ネコ好きに愛されて6,000箱突破!日本初となる猫専用こたつ付きみかんが、鶏肉屋から生まれるまで。「猫と、こたつと、思い出みかん」の開発秘話。
私たちの会社「有限会社nakatx(旧社名:有限会社中田鶏肉店)」を代表する商品の一つとなった、日本初の猫専用こたつ付きみかん「猫と、こたつと、思い出みかん」。
お届けしている和歌山みかんは、スーパーで販売されている和歌山みかんの倍以上の価格(5kg入り5,628円)であるにもかかわらず、猫好きを中心に2018年冬の新発売から6,000箱以上を販売。ツイッターをはじめとしたSNSで猫好きを中心に拡散し、ありがたいことにこれまで累計で50媒体を超えるメディアでもご紹介いただきました。
先月(2022年10月末)には、“「猫と、こたつと、思い出みかん」が、スーパー猫の日(2022年2月22日)に予約受付を開始した”というプレスリリースが、株式会社PRTIMES様主催のプレスリリースアワードで、エントリー総数1,412件の中から特別賞を受賞。プレゼンターの方から「最も心に残ったリリースだった」と過分なコメントをいただきました。
私たちの会社は創業58年の鶏肉屋ですが、なぜ鶏肉屋さんからそんな奇想天外とも思える商品が生まれたのか、今回初めてPRTIMES STORYで伝えます。
実はこの商品が生まれるまで、そして生まれてからも、僕たちの会社は抗うことのできない数々の困難に見舞われていたのでした。
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看板のブランド鶏が販売停止。売るものがなくなった
私たちはずっと、地元・和歌山の「紀州うめどり」という鶏肉をメインに販売してきました。梅酢を飼料に混ぜた、ジューシーで柔らかい肉質が特徴のブランド鶏です。
しかし、この看板商品「紀州うめどり」の販売が停止する事態が起こったのです。
2018年9月、台風21号による記録的な暴風が和歌山を襲いました。最大風速39.7m/s、最大瞬間風速57.4m/sを記録。ニュースで流れていた、関西空港の連絡橋に衝突したタンカーの映像は、その台風の凄まじさを物語っているようでした。
台風による猛烈な暴風と濁流は、うめどりを育てている鶏舎も襲いました。その結果、実に4万5000羽を超えるうめどりが犠牲となりました(この和歌山を代表するブランド鶏「紀州うめどり」に関しては、事業継続さえも危ぶまれるほど、その後も数々の苦難に見舞われることになります。そのお話はまたあらためて。)。
この台風21号の被害により、うめどりの販売は完全に停止しました。一般的に鶏肉はひな鳥から成長するまでに60日ほどかかります。私たちは自社の屋台骨である卸事業とEC事業でいずれも「売るものがなくなる」という大きなピンチに見舞われました。
このような状況の中、苦境に陥った私たちに手を差し伸べてくれたのが、同じ和歌山の食品事業者の皆さんです。
売るものがなく困り果てていた私たちに、お米や紀州の梅干し、干物といった商品を提供してくださいました。そんなご厚意への感謝の気持ちと、さらには私たちと同じように台風で被害を被った方々のお役に立てればという想いから生まれたのが、「わかやま復興グルメ福袋」です。
売上の一部を台風被害に遭われた方々への支援金として寄付するこの福袋は、友人知人の協力もあってfacebookを中心に拡散。私たちのECショップで、数百名もの方々にご支援いただきました。
「うちのみかんも売ってくれないか」ノーブランドみかんの挑戦
そんなときでした。一軒の農家さんが「うちのみかんも売ってくれないか」とご相談に来られたのです。聞けば「川辺みかん」という、有田みかんと同じ品種で味は引けを取らないものの、栽培している地域が有田みかんの規定エリア外という理由から、まだ世に知られていないノーブランドのみかんでした。
お世話になった和歌山の生産者さんに恩返しができるなら――。そんな想いから、喜んで販売をお手伝いさせてもらうことにしました。ただ、先の「わかやま復興グルメ福袋」の売れ行きは、その時はすでに落ち着いていたので、別の方法でこのみかんを販売することになりました。
そんな中で私が友人と一緒に企画して生まれたのが、“猫ちゃん専用のこたつ付き”というユニークなコンセプトのみかん「猫と、こたつと、思い出みかん」です。
ご存じのとおり和歌山はみかんの有名な産地であり、年間数万トンというレベルでみかんを販売されているEC事業者さんもいらっしゃいます。一方で私たちには、みかんの販売実績もノウハウもありません。そんな中で、強豪他店と同じ売り方をしたところで売れるはずがない――。そこで、「これまでにないコンセプトのみかんで勝負しよう」と考えたのです。
友人にネコリパブリックという保護猫カフェを運営している方がいることや、何か社会に貢献できる商品を作りたいという想いがあったので、「猫をテーマにした猫好きのためのみかんを作るのはどうか」といったイメージがまず固まり、売上の2%を保護猫活動に寄付することも決まりました。
とはいえ、猫をテーマにしたみかんといっても、中身のみかんを加工したり、変えることはできません。そこで、猫好きが喜ぶような「おまけ」をつけることにしました。知人の段ボール屋さんに相談したところ、段ボール製の「みかんかご」を作ったらどうか、といった提案もいただいたのですが、なかなかピンと来ません。
そこから、一緒に企画を考えてくれていた友人と、連日連夜アイデアを出し合う日々が続きました。そんな中でふと出てきたのが、「みかん」と「猫」から連想するものとして、こたつを作ったら面白いのでは、という意見です。
段ボールでできた猫ちゃん専用のミニチュアこたつを付け、おうちの猫ちゃんがそこに入って、SNS映えする写真が撮影できたら面白いのではないかー。それは待ちに待った、猫も、猫好きも、おもわず笑顔になるアイデアが誕生した瞬間でもありました。
「大変なことになってる!」号泣したあの日
そうして、満を持して生まれた「猫と、こたつと、思い出みかん」。売れると期待していたので、みかんは5トン(1箱5kg入りなので1,000箱分)仕入れました。
ところが、2018年の12月上旬に発売してから、一週間で売れたのはたったの3箱…。まさかの結果に、「このみかん、どうやって返品しよう?」と社長である兄に相談したことを今のことのように思い出します。
しかし、考えてみれば、SNSやメールマガジンでしか告知もしていませんでした。そこで、発売から1週間後に「猫と、こたつと、思い出みかん」の1本目のプレスリリースを配信してみたのです。
「中田さん、大変なことになってる!」
一緒に企画を考えてくれた友人から連絡があったのは、プレスリリースを配信してから6日後の夜でした。見ると、ある猫専門メディアで私たちのみかんが紹介され、その公式SNSからの発信で火がつき、猫好きを中心にツイッターで一気に拡散していました。ネットで検索をすると他にもさまざまなネットニュースで取り上げられており、気がつくとあれだけ頭を悩ませていた5トンのみかん在庫は底を尽きかけていました。ぴーんと張り詰めていたものが解け、嬉しさと安堵でパソコンの前で号泣したことは今でも忘れられません。
モノ余りの時代に必要なのは、付加価値、アイデア、伝え方
そんなアイデアとPRによって生まれた「猫と、こたつと、思い出みかん」は、おかげさまで2018年度に目標の1,000箱を完売。それでも「欲しい!」という声が後を絶たなかったため、次年度の予約をすぐに受け付けることにしました。その結果、2019年度は前年を超える売上を記録。合計3,200箱を完売することができました。
実はその頃から、私たちが紀州うめどりを仕入れていた養鶏組合の経営上の問題のために、鶏肉のネット通販年間売上の8割を売るクリスマスシーズンに鶏肉が入ってこないという大きな問題が起こっていたのですが、「猫と、こたつと、思い出みかん」の売上により鶏肉の売上減による影響を大きく抑えることができました。
「猫と、こたつと、思い出みかん」はその後もありがたいことに、たいへん多くの猫好きさんに愛され、2022年11月現在、累計6,000箱を販売する弊社史上最大のヒット商品となりました。おうちの猫ちゃんと一緒に遊んでもらいながら、和歌山のノーブランドみかんの美味しさを知っていただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。
「どうやってみかんを売るか?」
あのとき強豪他店と同じような売り方を選んでいたら、自分たちの商品が世の中で話題になったり、たくさんの方にお求めいただいたりといった、冒頭に書いたような経験は、とてもではありませんができなかったと思います。
現代はモノ余りの時代だと言われますが、そんな時代においては付加価値こそが大事であり、アイデアと伝え方の両輪がとても重要であるということに、「猫と、こたつと、思い出みかん」は気づかせてくれました。
これまで取り上げてくださったメディアの方々や購入いただいたお客様、PRTIMES様にもあらためて感謝を申し上げたいと思います。今年も11月24日より、以下URLにて予約がはじまりますので、よかったらぜひどうぞ。
<参考URL>
猫と、こたつと、思い出みかん
https://item.rakuten.co.jp/chicken-nakata/10001438/(楽天)
https://chicken-nakata.jp/shopdetail/000000000091(本店)
チキンナカタ
https://www.rakuten.ne.jp/gold/chicken-nakata/(楽天)
https://chicken-nakata.jp/(本店)
有限会社nakatx
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