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消防の魅力を全国へPR。消防艇体験をふるさと納税で提供。取り組み内容と市民の反応とは

著者: 横浜市消防局

#プロジェクトの裏側 #ふるさと納税 #消防


2023年11月11日 13時58分

横浜市消防局

 

 横浜市消防局は、市内に18消防署78消防出張所を配置し、約3,800人の消防職員、約600台の消防車両を保有する、日本最大級の消防本部である。

 市民や訪れる人たちに安全・安心を実感してもらうため、火災、救急等の災害から、24時間体制で守り続けていると同時に、消防車や救急車の他に海を守る消防艇や、空から守るヘリコプターを保有し、あらゆる災害へ迅速かつ的確に対応している。

 

 港ヨコハマと言われる通り、今回は海を守る水上消防救助部隊”にスポットを当てた日本初の取組である「ふるさと納税制度を活用した横浜消防魅力PR事業」について、裏話を交えて体験内容を紹介したい。


ふるさと納税の返礼品として消防艇乗船体験を。横浜消防の魅力を全国にPR


この体験は、ふるさと納税として横浜市に一定金額(5万円以上)を寄附し、寄附の使い道として「横浜消防を応援したい!(消防力の向上)」を選んだ人の中から希望者に対して、“迫力満点”の消防艇による放水や“臨場感あふれる”水難救助隊の訓練などを身近に体験することができるものである。実は全国の自治体消防でも様々なふるさと納税制度の取組を実施しているが、消防艇の乗船体験は横浜市消防局が日本で初めてだ。

 なお、横浜市内在住者の場合「返礼品」はもらうことができないが、この体験は、ふるさと納税制度における「返礼品」とは異なり、横浜市内在住者・市外在住者のいずれも対象となる。 ※市外在住の方は「返礼品」を受け取ることが可能 


 本取組を通じて、一般の人にはあまり馴染みのない“海の消防”である鶴見水上消防出張所の業務や隊員についてもっと知っていただき、消防に対して親しみや安全・安心を間近で感じてもらい、横浜消防の魅力を全国にPRする目的で着手した。


課題は災害時の対応。議論を重ねようやく実現した消防艇体験

 鶴見水上消防出張所には、「よこはま」と「まもり」の2艇の消防艇が日々横浜港の安全を守るために配置されており、石油コンビナートなどの大規模火災や水難事故の救助を主な任務としている。

 鶴見水上消防出張所には、「よこはま」と「まもり」の2艇の消防艇が日々横浜港の安全を守るために配置されており、石油コンビナートなどの大規模火災や水難事故の救助を主な任務としている。

 本取組を進めるうえで、隊員の労務負担や参加者が満足する内容を提供できるかといった諸課題があったが、最も重要な課題は、参加者が消防艇に乗船しているとき、災害の出場要請があった場合に、本来任務を遅滞なく遂行できるかということである。全国の消防本部でも消防艇を保有する消防本部はあるが、諸課題を整理することができず、消防艇の乗船体験について断念している消防本部もあると聞いている。

 当初は、災害が発生した場合、一度参加者を陸地に下船させてから災害対応する計画であったが、災害対応には1分1秒の遅れが命取りになる。体験者の下船に時間を要したら…、搭乗体験中に目の前で災害が発生したら…。災害対応体制の確立と魅力発信を目的とした本取組の両立は難航した。

 災害対応を所管している部署と災害対応時のシミュレーションを行うとともに、現場の隊員とも本取組実施中の災害対応について幾度となく議論を重ねた。消防という組織では、このような調整において、合理的・理論的な考えと人を助けることが第一優先であるという使命がぶつかることが多々ある。今回も同様に、結論がでないまま1か月近く調整の時間を要した。

 議論の末に通常より多くの応援職員を配置することで2艇あるうちの1艇を災害対応として待機させ、1艇を本取組に専属して対応するといった体制の確保を担保するといったことで、災害対応と本取組が両立できるという結論に至った。日本で初めて本取組を実施する準備が整ったのだ。

 実施が決定して、体験者が満足してもらえる内容についても、ホスピタリティを第一に現場の隊員からの意見を反映させながら、乗船体験と水難救助訓練の具体的な航行ルートを含めた実施スケジュールについて詰めていくことになる。



参加者と隊員の触れ合いの場へ。コミュニケーションで生まれる新たな気づき


 令和5年10月1日(日)、3組7名の参加者に対して第一回目の体験が幕を開けた。

 まずは、会場である鶴見消防署鶴見水上消防出張所において、オープニングセレモニーでお出迎え。鶴見水上消防出張所は車でないとアクセスが難しく、市民の方が庁舎を訪れる機会は稀である。屈強な消防職員たちも体験者が来るまでの間は、いつもの訓練よりソワソワしている様子で、入念に段取りを確認していた。


 水難救助隊による訓練…の前に、水難救助隊の資機材や車両の身近に触れることができる時間を設けている。参加者は救助活動の際に着用するウェットスーツの素材を確かめるように触れており、興味津々の様子。そして空気ボンベを背負うと「重い~」と苦悶の表情であった。


 隊員たちも市民と触れ合う中で自然と笑みがこぼれる。


 水中での視界の悪さやロープを引くことにより意思疎通を図るなど、水中での活動の難しさについて事前に地上で説明を行う。これは、水中での活動を見ることができない参加者に対して、水中での活動をイメージしてもらいやすいようにと、現場の隊員から出た意見である。参加者は普段身近に見ることがない隊員の掛け声や要救助者を引き揚げる様子を真剣な眼差しで見学していた。



  横浜港での乗船体験には、職員一同でお見送り。参加者は胸を膨らませて消防艇「よこはま」に乗船した。




 消防艇から見るみなとみらいは格別の景色である。


  参加者からは「海の消防を初めて見ることができて、貴重な体験だった」、「ハラハラドキドキの水難救助訓練や迫力ある放水体験に興奮した」と、対応した隊員に対して嬉しい言葉を贈っていただいた。


魅力PRのため、チャレンジを続ける横浜消防のこれから

 本取組の目的である“海の消防”である鶴見水上消防出張所や横浜消防の魅力のPRは成功したといえる。さらに、普段一般の方と触れ合う機会が少ない隊員にとっても参加者からの反応を通じて、自らの業務の重要性や市民からの期待について再認識できる機会となったようだ。

 ふるさと納税を活用した消防の魅力発信事業は、全国に横浜消防の魅力を発信することができるチャンスである。そして、普段体験することができないはしご車の搭乗体験や消防隊員の職業体験など、様々な体験に発展させることができる可能性を秘めている。

 前例のない横浜消防の新たなチャレンジに、これからも期待してほしい。







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