福井県あわら市のDX支援、地域活性化を推進。雷に打たれたような衝撃で、地方創生の活動を開始。縁もゆかりもない、福井県あわら市で私が活動する理由。
地域の課題に❝一緒❞に取り組む、実践型課題解決プログラム「Social Innovation Partners」の活動を開始
現在の自治体を取り巻く環境には、数々の課題が山積しています。そのなかでも大きな課題になっているのはDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れです。ハード面では、光回線をはじめとする高速インターネットや現代的なIT資産の整備が十分でない地域が多く存在していることがあげられます。さらに、ソフト面では技術への理解や活用に対する抵抗感が根強く、変化に対するリーダーシップや変革をリードする人財不足も課題になっています。
世界30か国でデジタルとエンジニアリングを融合させたコンサルティングサービスを提供するAKKODiSコンサルティング株式会社(以下、AKKODiS)は、多くの課題を抱える地方自治体において、2019年から社員が全国各地の地方自治体へ赴き、地域住民や行政職員と共創し地域課題解決に取り組む、実践型課題解決プログラム「Social Innovation Partners(ソーシャルイノベーションパートナーズ、(以下、SIP)」の活動を行っています。
職員向けに研修を行う、AKKODiSの末吉
あわら市のDX推進を伴走する、地域活性化起業人。デジタルツールの相談や庁内デジタル人財育成などを実施
AKKODiSは、福井県あわら市と「地域活性化起業人」の協定を締結し、現在も同市のDX推進に取り組んでいます。DXの基本的なツールとなるスマートフォンの使い方などの相談に応じる『スマホ・タブレットよろず相談所』、『キャッシュレス決済お買い物体験ツアー』の開設支援や実施、市役所庁内においては、『庁内デジタル人財育成プロジェクト』の制度設計、勉強会の企画など、多岐にわたる施策を実施しています。
行政と連携を図り、DX推進を目指す道には、さまざまな課題や障壁がありました。あわら市の地域活性化起業人としてDX推進活動に取り組む、AKKODiS社員の末吉廣美。末吉の原動力となっている想いや活動について聞きました。
地域活性化起業人の委託式(写真左から、あわら市 森市長、AKKODiS 末吉)
飲食業界から人事領域、そして未知の地方創生活動への挑戦。応募条件を跳ね除けて地域課題に取り組む
(以下、末吉)私は以前、飲食業界で店舗運営の管理と従業員の育成に携わり、40歳前にキャリアの方向性を考え始めました。自分の経験を振り返り、「人事の仕事ができるかもしれない」と感じ、AKKODiSに入社しました。入社後は、人事本部に所属して入社研修や社員教育に関わり、特に「課題解決」に焦点を当てた取り組みに強い関心を抱きました。
2019年、地方創生プロジェクト「SIP」が始まり、私も参加したいと強く思いましたが、応募条件を満たしていませんでした。それでも諦めず、プロジェクト責任者に直接連絡を取り、「エントリーしてもOK!」という貴重な機会を得て、選考に進むことができました。この応募は私にとって大きな転機であり、その後のキャリアにおいて重要な経験となりました。
体中に電気が走るような衝撃を受けた、地域住民とのフィールドワーク。「私がやりたかったことはコレだ!」
2020年に初めて現地へ赴いてフィールドワークに参加したとき、ビビッと体中に電撃が⾛ったんです(笑)。「⾃分がやりたかったことはコレだ︕」と、この地域活動に一瞬で心を掴まれました。
初めて足を踏み入れる土地で、地域の方々と会話を重ねながら少しずつ距離を縮め、異なる文化や想い、考え方を知り、互いの理解を深めて次のステップを一緒に考えていく。その過程がとにかく楽しかったからです。
地域での活動は、その土地に住む方々との信頼関係の構築が欠かせません。逆説的に言えば、それが最もハードルが高いものです。ところが、実際に現地に入ってみると驚くほどその壁は感じませんでした。
これまで培ってきた⾃分の経験や、「会社のアセットを活かして何ができるか︖」を考えることがとにかく楽しくて。その⽇から活動にのめり込んでいます。
地域住民と距離を縮めたフィールドワーク
デジタルのお困りごとに応える「よろず相談所」を立ち上げ。高齢者の方々の身近な相談役に。
2022年の4月には、福井県あわら市の「地域活性化起業人」に就任し、あわら市役所のDX・情報発信戦略室に所属しています。そこで、デジタル⼈財の育成に関する業務のほか、⺠間企業のノウハウや知⾒を⽣かして、あわら市のDX推進に取り組んでいます。市⺠の皆さんのデジタルに関わるお困りごとにお答えする「スマホ・タブレットよろず相談所」を1か⽉⾜らずの短期間で職員の方々と⼀緒に⽴ち上げ、毎週⽔曜⽇に市役所で実施しています。
主に⾼齢者の⽅が相談に来られるのですが、「ここに来たら親切に教えてくれるから助かる︕」、「来るたびにできることが増えて嬉しい︕」という声を多数いただいています。
高齢者の方々のお困りごとに応える「スマホ・タブレットよろず相談所」
DX推進の核となる「DX推進員」の募集を「手挙げ制」に刷新。福井県外の自治体からも注目を浴びる。
また、職員向けには、庁内デジタル人財育成プロジェクト「DX推進員」施策を新たに⽴ち上げました。これまでも同じような仕組みはあったのですが、指名制で選出していた背景もあり、担当者が受け身で進められていた取り組みでした。
本人のやる気がなければ前進しないと感じ、「手挙げ制」に刷新して「チャレンジするのが当たり前」となるよう、⾵⼟改⾰にも取り組んでいます。
当初、「手挙げ制」では誰も候補者がでないのでは、と職員の皆さんは心配されていましたが、そんな懸念が吹き飛ぶくらい多くの方が立候補して積極的に参加されています。「DX推進員」からは、「知識が増え、新しいことを試してみたり、積極的に行動するようになった」、「通常業務で改善できるものはないかと、常に考えるようになった」など、実際の業務でも職員の行動に変化がみられるようになりました。DX推進員を中心に、庁内全体でもDX推進に取り組めるようになってきたと感じています。
この取り組みに関しては、職員のDXへの意識向上と職員同士が部局を超えたコラボレーションが促進した好事例として、総務省が発行している「自治体DX推進参考事例集(令和6年度4月版)」の事例にも取り上げられました。
最近では、「あわら市の活動を知りたい」と福井県外の自治体からも声を掛けていただき、勉強会などに呼ばれて事例を紹介する機会も増えてきました。地方自治体においては、少子高齢やデジタル化の遅れなど、同じような課題を抱えています。これまでは横の連携がとりづらかった地域とも課題を共有し、次のステップへ繋げるきっかけになっていることはとても嬉しいことですね。
手挙げ制で発足した「DX推進員」のキックオフイベント
主役はあくまでも地域住民。役所と地域住民の架け橋となることを目指して
地域活性化起業人としての私が大切にしていることは、あわら市での滞在中に役所に閉じこもらず、地域住民と積極的に交流することです。DX推進は役所だけでなく地域全体で進めるべき取り組みであるため、自分から交流していく姿勢が大事だと思っています。
SIPの活動において、お互いの関係性を築くことが非常に重要ですが、その解決方法は一つではなく、自ら考えて行動する姿勢が求められます。誰かが手を差し伸べてくれるのを待つのではなく、自ら行動して壁を乗り越え、社会課題解決に取り組むことが大切だと感じています。
これからも、地域の方々と連携しながら、住民の皆さんが笑顔になるような取り組みをサポートしていきたいと思っています。
地域のイベントに参加するAKKODiSの末吉
【関連リンク】
▼福井県あわら市 地域活性化起業人(末吉 廣美)活動紹介動画
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