陶歴50年の陶工がレクチャーする、貸切型陶芸工房。「手軽なアクティビティ」から、「深呼吸をするように陶芸を味わう体験」へ変化を遂げた『HOTOKI』の軌跡。
豊かな自然に囲まれた京都・岩倉の住宅街にある「HOTOKI」。
「深呼吸するように陶芸をしよう」をコンセプトに、
陶芸体験とカフェを貸切で利用できる陶芸スタジオです。
ゆったりと土に触れ、作陶の楽しさを味わっていただくこと、
「岩倉」という土地ならではの穏やかな雰囲気の中で、
特別なひとときを過ごしていただくことを大切にしています。
2015年にオープンしたHOTOKI。「陶芸体験ができるカフェ」として順調に知名度を上げる中、ある大きな課題がありました。そんな中、突如訪れたコロナ禍により余儀なくされた運営スタイルの転換が、思わぬ成果を生みます。
これまでの軌跡を振り返りつつ、これからの展望を運営会社代表の清水と店主の佐藤よりお伝えします。
陶芸体験とカフェを通じて全身で清水焼を味わう陶芸スタジオ「HOTOKI」
京都の市街地から少し離れて、自然豊かな岩倉エリアの住宅街に佇む「HOTOKI」。
メインコンテンツは、工房とカフェを貸切で利用できる陶芸体験です。
「電動ろくろ体験」「手びねり体験」「親子体験」の3つのコースをご用意。
陶歴50年余の陶芸家・清水久をメイン講師として、お一人ずつに
きめ細やかなレクチャーをしています。
観光スポット等にある、手軽さが魅力の「陶芸体験」ではなく、
もっと全身で、深呼吸をするように「清水焼」を味わってほしい。
そんな思いで運営しています。
HOTOKIからほど近い場所にある小径。緑豊かな岩倉ならではの風景
陶芸家の父と息子の思いをぶつけ合いながらオープンにこぎつけた「HOTOKI」。誰でも器を楽しめる空間を目指して
HOTOKIの成り立ちは少し複雑です。
工房兼店舗である建物はもともと、運営会社「Kiyo to-bo株式会社」の代表である清水大介の実家でした。
清水が陶芸家として独立したのち、山科の清水焼団地に工房兼ショップの「トキノハ(現:TOKINOHA Ceramic Studio)」をオープン。
その数年後、「器を実際に使ってもらえる空間を作りたい」との思いで、実家を改装してHOTOKIをオープンしました。
しかし、もともと父である陶芸家・清水久が陶芸工房兼教室「きよ陶房」として長年運営していた経緯があったため、新店舗とするにあたってお互いの意見がぶつかり、激論になることも。
清水大介「両親は、清水焼の名匠「清水六兵衛」の流れをくんでいることをアピールして、曽祖父(5代目)や祖父の作品も店頭に置きたいと言いました。でも僕は、そのやり方では未来がないと思って。当然、父には父の思いがあったので、互いに譲らず激論になることもありました」
結果、改装費を全て自分で賄うという息子の強い思いを両親が受け入れることとなり、工房名も改め、ショップ・カフェ・陶芸体験施設を兼ね備えた「HOTOKI」が2015年の春に誕生します。
清水「HOTOKIは、器のことを知らない人にも興味を持ってもらえる空間を目指していました。カフェでは清水焼の器でお茶を楽しみながら、ディスプレイしている器や体験工房の様子を見ていただけるように席を配置。陶芸体験も15分からと、誰でも気軽に試せるようにしました」
オープンから二年後には清水大介の弟である洋二が運営に加わり、陶芸スタジオならではのイベントの開催などでより多くのお客様がお越しになるように。京都市北部・岩倉という観光地とは離れた立地にも関わらず、国内外のガイドブックに紹介されるなどしてHOTOKIは徐々に知名度を上げていきました。
収益面で課題を抱える中にコロナ渦が直撃。陶芸体験を貸切にすることで運営が改善
HOTOKIの工房。陶芸体験の際は貸し切りで利用できる
カフェや陶芸体験を軸に、親しみやすい店舗として集客に成功したHOTOKI。
しかし、ある課題が浮かび上がりました。
清水「HOTOKIでは器(陶芸)を複合的に体験いただくという理想が叶えられました。ただ、お客さまの多くはカフェ利用や体験にとどまり、器を購入するまでに至らないことが課題だったんです」
カフェや手軽な陶芸体験は、集客はできても収益の面では厳しい、という課題。
そして2020年、コロナ禍が訪れます。
観光都市・京都が、かつてないほどに静まり返りました。HOTOKIも例外ではなく、一時は集客がゼロに近い状態になったことも。新しい営業形態を模索することを余儀なくされます。
清水「収益のバランスを考えて営業日を週末に絞るなど、実はコロナ禍の前年からHOTOKIはよりコンパクトな形にシフトしつつありました。ようやくいい形になってきたところへ、コロナ禍がやってきたんです」
悩んだ末、集客の軸であったカフェとしての営業は終了し、陶芸体験をメインとした店舗へシフト。体験は「完全予約制・一組貸切り制」とし、体験価格をそれまでの約1.5倍に上げることに。この思い切った決断は思わぬ効果をもたらしました。
清水「やはり、一番懸念したのは集客です。京都とはいえメジャーな観光スポットからは離れており、こういった店を構えるのに恵まれた立地とはいえません。集客の要の一つであったカフェの単体営業を辞めるうえ、料金も上げるとなると、お客様は離れていってしまうのでは…と。不安の中での営業再開でした」
電動ろくろ体験の様子。陶芸家・清水久と講師がマンツーマンでレクチャーする
清水「それでも、当時はコロナの影響で「貸し切り」に需要があり、ありがたいことに多くのご予約をいただきまして。体験されたお客さまからは、『こんなにじっくり楽しめて、カフェも利用できてこの価格は安い』といった言葉もいただくようになりました。以前は体験教室を1日に8枠設けていたことで、分刻みのスケジュールを強いられていました。時間が押すと、観光の予定が詰まっているお客さまからクレームになることもあったんです。それが貸し切り制にしてからは、スタッフもゆとりを持って行動できるようになり、これがHOTOKIに合う形だったんだなと。まさに発想の転換で、これは僕たちにとってすごくいい気付きになりましたね」
焼き上がりの色を決める。HOTOKIオリジナル釉薬7色から選択可能
体験で集中したあとは、貸し切りカフェでほっと一息。感想などを語らう時間に
手軽なアクティビティを超えた特別な陶芸体験を届けていきたい
コロナ禍を経て、よりあるべき形へと進化したHOTOKI。
新たな運営体制が安定してきたところで、長らく店主を勤めた清水洋二が独立により離脱します。現在は、HOTOKIの軌跡を引き継ぎいだ担当者(佐藤)が、店主として運営しています。
HOTOKIの運営メンバー。左から佐藤(店主/運営)、清水久(陶芸家/講師)、清水祥子
佐藤「HOTOKIは、観光地の手軽なアクティビティとは一線を画する『特別な陶芸体験』を目指しています。工房貸し切りでじっくり作陶できるので、ちょっと個性のある作品を作ってみたいという方もよくいらっしゃいます。体験でお越しになった方が、そのまま定期スクールに入会されることもありますよ。京都にはさまざまなアクティビティがありますが、その中でもちょっと特別な体験をしてみたいという方にはぜひご利用いただきたいですね。『陶芸』によってかけがえのない時間を提供できるように、スタッフ一同努めています」
焼き上がった作品たち。一点ずつ丁寧に仕上げています
思い出を形に残せる陶芸体験は、その体験も作品も、お客様にとってかけがえのないもの。HOTOKIに来た人が、しばしの間日常を忘れて、心から土と向き合い、楽しみ、感動できる。そんな心のオアシスのようなお店を目指しています。
スタッフ一同、みなさまのお越しを心よりお待ちしております。
【施設情報】
HOTOKI(ホトキ)
〒606-0006 京都市左京区岩倉西五田町17-2
OPEN | 金曜日・土曜日・日曜日および祝日
10:00-18:00(11:30~12:30 close)
TEL | 075-781-1353
MAIL | info@hotoki.jp
WEB |https://hotoki.jp
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