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時代に翻弄されながらも、TOMONARI株式会社が開く活路。インバウンド観光、貿易販売、そしてグランピング施設開業へ。人口最少・鳥取県からの挑戦

著者: TOMONARI株式会社

ウィズコロナの時代を見据えた事業展開。インバウンド企業がグランピング場を始めるまで


2017年9月、TOMONARI株式会社が鳥取県にひっそりと産声を上げた。

設立したのは、焦学智(ショウ ガクチ)。

現在も代表取締役を務めている焦は中国出身。

日本には留学生として来日。大学を卒業し、いくつかの団体や企業に勤めた後、自分の出自や経験を活かしたインバウンドの企業を立ち上げたのである。

鳥取県第1号となる旅行サービス手配業者の資格を取得し、対中国を主軸にインバウンドコンサルタント、海外で人気のSNSの運営代行、海外向け訪日プロモーションの企画・運営、中国語などの翻訳・通訳・ガイド講習などを精力的に展開。


その甲斐もあって、事業は軌道に乗り出したかのように見えた2019年。事態は急変する。


そう。新型感染症の感染拡大である。


それまで、「爆買い」「地域経済を救うのはインバウンド消費」と時代の追い風を感じていた状況からの、一転した逆風。海外からの観光客流入など、考えもつかない状態に陥る。


インバウンド事業による収入はゼロ……

それならば、と次に始めた事業が物品販売事業。

コロナ禍の中で必要となった、検温器や換気を促すCO2モニターなどの感染対策用品を取り扱ったのである。

結果、これが成功。

インバウンド事業が休業状態となったことを補って余りある忙しさに追われる日々。

今までのように1人では、とても仕事が回せず、スタッフを新たに雇い、会社は大きくなっていった。


だが、コロナ禍の先“ウィズコロナ”を見据えると、かつての苦い経験がよみがえる。

いずれ来る「ウィズコロナ」の時代。

感染対策用品の販売事業に頼り切っては、かつての二の舞である。

キャンプ用テントなど、他のジャンルの物販も始めるが、それが軌道に乗る前に「新型コロナの五類移行」などのニュースが徐々に耳にするように。

そこで、目をつけたのが、コロナ禍においても好調を、いや成長すら示したアウトドア事業であった。


豊かな自然に魅せられた、企業の原点に立ち返る。「大山リゾート沢田ベース」の開業


焦の日本における出発点は、中国山地に入った岡山県の吉備国際大学。

その後、移り住んだのは、鳥取県が誇る中国最高峰:大山の麓。

いずれも、自然豊かな環境に魅了された。

自然の中で学習支援を行う団体に勤めたこともある。

インバウンド企業を立ち上げたのも、この日本が有する大自然に抱かれた環境や歴史・文化を中国からの観光客に味わってもらうのが目的だった。

今後の事業展開に悩んだ時、立ち返った原点。

そして、その原点から発想したのがアウトドア事業……気軽に自然の中に泊まって遊べるグランピング施設の経営であった。


約1年間。

通常営業が終わってから毎夜、スタッフと一緒に手探りでグランピング施設開業に向けて検討と決定、そして壁に当たっての再検討を繰り返した。

構想が進展するごとに当初の予算を大きく超えていく必要経費。

なんとか地元の商工会や銀行にはたらきかけ、補助や融資を得ることができた。

文字どおり社運をかけて、トライ&エラーを繰り返して、起業の原点をカタチにした。


2023年4月28日。「DAISEN RESORT 沢田ベース」(以下、沢田ベース)がオープン。

開業直後に大型連休があり、春のキャンプシーズンということもあり、意気揚々と営業を始めた。

だが、ゴールデンウィークを越すと、沢田ベースには閑古鳥が鳴くことに。

実店舗を構えての新規事業を開始することの難しさを実感する。

いかに施設の認知度を上げ、来ていただいたお客様に質の高いサービスを提供できるか。

シンプルではあるが、答えの見えない課題。

スタッフの多くは、EC販売事業やインバウンド事業との兼務であり、手探りの日々が続く。

方向性の違いから、会社から去っていくスタッフもいた。


それでも、トライ&エラーを繰り返して事態の打開を図っていく。

夏には幼児向けプールを展開し、秋にはハロウィンの巨大オブジェを設置。

小型の焚き火ではなく、キャンプファイヤーを宿泊者が楽しめるように設備を整え、現在はドッグランを増設中で、薪割り体験を開始する準備をしている。

また、沢田ベース当初のコンセプト「気軽にキャンプ」をしてもらおうと、サービス価格で宿泊できる優待券を各所に配布。各種メディアへの露出を増やし、広報活動に力を入れていく。


キャンプシーズンである秋を迎えるころになると、再び沢田ベースに活気が戻ってきた。

夏に配布した宿泊優待券も効果があり、50組を超える宿泊者を迎えることができた。

さらに、企業研修やウェディングイベントの会場に使いたい、という想定もしていなかった申し込みもあった。新たな商機が見いだせる。そんな期待と新たな活力が芽生える。


何事も、やってみないとわからない。

やってみて活路を見出し、その活路が見え始めた。そんな2023年だった。


激動の時代の中で、進む道を見出す。沢田ベースで続く、挑戦と進化


「ブランディング」や「マーケティング」といった綿密周到な準備や調査が重要なことはわかっている。

しかし、TOMONARI株式会社が「悩む」ことにさける時間は長くはなかった。

中国の有名な兵法家・孫子いわく「兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを睹ざるなり」。

石橋を叩いているうちに、時代の流れに飲まれてはなにもならない。


コロナ禍に翻弄され、それでも前に進んだTOMONARI株式会社がたどり着いた原点にして再始動の拠点。それが「沢田ベース」。

アウトドア業界に「2年目のジンクス」があるのかわからないが、今後もトライ&エラーの精神で、さらなる進化を遂げていきたい。



TOMONARI株式会社 https://tn-kk.co.jp/


DAISEN RESORT 沢田ベース https://sawadabase.com/


沢田テント https://sawada-tent.jp/

(沢田ベースでも使用している自社ブランドのキャンプテント)




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