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「日本の訪問理美容・福祉美容業界を改革したい」。協会設立を決意した理美容師の奮闘のストーリー

著者: 一般社団法人日本訪問理美容推進協会

一般社団法人 日本訪問理美容推進協会は、訪問理美容の推進を目的とし、現役理美容師たちが中心となって2017年に設立しました。

サロンにお勤めの理美容師をはじめ、理美容現場復帰を目指す主婦の方、出張理美容を始めたい方、スキルを活かした副業をしたい方へ向け、訪問理美容の知識とスキルを取得できる「ヘアメイク・セラピスト養成講座」を日本全国&オンラインで開催し、年間150人以上が受講しています。

「日本一の訪問理美容教育機関」を目指し、医療介護現場で活躍できる理美容師を、一人でも多く世に送り出す事を目指しています。



一般社団法人 日本訪問理美容推進協会 代表理事である田村明彦が、初めて施術料をいただいて訪問理美容を行ったのは2012年のことでした。当時は今以上に、理美容師がボランティアで対応している現状も少なくありませんでした。

ボランティアでの提供には限界があり、継続性が困難です。高齢化など、病院ではないケアが必要とされていく時代に、理美容師による「訪問理美容」を継続的に永く提供できることこそ、利用者さんの安心感とQOLの向上に結びつけることができると考えています。

協会を立ち上げた田村(代表理事)が、訪問理美容業界に推進に取り組む約10年間を振り返ります。


一般社団法人 日本訪問理美容推進協会 代表理事 田村 明彦


外出困難な方に理美容院のサービスを提供する、「訪問理美容サービス」について

ご自宅や介護施設・病院にて、疾病・怪我・精神疾病・ご高齢・妊娠中などで外出が困難な方。また、ご家族の介護や乳幼児の育児を常にしていて、家を離れると家族の安全が保てなくなる方を対象に、理美容師がお客様の元にご訪問し、理美容院のサービスをご提供するものです。

もともと、老人ホームなどでは施設のヘルパーさんたちによる散髪が主流でした。時代とともに、整容(身だしなみ向上)が利用者さんの明日への活力となるため、理美容師が施設を訪問することも増え、訪問看護の普及に伴い「訪問理美容サービス」も浸透してきました。



初めての訪問理美容現場での衝撃…「綺麗になる事を諦めたお客様」との出会い

私が初めて、きちんと施術料をいただき「仕事」として在宅施術を行ったのが、2012年のことです。きっかけは、サロンへお越しのお客様から、「在宅医療を受けている親族のカットとパーマができないか」と相談を受けたことでした。そこでの衝撃が今も脳裏に残っています。


当時担当させて頂いたお客様は、私に凄く攻撃的な対応で『今さら何をしたって無駄だよ!』と強い言葉をぶつけてきました。しかし、綺麗な仕上がりに向かうに連れ態度は一変し、柔らかな表情で次回の予約を取ってくださいました。

私は、なぜ攻撃的な対応をされたのか。


施術中のお話から、訪問理美容への絶望があった事、本来オシャレが好きで毎月サロンにも通っていた事、通えなくなった事で訪問理美容をお願いするようになった事、その結果、求める自身の姿になれなくなった事…寂しそうに教えてくださいました。だから、私と出会った瞬間、訪問理美容師に対する憤りを思わずぶつけてしまった、というのが原因でした。



仕上がりに満足いただけたときの笑顔は、本当にやりがいを感じる瞬間です!


髪を切りそろえるだけで本当に良いのか。訪問理美容業界の「課題」が見えた瞬間

素晴らしい訪問理美容師さんも、この日本には多数いらっしゃいますが、訪問理美容を利用するかたも、施術する理美容師も、お互い納得のいくような高い満足度の理美容サービスが医療介護現場に届いていないという現実もあると、痛感した出来事でした。


私は、現職のサロンワークを熟知している立場として、訪問理美容であっても「サロンと変わりのない技術とサービスを提供したい」と思っています。勿論、訪問理美容にオシャレさやスタイリッシュさを求めない人もいるかと思いますが、かつてサロンに通っていた時と比べ、美容やオシャレを楽しめず諦めてしまったことでQOL低下に繋がっている人達も大勢いらっしゃるのも現実です。



利用者さまのご自宅で、訪問理美容中のひとこま



特に10年前は「訪問理美容」=「介護や看護」のイメージが強く、サロンのような訪問理美容サービスを提供している事業者は、探してもとても少ない状態でした。対応できる時間も限られ、利用者さんの生活環境に制限がある訪問理美容業界にとって、”スタイリッシュな仕事”や”オシャレ目的のサービス”は最重要ではないかもしれません。


ですが、例えば寝たきりの方にとって最適なヘアスタイルとは何か、その人が喜べるために理美容師ができることは何かを考えたときに、必要最低限に髪を切りそろえるだけで、本当に良いのでしょうか?


従来の”訪問理美容の専門業者”と”サロン兼業の訪問理美容業者”の住み分けを明確に実現すること、そして利用するお客様やご家族にとって、訪問理美容に対する選択肢やイメージを広げることが大切ではないか、と感じるようになりました。


最初に苦労したこと、第二の大きな課題

まず自分がサロンの傍らで訪問理美容始めてみて、最初に苦労したのが「集客」でした。


在宅医療現場という特性上、お客様へ直接アプローチすることが難しく、ご家族や医療従事者に、『理美容(整容)』の重要性を知って頂かないとオーダーに繋がりません。訪問医療に関わる人達に会いに行き、コミュニケーションを取っても、中々仕事に繋がらない日々が続きました。髪をキレイにしたいお客様以前に、介護に関わる人達との良好な人間関係、信頼関係を作るのがとても難しかったです。


グループホームなどへ出張する理美容師



ようやく仕事に繋がりだしたころ、より深く訪問理美容の業界を知ることで感じたのは、訪問理美容師の疲弊したマインドでした。


サロンワークの気分転換、スタイリストの社会貢献や自己実現のため、単発的にボランティアで訪問理美容を行う理美容師がいるのも事実です。そのため、ボランティアの相談依頼も多く、訪問理美容=「事業としては成り立たない」と感じている理美容師も多いと思います。


ですがボランティアでの提供には、誰しも限界があります。訪問理美容師が継続できなければ、サロン業界では一般的である「スタイリスト指名」のシステムが機能しないため、利用者さんの不安や満足度低下に繋がってしまいます。長期的にみると、それは訪問理美容サービスの品質底上げの足かせになってしまいます。


しっかりと「仕事」として取り組めるようにしなければ、利用者さんの満足感、理美容師のやりがい、そして大切な時間の共有や思い出に繋がっていかないのです。



訪問理美容師は「家族」に近い存在

訪問ビジネスは美容だけでなく、訪問医療や訪問介護も、利用者さんのご自宅に迎え入れていただきます。


例えば

美容の日は、馴染みの理美容師さんと交流を楽しむ日

看護の日は、馴染みの看護師さんと交流を楽しむ日

リハビリの日は、PT.OT.STさんと交流を楽しむ日


生活に密着した「家族」に近い存在になれることが最も理想です。


利用者さんにとっては、目的の施術だけではなく、人と人とのコミュニケーションを楽しむという大切な要素を含んでいます。だからこそ、継続性はお客様のQOL向上には欠かせません。


日本の訪問理美容業界を、もっと陽のあたる業界にしていきたい、夢のある仕事として、世間の認知を広げていきたい。長年の経験によって培われた理美容師たちの技術とサービスを、サロンだけでなく、医療介護現場で、必要としてくださっている人達へ届けたい。そう思うようになりました。




「日本の訪問理美容業界の改革をしたい」という想いから、訪問理美容の教育機関を担う協会を設立

訪問理美容は作業ではなく、サービス業です。美容の最前線で培った技術や知識、接客サービスを、サロンに行きたくても行けない人達に提供すること、利用者さんがかつては受けていた美容サービスを、それ以上のサービスとなるように、ご自宅、病院、介護施設等で行う事が大切だと考えています。


そのためには、わたしたち理美容師も「訪問医療サービス」のことを理解し、利用者さんたちに寄り添えるよう知識を身に着ける必要があります。



色々な人の縁があり、志を同じくする理美容師たち、医療・介護従事者の方たちが集まりだしました。訪問ビジネスがはじめてのかたも安全に訪問理美容サービスを提供できるように、必要な介助知識と技術を学ぶ講座を作ることになりました。


当初は「社会貢献性は高く素晴らしい事だと思う」という意見と同時に、「仕事として成立するのか?」「ボランティア精神じゃないと続かないのでは?」との声もありました。しかし、ただ髪を切る作業としての訪問理美容ではなく、質の高い技術と、人の心をケアできる訪問理美容サービスを提供出来る理美容師を増やしていきたいという思いに共鳴し、今まで数々の訪問理美容の現場で培ったノウハウを体系化すること、各々が自己流で対応してきたものを、医療・介護従事者のかたのアドバイスを元により洗練された応対スキルと施術内容へ深化させ、練り上げていきました。


人の心を癒せる理美容師「ヘアメイク・セラピスト」とは

私たちの講座でスキルを習得した訪問理美容師たちを、福祉理美容師ライセンスを取得した「ヘアメイク・セラピスト」と表現してます。理美容師の経験・知識・技能に加え、ご高齢の方や身体の不自由な方などへの正しい介助知識を身につけたスペシャリスト。そんな「ヘアメイク・セラピスト」の育成、訪問理美容業界の推進のためのライセンス発行をしていくため、2017年に一般社団法人 日本訪問理美容推進協会を設立しました。




理美容師が、介護福祉の基本知識をも兼ね備えることで、高齢化社会を担っていけることは、これからの時代に必要とされ、さらに社会貢献性の高いものとなると確信しています。




2017年の協会設立から7年目!毎年150名以上が受講

医療・介護従事者監修によるカリキュラム、訪問理美容の現場を知る現役ヘアメイク・セラピストが講師となって、実践的な講座を開催しています。忙しいサロン業務の合間でもしっかりとスキルを身に着けられるように「たった1日間」で資格取得までできる講座は、毎年約150名以上が受講。延べ1000人以上の理美容師たちが、訪問理美容の知識を身に着け、日本中で活躍してくれています。



取得した「ヘアメイク・セラピスト ライセンス」を手に、笑顔の受講生たち


2023年「ヘアメイク・セラピスト養成スクール」を開校

”もっと学びたい”という受講生からの声に応え、1日講座では物足りない方、より実践を交えて学びたい方に向けた「ヘアメイク・セラピスト養成スクール」を開校しました。ブランクのある方、復職したい方はもちろん、サロンワークに縛られず、自分なりの働き方を目指したい方にもおすすめです。



スクールは東京からスタート!順次全国開催を目指しています


協会設立から7年目の展望

2017年に協会を設立し、今年で7年目になりました。その間に「コロナ禍」を過ごし、サロンはもとより訪問理美容が出来ないつらくもどかしい時期も経験しました。人々の「働き方」や「生き方」の多様化も、この数年で急速に変化していったと感じます。

そして、いよいよ「2025年問題」に突入していきます。地域包括ケアシステムの一端を担うために理美容師ができること、訪問理美容師のあり方を、これからも考え、伝え続けていきたいと思っています。



一般社団法人 日本訪問理美容推進協会

代表理事田村 明彦

公式HP https://xn--lzr22mh1wnrk61m.club/

スクール https://jvpa.club/school

短期講座 https://jvpa.club/hmspa

Instagram https://www.instagram.com/jvpa_hairmake.therapist/

YouTube https://www.youtube.com/@jvpa_hairmake.therapist/




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