「移動の進化への挑戦」を続けるスマートドライブが取り組むマーケティングとは?
新型コロナウイルスの感染拡大により、4月に日本全国を対象にした緊急事態宣言が発令され、人々の移動が制限されているなか、4月28日に完全リモートによるオンラインカンファレンス「Mobility Transformation Online 2020」を実施し、総視聴者数7,700人が参加しました。そして、7月29日はスマートドライブの代表 北川が100名近くの参加者からの質問にインタラクティブに回答する「Mobility Transformation MeetUp」を開催。
なぜ、スマートドライブのマーケティング責任者は業種や業界を超えた繋がりを作ることにことだわり、数々の施策を実行し続けるのか?その背景や、今後の取り組みについて聞いてきました。
まず簡単に自己紹介をお願いします。
株式会社スマートドライブでマーケティング責任者をしている大里です。前職はマーケティングオートメーションのツールベンダーであるマルケトという会社でコンサルタントをしていました。マルケトでは、大手からベンチャー企業、そして様々な業種を担当させていただきました。2019年の3月からスマートドライブに参画しまして、Webサイトや広告の運用などのオンラインマーケティング、展示会や自社イベントなどのオフラインマーケティングを担当しています。
MaaSが広まっていくために必要なこと
モビリティ業界ではMaaS(Mobility as a Service)やCASE(Connected:コネクティッド、Autonomous/Automated:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)が話題になっていますが、デジタルマーケティング業界出身だからこそ感じることはありますか?
私がデジタルマーケティングに長く携わっているからだと思うのですが、アドテクは進化が激しい領域で新しい技術や、新しい概念などが次々と生まれ、一時はホットだったトピックが気がつくと過去のものとなり、一瞬だけ盛り上がった後すぐに廃れていったりします。そして、言葉だけが注目されるものを”バズワード”と表現されます。
では、MaaSやCASEがバズワードなのかというと、そうではないと考えています。つまり、一過性のものではなく、社会に対して今後も大きな変化を起こしつ続けると考えています。
ですが、数年後にはアドテク界隈でよくある「あの頃は盛り上がってたよね」と懐かしい思い出となってしまう可能性も拭いきれません。概念先行で広まってしまうと「で、結局のところ何がどう変わるんだっけ?」と、雲を掴むような感覚になってしまいますので、事例などの手触り感のある情報が広くで共有されることが重要です。
なるほど、確かにアドテクでは英語の頭文字をとった用語が現れては消える、というのを繰り返してるイメージがあります。MaaS/CASEなどが広まっていく上で何が重要だと考えていますか?
日常生活の中に溶け込んで、特別に意識することなく、サービスが利用されていることが非常に重要だと考えています。そのためには、継続的にアップデートしたり使い勝手を改善する努力を続けることが大切。とはいえ、改善をするにもコストがかかりますので、実証実験だけで終わらずにしっかりとビジネスとして成り立つようにすることも考えていかなければなりません。
しかし、MaaSやスマートシティはマネタイズをどのように考えるのが難しいというか、ステークホルダーが複数いて、APIなどでシステムが裏側で複雑に連携していますので、値付けが非常に難しいのです。また、関係者が多岐に渡るため、プロジェクトがウォーターフォールで進まざるを得ない面があります。とはいえ、出来上がったサービス(プロダクト)を「あとは販促のフェーズだから、マーケティング頼んだよ」となってしまうと、広告・宣伝しても、ターゲット像がボヤけてしまって、消費者に訴求すべき点がブレたりして、消費者から興味関心を得ることは難しくなります。人々のライフスタイルが多様化している現代においては、プロダクトアウトの発想では、見向きもしてもらえません。
では、どのようにするのが良いと思いますか?
基本的なことですが、しっかりとターゲットを定め、顧客が求めているニーズを明確にし、適切なチャネル、タイミング、コンテンツにて、双方向のコミュニケーションを中長期に渡りとり続ける必要があります。
特にターゲットを明確に定める、訴求すべきポイントを見出す、といったプロセスにおいては、サービスの開発をしている時点からマーケティングが深く関わっていくべきです。
Mobility Transformationの3つの柱「カンファレンス 」「セミナー」「コミュニティ」
では、次にスマートドライブのマーケティングについて伺います。昨年にMobility Transformationというカンファレンスを虎ノ門ヒルズで実施しましたが、そもそも、なぜあのようなイベントを開催したのでしょうか?
MaaSやスマートシティなどは、本当に盛り上がっていますし、実際にこうした取り組みは様々な社会課題を解決しうると思っています。ただ、実現するためには「系列」や「業界」の垣根を越えて、様々なプレイヤーがコラボレーションしながら1つの方向へ向かっていく必要があります。私がコラボレーションが日常的に行われているマーケティング業界の出身だから余計に感じるのかもしれませんが、このモビリティ業界においては業界の垣根を越えた共創がまだまだ足りないのではないか、と思っていました。
そこで、様々な業界のキープレイヤーに声がけして、宇宙・マーケティング・インフラ・金融など幅広いテーマで講演が行われました。こうした切り口のイベントに多くの方に興味を持っていただきまして、ありがたいことに約1,500名の方に来場をいただきました。
今年はコロナ禍によって、日本全国で移動の自粛が行われている最中にカンファレンスをオンラインにて実施しました。あえて大変な時期に開催した狙いについても教えていただけますか?
2020年の4月28日に開催したカンファレンスは、オンライン学習プラットフォームを提供するSchoo様とコラボレーションして、完全オンラインで開催をしました。オンラインで開催した理由は2つあります。
昨年のカンファレンスを開催した後に、遠方にお住まいの方々から「参加したかったけど行けなかった...。地方でもやって欲しい」という声を沢山いただきました。たしかに地方は車社会ですし、過疎地域における移動手段の確保などの課題も多々ありますので、東京だけでなく地方の方々にもコンテンツを提供するにはどうすればいいのか?ということをずっと考えていました。
合わせて、コロナ禍によって外出ができなくなり、セミナーや勉強会が軒並みキャンセルとなって、学習する機会や、生の情報を得る機会が一気に減ってしまいました。そこで、「移動の進化への挑戦」をしている方々の最新情報を自宅でリモートワーク をしている方々にも提供したいと思いました。
登壇者だけでなく、運営スタッフも全員が自宅勤務でしたが、トラブルもなく実施することができまして、結果として累計約7,700名の方に視聴をいただきました。
Mobility Transformationはカンファレンス以外にも様々な活動をしているそうですが、どのようなことをされているのでしょう?
Mobility Transformationは3つのカテゴリーに分かれていまして、1つ目が先ほど紹介したカンファレンス です。
2つ目がセミナーです。セミナーは月に2回ほどのペースで実施をしていまして、カンファレンス と同じように、業界の垣根を越えて様々な企業様に登壇をいただいております。たとえば、コロナ禍によって”移動”がなかなかできない状況のなかで、営業生産性を高める方法について、UPWARD様、電産システム様、Google様といった企業に紹介をいただきました。直近では、IoTやAIが物流をどのように進化させていくのか、ということについてHonewell様とサイエンスアーツ様に登壇いただきました。
また、9月にはコロナ禍によって変化するモビリティ業界のマーケティングについてデルフィス様とSATORI様とセミナーを行います。このように、大手企業からスタートアップまで様々な業界の企業様が登壇する、ユニークなセミナーを今後も展開していきたいと思っています。
セミナー情報はこちらから
そして、3つ目はコミュニティです。カンファレンスを開催した際に、業界を超えた企業同士の繋がりを作るために、イベント用のマッチングサービスを活用して交流を促進しました。これが、実に好評をいただくことができまして、カンファレンス後も、マッチングイベントや交流会の開催を望む声を沢山いただきましたので、勉強会・分科会・ミートアップといった形で今後も「移動の進化への挑戦」をしている方々同士で交流が生まれ、そこからビジネスの芽が出てくるような場を用意していきます。
コミュニティ活動の第1弾として、弊社代表の北川に参加者の方々から質問をいただきその場でお答えするという形のミートアップを開催しました。参加者の募集を途中で締め切らせていただいたのですが、結果的に100名近くの方々に登録いただきました。自動運転やMaaS、データ活用など幅広い質問をいただいて、活発にやりとりをいたしました。初回のミートアップは北川と参加者とのやりとりが中心でしたが、今後は参加者同士で横の繋がりを作っていけるような会を企画したいと思っております。
Mobility Transformation MeetUpのイベントレポートはこちらから
https://www.mobility-transformation.com/category/session/meetup-vol01
業界全体でDXに取り組む後押しをしたい
業界の垣根を超えたイベントやセミナー、そしてミートアップと様々な取り組みを行っていますが、今後はどのようなことを仕掛けていこうと思っていますか?
自動車産業は長い歴史の中で世界中の競合と熾烈な競争を繰り返しながら、成長を続けて日本を代表する産業となりました。そして今、冒頭に述べたMaaSやCASEといった新しい大きな波が訪れ、大変革を求められていいます。さらに、今回のコロナ禍によって変革のスピードをさらに早めなければならなくなりました。
しかし、「系列」と呼ばれた完成車メーカーとサプライヤーの強固な関係は崩壊しつつあり、未来が過去の延長線の先に見えない時代において、今までと同じことを繰り返してるだけでは変革の時代を乗り越えることは難しい。
そこで、「今こそDXだ!」とFaxをやめたり、印鑑を電子化したり様々な取り組みを始めますが、企業全体としてDXを成し遂げ、次の時代に向かうにはバックオフィスだけでなく、営業やマーケティングも変革しなければなりません。
マーケティング活動においては、展示会が行えない状況が続く中、どのようにして見込み客を獲得するのか。営業は、顧客の元に直接訪問ができない中、どのようにオンラインで商談を進めるのか。この辺りまで含めて変革しなければならず、業務の一部をデジタル化するのではなく、企業全体をデジタルトランスフォーメーションするのは簡単な道のりではございません。
そこで、私としてはMobility Transformationのセミナーや小規模勉強会などで、DXのヒントになるようなコンテンツを届けることで何か持ち帰って欲しいと思っています。また、自社の中で孤軍奮闘している方は不安もあるでしょうから、ミートアップなどで変革を起こしている仲間同士の繋がりを作っていただければと思います。
なるほどですね。もし、マーケティング領域のデジタル化について相談に乗って欲しい。という要望がきても対応してくれますか?
私でよければ、いくらでも相談にのりますよ。たとえば、モビリティ業界ではまだまだWebサイトの活用が上手くできていないと正直感じることがあります。
最近のことですが、MaaSの新サービスのティザーサイトが公開されていたので、Webサイトを拝見したら情報も整理されていてデザインも綺麗でした。ほとんど職業病みたいなものですが、どんなデータを収集しているのがGoogle アナリティクス のビーコン情報をチェックしたら、そもそもトラッキングコードが入ってなかったんです。
たしかに、アプリなどからもログ情報はとれますが、ティザーサイトからも様々なことがわかるのに、もったいないと。これはあくまで一例ですが、まだまだサービスの価値や魅力を高めるために、デジタルマーケティングは活用できるはずです。
とはいえ私一人の力はたかが知れていますから、様々な業界の方々と手を取りながら「移動の進化への挑戦」を皆様と一緒にしていきたいと思っていますので、何かあればお気軽にお声がけください。
一緒に頑張りましょう!ありがとうございました。
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