女性のお困りごとを解決するため、タブーを壊す 日本初のおりものシート「サラサーティ」の挑戦
昨今、「フェムケア」「フェムテック」と呼ばれる女性特有の健康課題をサポートする製品や取り組みに注目が集まっています。
小林製薬では、1988年に日本初となるおりものシート「サラサーティ」を発売するなど、早くから女性のお困りごとに寄り添った製品開発を行ってきました。
今回は、「サラサーティ」の初代研究開発担当である河崎と、現在のブランドマネージャーである白石の対談を通して、開発当時のエピソードやブランドの進化、脈々と受け継がれている担当者の思いをお伝えします。
「おりもの」という言葉自体がタブーだった時代。どう伝えるかを非常に迷った
白石:
私は2022年から「サラサーティ」を担当しているのですが、今日は開発当時のことや製品に込められた思いを改めて河崎さんに聞きたいと思っています。発売に至るまで、まずはどんなことから始めたのですか?
河崎:
「日本で初めてのおりものシートを開発する」という案は早くから出ていたのですが、実際の開発は情報が何もないところからのスタートでした。なので最初は一枚一枚手作りした製品を、モニターの方に試していただくユーステストや、コンセプトを明確にするためのおりものに関する調査から始めたんです。実際に使っていただいた感想や調査結果を読むと、約8割の女性がおりものの濡れ感や汚れに不快さを感じていることがわかりました。あと、「おりもの」という言葉を使うこと自体にも抵抗があるとわかったんです。これまで語られていなかった女性のお悩みが結果として出てきたことは、非常に大きな発見でした。
白石:
今ではCMなどでも一般的に使われていますが、当時はタブー扱いだったんですね。
河崎:
そうなんです。私たちもこの製品は女性のお困りごとを解決できると確信を持つ一方で、「どう伝えていくか」には非常に悩みました。おりものという言葉をはっきりと使うか、パンティーライナーと言うに留めるか…。でも、こんなに多くの女性が困り、不快に感じているのだから、はっきりと「おりものの不快を解消する」と伝えた方が良いんじゃないかという結論になりました。私自身、少し恥ずかしいと感じる部分は正直あったんですが、当時のマーケティング担当や社長の後押しもあって、迷いはなくなりましたね。
圧倒的に男性が多い環境で、前例がないチャレンジ。お客さまの声が励みに
白石:
製品開発の過程でいろんなプレゼンをされたと思うんですが、当時は圧倒的に男性が多かったと聞いています。デリケートな話題だけに、困ったことはなかったですか?
河崎:
当時のチームは、研究担当にもう1人女性がいたくらいで、あとは全員男性でした。でも先ほど話したマーケティング担当や当時の社長が女性の身になって一緒に考えてくれて、すごく助けられました。
ただ、ものづくりの段階になると実際の使用感は女性にしかわからないので、そこは社内中を駆け巡ってたくさんの女性社員に協力してもらいましたね。出た意見やデータを全部紙で集めて、手書きで残してプレゼン資料にしていました。おりものに関するデータが本当になかったので、いろんな人に協力してもらいましたよ。
白石:
そんな苦労があったんですね。
私も当時の資料を読んだのですが、本当に多くの女性の役に立っている製品だなというのが実感できました。それだけ、リアルな声を拾い上げることに注力していたんですね。
河崎:
発売してみると、お客さまから前向きな反響を多くいただきました。それまでも薄いナプキンはあったんですが、おりもの用に使うという方は少なくて。あんなごわごわしたものを、生理の時は仕方ないけど普段から使うなんて、という方が当時多かったんです。それを下着のクロッチ部分にのみ貼り付ける仕様にすることで、快適に過ごせるようにできたことが大きかったですね。
白石:
当時の資料にも「お気に入りの下着を安心して使えるようになった」「下着を洗う煩わしさから解放された」という声がたくさん書いてありました。
私が印象的だったのは、「おりものについての悩みは自分だけじゃないかと思って抱え込んでいたけれど、みんなが悩んでいるんだと心が楽になった」と書かれていて。ある種のタブーを壊せた製品なんだなと思いました。
河崎:
そうですね。テレビCMを見て「こんなにはっきり言われると子どもに良くないんじゃないか」「恥ずかしい」というお声をいただくこともあったんですが、「分かりやすい」「助かった」という意見を励みにその後も製品開発に挑んでいきました。
白石:
それが、今の多様なラインナップにつながっているんですね。私もブランドを担当した当初に色々と調べて、こんなにもお客さまから愛されている製品なんだと知って、すごくファンになりました。
タブーやバイアスを破壊していけるのが小林製薬の得意分野
河崎:
白石さんが担当されてからはどんな取り組みをしているんですか?
白石:
今も毎年お客さまの声を調査しているんですが、必ず上位にくるのが、デリケートゾーン、膣、おりものの匂いに困っているという声なんです。これまでのシートタイプだと、根本的な解決はできないんじゃないかと考えて、膣の中からきれいにしようという発想で生まれたのが「サラサーティClean」です。
河崎:
このパッケージも「ニオイが気になるおりもの・膣に」とはっきり書いてありますね。
白石:
言うのが恥ずかしいとか我慢すべきというようなタブーやバイアスを破壊していけるのが小林製薬の得意分野だと私は思っていて、フェムケア、フェムテックってその力が発揮できる最たる分野だと思うんです。なので、広告でも隠さずにきちんと伝えようと考えました。
河崎:
ブランド立ち上げ当初の想いがそのまま受け継がれていますね、とても嬉しいです。
白石:
ありがとうございます!今もこれからも女性のみなさんが自分では言えないお困りごとを、私たちが代弁者として発信することで、悩みの存在に気づいてもらったり、自分だけじゃないと心を軽くしてもらったり、そんな存在になっていきたいと思っています。
河崎:
「サラサーティ』ができた1988年頃では考えられなかった未来ですね。女性のお困りごとを代弁できる企業になったというのは本当に誇らしいです。
まだまだタブー視されていることってたくさんあって、今も悩みを抱えている女性は数多くいると思います。1人でも多くの方を悩みから解放し快を提供するとともに、「自分を大切にする」という気持ちも発信できたらいいな、と思います。
白石:
本当に!女性が心から笑顔になれるお手伝いができるように頑張りたいです。
あらゆる取り組みを通して、女性の健康と活躍を支援する。
河崎:
振り返ると、フェムテック、フェムケアという言葉が注目される前から、小林製薬は女性のお困りごとに向き合って製品開発してきていますよね。
白石:
今年「見過ごされがちなお困りごとを解決し、人々の可能性を支援する」というパーパスが制定されましたが、「サラサーティ」に関わっていると、本当にこの想いが体現されているなと感じます。
河崎:
見過ごされがちなお困りごとは時代によっても変化しますし、尽きることはありませんよね。
白石:
ほんとにそうです。なので、いろんな選択肢を作っていくのが私たちの役目だと思っています。今は、製品だけじゃなくサービス開発も視野にいれてあらゆる方面から女性の活躍を手助けできたらと計画中です。
河崎:
他社との協業もしているんですよね?
白石:
はい。カラダやココロの悩みに特化したコミュニティプラットフォームの「ランドリーボックス」を運営するランドリーボックス株式会社さまと協業して、デリケートゾーンのお悩みに特化したコミュニティサイト「ワタファク(ワタシのあったらいいなファクトリー)」をオープンしました。また「#Tライナーはじめます」というプロジェクトから、ユーザーの声を反映したパッケージ製品を発売するなど、どんどん新たな動きが生まれているんです。
河崎:
製品のラインナップや解決できる選択肢の幅を見せることで、どんな悩みも解決できる可能性があるし、悩みを抱え込まなくて良いと若い世代の方に思ってもらえるようになると良いですよね。
白石:
そうなんです。悩みを話すことは恥ずかしいことではないと知ってもらうため、性教育メディア命育®さまと一緒に、小学生向けの「はじめてのおりもの」プロジェクトも始動させました。
河崎:
「サラサーティ」が突破口になって、女性の健康や快適をもっと支えられる企業になると良いですね!
白石:
そうなれるよう、これからも頑張ります!今日はありがとうございました。
■Profile
河崎 美保子
1982年入社。まずやってみよう!迷ったら楽しい方を選ぶ!をモットーに、持ち前のチャレンジ精神で「サラサーティ」や「あせワキパット」の研究開発の他、「命の母」や「ナイシトール」など、多くの主要ブランドを世に送り出すことに携わってきた。2017年よりグループ会社の漢方薬局で、薬剤師として健康づくりに寄り添う漢方相談に取り組み中。
白石 千夏
2012年入社。漢方生薬や食品の研究開発に携わったあと、マーケティング部に。「命の母」や「ボーコレン」など、女性のお困りごとに関わる製品を多く担当し、現在は「サラサーティ」のブランドマネージャーとグループ長を兼任。今お客さまが必要としていることは?誰と組めばもっと素敵な活動ができるか?と、日々考えながら外に出て新しいことを探している。
■「おっ!?小林製薬」に掲載
今回の「サラサーティ」対談は、公式オウンドメディア「おっ!?小林製薬」にも掲載しております。同サイトでは、製品開発秘話や枠を超えてチャレンジする当社の企業活動、その裏側にある社員一人ひとりのひたむきな思い、泥臭くトライを重ねる姿など、さまざまな一面をお伝えしています。
「おっ!?小林製薬」URL:https://www.kobayashi.co.jp/koba/
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