、パーソルキャリア(東京都千代田区)が2023年10月に発表した9月の中途採用求人倍率では、IT(情報技術)系エンジニアの求人倍率が10.19倍と12職種の中で突出して高い数字となっており、経済産業省の試算が少しずつ現実味を帯びております。
そんな中、「デジタル人材不足解決のために企業と大学双方が安心して参加できるプラットフォームを構築したい。」という想いからデジタル人材育成学会を2021年4月に設立しました。
しかし設立当時は一体何から始めていけば良いのか分からず、集まったごく少数のメンバーが毎日web会議で話し合う日が続きました。特にこの頃は新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言が繰り返し発出されていた時期とあって社会情勢も不透明。対面で集まるという発想は無くリモートで出来る事を模索しました。
そこで会長の角田仁が思いついたのは、デジタル人材に関する現状と角田の想いを書籍にまとめるという事でした。そうして出版されたのが『デジタル人材育成宣言「デジタル化&DX」の現状と人材育成』(出版:クロスメディア・パブリッシング)です。この書籍を出版したことにより、その後多くの方からご連絡いただくようになるとは当時思ってもみませんでした。
2021年7月に出版した
デジタル人材育成宣言「デジタル化&DX」の現状と人材育成
デジタル人材育成学会の活動とデジタル人材育成大賞の創設
デジタル人材育成学会の主な活動は研究発表会・共同セミナーの開催、デジタル人材育成に関する研究、民間企業・自治体・教育機関への研修やコンサルティングなどです。最近では成蹊大学様(東京都武蔵野市)での講義や岸和田製鋼株式会社様(大阪府岸和田市)向けにDX研修を実施しました。
岸和田製鋼㈱様の研修の様子
(2022年から当学会にてDX研修を行っております。)
中でも特徴的な活動を2つご紹介します。
1つ目が研究発表会の開催です。研究発表会は学会の活動としては当たり前と思われるかもしれませんが、発表者に民間企業の方も多く参加されています。
民間企業関係者は実践事例を報告することで学術関係者の研究材料の一つとしてもらう。一方の学術関係者は自身の研究結果を報告し、民間企業関係者に共有することで実践に活かしてもらう。といった相互作用がうまれております。
2023年9月に開催した研究発表会の様子
2つ目が共同セミナーの開催です。実はこの共同セミナーの開催がデジタル人材大賞創設のきっかけとなりました。
共同セミナーは誰もが無料でかつ、オンラインで気軽に参加出来るとあって参加人数が延べ1,000人を超えました。
これまでにご登壇いただいた方は当学会メンバーが全国を駆けずり回り「この事例は是非全国に広めたい!」と思った方々にご登壇をお願いしてきました。
例えば2023年6月に開催した第6回共同セミナーでは、福井県鯖江市に本店を置く株式会社jig.jp福野泰介氏にご講演いただきました。
福野氏は幼少の頃に触ったMSXがきっかけでプログラミングに関心を持ち、現在ではIT企業経営の傍ら子ども達にプログラミングを教える活動を行っています。
福野氏とは福井県内にあるIT企業の社長様にご紹介いただいたのですが、「福野君は凄いよ!是非話を聞いてみて」と言われ、筆者はすぐに鯖江を訪問しました。
福野氏にお話を伺うと「子ども達にプログラミングの楽しさを知ってもらいたい!」という熱い想いが溢れており、私は思わずその場で次回セミナーにご登壇いただけませんか。とお願いし実現に至りました。
しかし、世の中にはまだまだ無名ではあるが目を見張る活動をしている方々がいらっしゃるはず。
大企業だけでなく、地方の中小企業などでも日々デジタル人材の育成に励む「影のヒーロー」がきっといる。
そんな彼らの努力を称え、それら活動を広く共有する事でデジタル人材育成のロールモデルになって欲しい。そんな想いからデジタル人材育成大賞を創設することとしました。
2023年6月に開催した共同セミナー
人材を発掘・育成・紹介するデジタル人材育成大賞の意義
ではデジタル人材育成大賞の意義とは何か。これについては内部で多くの議論がありました。そして、次の4項目に整理しました。
①模範事例の発掘と紹介: 先述の通り、日本全国で様々な組織や個人がデジタル人材育成に向けて取り組みを進めています。しかし、その多くが地域限定や業界内のみでの取り組みとなっており、全国的な展開や共有が難しい状況にあります。この賞を通じて優れた取り組みを日本全国で共有し、他の組織や地域でも同様の取り組みが始まるきっかけを作ることが出来ればと考えております。
②デジタル人材育成の重要性の啓発: デジタル人材不足は1社の企業で解決することは到底困難であり、オールジャパンで取り組む必要があります。この賞を通じてデジタルの進化とそれに伴う人材育成の必要性を多くの方々にお伝えできると考えております。
③デジタル人材育成の方向性の確立: 賞を受賞した団体や個人の取り組みを通じて、今、どのような人材育成が求められているのか、具体的な成功事例をもとに方向性を示すことができます。これにより、これからデジタル人材育成に取り組む組織や学校などが参考とし、効果的な取り組みを進める手助けとなります。
④継続的なデジタル人材育成の推進: この賞により、組織や学校、団体などが継続的にデジタル人材育成の取り組みを推進する環境がうまれると考えております。受賞を目指すことでより質の高い育成プログラムの開発や実施が進められることを期待しています。
デジタル人材育成大賞担当者からのメッセージ
デジタル人材育成は一朝一夕で出来るものでは到底ありません。
数年、場合によっては10年単位の年月が必要になることもあります。
デジタル人材育成大賞は「まだ成果は挙がっていないけれど、地道な取組みによって少しずつ変化が現れ始めている。」と言ったレベルでの応募も大歓迎です。是非お気軽にご応募ください。
【デジタル人材育成大賞の詳細】
以下HPよりご参照ください。
https://www.ddhr.jp/news/ddhr-award2023-outline/
〇デジタル人材育成学会概要
2021年4月にデジタル人材の育成に関わる諸問題の研究および応用を促進し、会員相互の知識や知見の交換を図るとともに、産業の進歩発展に寄与することを目的として設立された学会です。「ビジネスでの実践」と「アカデミックな知見」を融合するプラットフォームの実現を目指しております。
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