関西の学生起業・スタートアップを盛り上げていくために。関西最大級の学生向けイベント「スタートアップ関西」をシードVCが開催する理由とは
シード投資家「THE SEED」は2023年10月14日、学生向けスタートアップイベント「スタートアップ関西」を大阪にて開催しました。
このイベントは関西在住の学生を対象に、東京の起業家やVCらを招き、ピッチ大会やコミュニティ形成の機会を提供するものです。
第7回目を迎えた今回は、新しく行政や大企業も巻き込み、200名以上の登録者を集めました。参加学生の中には実際に商談へ進んだ方が出るなど、いくつかの成果が出始めています。
イベントの目的や内容、成果について主催のTHE SEED 代表 廣澤に詳しく聞きました。
ポテンシャルが大きい関西の学生たち
——はじめに、スタートアップ関西を始めた理由を教えてください。
廣澤:「スタートアップ関西」を始めたきっかけは、私が学生時代に味わった体験にあります。大阪出身で学生時代も関西で過ごしている中でスタートアップやVCに興味を持ちましたが、地元でそういった情報に触れることは、ほとんど叶いませんでした。というのも当時の関西では、スタートアップの起業家やコミュニティと出会う機会がほとんどなかったからです。結局、大学在学中にチャンスを求めて上京せざるを得ませんでした。
それから5年以上の時がたちましたが、起業やスタートアップ就職を考えようとする学生にとって、いまなお東京偏重の状況は変わっていません。資金調達額を地域別に見ても東京都だけで7,500~7,600億円あるといわれる一方、関西はエリア(※1)全体では約530億円しかありません(※2)。資金面でも圧倒的な差があるのです。
しかし、数々の有名大学を有し、東京に次ぐ学生人口を誇る関西は、チャンスさえあれば素晴らしい経営者を輩出するポテンシャルを十分に秘めています。
(※1)関西:資金調達が確認された京都・大阪・兵庫・奈良の合算
(※2)出典:INITIAL, 「2023年上半期 Japan Startup Finance - 国内スタートアップ資金調達動向 -」
起業前、初めの一歩につなげるには?
——今回で7回目となりましたが、開催する中での気づきはありますか。
廣澤:コロナ発生後、初めての開催となった今回は、今回は過去最速で目標人数を突破し、200名を超える方にご登録いただきました。当日の参加者は大学1〜2年生が約5割、理系学生が約3割を占めました。
近年、関西学生にもオンラインで東京とつながる道が開かれるようになって、SNSやWebを通じてスタートアップ情報が溢れるようになりました。学生たちは皆、とてもよく勉強しているなと感心します。
ただ、リアルなイベントにはオンラインにはない良さがあります。東京でイベントを開催すると「隣の人が自分と1歳しか違わなかった」ということも多々ある一方で、関西学生は自分と年齢が近い起業家に会うチャンスはめったにありません。なので、スタートアップ関西は貴重な機会です。
また、インターン募集の情報や、実際にプロダクト開発に触れる機会など、オンラインにはないチャンスも学生さんに積極的に提供しています。
スタートアップ関西は起業を身近に感じ、初めの一歩につながるチャンスを獲得できる場所となっているのです。
2018年初回開催時
スタートアップ関西で夢をつかんだ学生
——スタートアップ関西からはどんな成果が生まれていますか。
廣澤:参加者の中には成功事例も出始めています。THE SEEDの投資先である株式会社New Innovations は、和歌山出身の中尾渓人さんが高校在学中に設立しました。彼との出会いは、イベントスタッフに登録してくれたことがきっかけでした。何気なく「起業したいんです」という言葉を彼から聞いて、まだファンド設立前だったのですが「ぜひ投資家第一号にならせてください」と伝えました。
いまや彼はForbes JAPANが発表したアワード「30 UNDER 30 JAPAN 2023」で、世界を変える30歳未満の日本人の1人にも選ばれるほど成長しています。
このほか東京のベンチャーキャピタルに就職を決めた女性もいます。前回のイベントに参加した彼女はVCを志望していたので、登壇者のマネックスベンチャーに自分から「働きたい」と志願していました。その結果、インターンとして無事、入社することに成功し、今春から社員として採用が決まったそうです。
2人ともイベントをきっかけに夢を叶えたのです。
官民学も強力にバックアップ
——今回のスタートアップ関西はどんなイベントになりましたか。
廣澤:今回のイベントでは、新しい変化もいくつかありました。
ひとつは参加者全員が楽しめるよう、工夫を凝らしたことです。たとえば「エンジニア」「インターン探してます」「起業したい」「VC志望」等々、自分が何をやりたいのか、何者なのか、一目で分かる「タグシール」を名札代わりに着けてもらいました。
とくに理系エンジニアはコミュニケーションに苦手意識を持つ人が多くいます。せっかく来ても、孤立しがちという問題がありました。それを防ぐため、参加者のアイデアをもとにタグシールを導入しました。
初めての試みでしたが、参加者からは「どんな人か分かりやすくなった」「コミュニケーションしやすくなった」などと大変ご好評をいただきました。また、起業家からも学生に声をかけやすくなったそうです。
もう一つの変化は、スタートアップ関西を応援してくれる自治体や大学、スポンサーが着々と増えていることです。開催5年目にして、大阪府、大阪市、京都市、大阪大学が後援として、さらに、さくらインターネット、ロート製薬、Progate、ROXXなど、多数の企業がスポンサーとして支援してくれています。
また、今回、新たに大阪のうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」さんが特別協賛として全面的にバックアップしてくれることになりました。
グラングリーン大阪は、オフィス、ホテル、商業施設、イノベーション支援など多くの多目的施設が入る予定の巨大再開発プロジェクトです。参加事業者は三菱地所、大阪ガス、積水ハウス、阪急電鉄など。2024年夏頃オープンを目指し、開発を進めています。
成果が出でてきた関西のスタートアップ・シーン
——今後、さらにどんなイベントにしていきたいですか。
廣澤:今回のイベントでは、グラングリーン大阪さんのように官民一体となったスタートアップの支援体制がようやく関西でも醸成されてきたなと感じました。地方におけるこのような動きは、時代の潮流を感じずにはいられません。「一緒にスタートアップを盛り上げよう」という勢いを、不動のものにしていけたらと願っています。
またTHE SEEDでは年1〜2回、100名クラスの大規模イベントに加えて、毎月、10〜20名クラスの小規模な勉強会も開催しています。これはメンバーと親交を深めたり、一緒に学んだりすることが目的の場です。活動場所は大阪と京都。京都にはインキュベーションスペースを設けた「SEEDKYOTO」をこれまで運営していましたが、コロナ禍に一旦閉鎖しています。こちらはパワーアップして改めて開設の準備をしています。近々、大阪にも同様なインキュベーション施設「SEEDOSAKA」を開く計画です。
「起業したい学生&応援したい人」のための場所
——関西のスタートアップ振興に向けた意気込みや、今後THE SEEDのイベントに参加したい学生に向けたメッセージをお願いします。
おかげさまで関西スタートアップ界における私たちの存在感はだいぶ高まってきました。行政や大企業のスポンサーが増え、私たちの活動に対する信頼性が高まっているという背景もあります。
実際、「ピッチコンテストに出場したら商談が決まった」など、イベントをきっかけに動き出している案件も増えていて、全体の5%くらいの学生はなんらかのオファーを受けたり、具体的な交渉に入っています。イベントとは関係なく相談しに来てくれた学生が起業して資金調達に成功した例もあります。
しかし、関西のスタートアップイベントやコミュニティの力はまだまだ十分といえません。出資してくれる企業や投資家と、もっとつながっていく必要があります。とくに大学関係者への認知拡大にも努めていかなければなりません。
起業を考えている、もしくは悩んでいるという学生さん。また、同じような想いを抱えた学生がいるという大学関係者の方、そして学生を応援したいという企業の方には、いつでもご支援・ご参加をお待ちしております!
■「スタートアップ関西」について
2018年に創設した「スタートアップ関西」は、関西の学生が、スタートアップ・起業に触れる入り口を作るためのコミュニティです。起業家やVCとの接点や、スタートアップに関心のある同世代が情報共有できるコミュニティを作ることで、起業やスタートアップを目指す学生の若い才能を後押しします。今年10月14日はナレッジシアターで200名規模でイベントを開催しました。
X(旧Twitter):https://twitter.com/kansai_startups
◼シード投資家「THE SEED」概要
ファンド名:THE SEED
代表者:廣澤 太紀
投資対象:日本を中心とするシードラウンドのIT系スタートアップ。EC、CtoC、ブロックチェーン関連事業、AR/VR、ゲーム関連事業等など。
X(旧Twitter):https://twitter.com/theseed_capital
ファンドブログ:https://theseed.vc/magazine
投資相談の面談について:https://theseed.vc/theseedtalk
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