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今日が、残りの人生の最初の1日。

ADDressはどのようにして地域コミュニティと関係人口を創出しているのか

著者: 株式会社アドレス

月額4万円〜利用できる定額制サブスクリプションの多拠点コリビングサービス「ADDress」を開始したのは、およそ1年前の2019年4月です。コリビングとは住職一体型の施設で、シェアハウスでありながらコワーキングスペースも備わる住宅。住まいをシェアするという、日本国内ではこれまでにない発想の新しいサービスです。


「ADDress」を始めたきっかけ、地域共創へ向けたビジョンについて、創業メンバーで同社取締役の桜井里子文責で説明します。



Q. なぜ、ADDressを立ち上げようと思ったのか?


構想自体は2017年の冬くらいから、(ADDress代表取締役社長の)佐別当と話していました。当時からお互い地方創生の取り組みをしていました。佐別当は一般社団法人シェアリングエコノミー協会の立ち上げに携わり、当時は事務局長(現在は常任理事)として遊休資産の活用を広げる社会活動に専念。私はポート株式会社に所属し、地方創生コンサルタントとして地方に新しい仕事を誘致して雇用を作ったり、一般社団法人日本ふるさと手しごと協会の代表理事として全国の伝統産業の事業者に対してWebマーケティングの活用支援を手掛けたりしています。


5月にオープンしたADDress小田原の家


佐別当も私も、地域ビジネスに携わる機会が多いため、私たちはずっと以前から多拠点生活を実践していました。訪問する地域は例外なく、人口減少とそれによる空き家問題に直面している事実をまざまざと見せつけられ、何とかしたいという思いが次第に高まりました。そこで2018年1月に立ち上げたのが『21世紀の参勤交代プロジェクト』。


都心(江戸)から地方への人口の流れを作るにはどうしたらいいか?というテーマに、毎月定例イベントを企画し、全国からユニークなメンバーを集めてワークショップを開催しました。ゆるっとしたイベントにも関わらず、わざわざ新幹線で駆けつけてくれるような参加者もいて、熱狂的な多拠点生活マニアの人たちとの出会いは強烈でした。そうした交流の中で、少しずつADDressのプラットフォームのアイデアが生まれていきました。


空き家を活用するサービスですが、単なる別荘シェアではなく、そこに住む人の生き方も豊かにするような地域コミュニティ構想がサービスの主軸であることは当時も今も変わりません。


別荘地の空き家を活用したADDress矢板の家


地域の空き家を活用し、地域ごとにコミュニティを作っていくアイデアを実現するには、物件探しとともに人材探しも求められました。コミュニティは人がつくるものです。ここで佐別当が発案したのが「家守」という仕組みでした。



Q. サービスの根幹である「家守」とはどういう制度?


家守と書いて、「やもり」と読みます。物件ごとに1名または1チーム単位で任命し、地域コミュニティ・マネジャーとして家の管理の他、地域の人や情報を紹介したり、地域と会員、会員と会員の繋ぎ役として、コミュニティを盛り上げる役割を担っています。


家守がいるからこそ、初めて訪れる土地がまるで「行きつけの地」のように、地域理解が深まるのです。


家守は住み込みでADDress物件に定住するタイプと、近所に住んで通いで対応するタイプの2通りがいます。もともとその地域に住んでいたり、数年前に移住してきたり、はたまたADDressがきっかけで移住したり、とさまざまな背景の家守がいます。年齢も20歳から上は80代まで、老若男女幅広いのが特長です。家守業はあくまで副業であり、皆さんそれぞれにお仕事を抱えながら携わっています。


空き家活用を手掛けるADDressは、家そのものの快適さも追求していますが、家守の存在がそれ以上に重要です。家の価値は、そこに住む人によって変わる。これは個人的な考えに基づきますが、民泊が日本国内にも広がり始めた頃から、私は出張・観光で民泊を利用するようになりました。サービスを始めた当初は、自分では決して購入できないような豪邸を一棟借りして優越感に浸っていたものですが、そういう使い方はすぐに飽きてしまいました。結局、今でも思い出し、度々訪問しているのは「オーナーさん」ありきで、人との出会いに感動したから。ADDressも人と人との出会いとコミュニティに価値があり、だからこそ何度も利用したいと思われるサービスにしたいです。


ADDress清川の家では、菜園プロジェクトコミュニティが誕生


今、家守同士でもコミュニティができています。これは自然発生的に生まれたもので、私たち運営は一切介入していません。たとえば「房総エリア」だったり「湘南エリア」だったり。複数拠点の地域ブロックで形成され、運用の改善点について話し合ったり、共同イベントの企画を考えたり、ADDressをもっと良いサービスにするために、当事者の立場から意見を出して自主的に動いてくれています。非常に嬉しい出来事です。これがコミュニティの素晴らしさだと思います。



Q. 関係人口の創出とは具体的にどんなことか?


全国の地方自治体は、人口減少対策として移住定住施策に力を注いできました。現在も地域おこし協力隊制度の導入を続けており、地域によりけりですが退任後の定住者も過半数を上っているようです(総務省2019年度調査報告より)。


ただ、中山間地域や地方都市における若者の転出傾向は歯止めがかからず、転出超過傾向は加速化しています。移住定住は、その地に縁のない人にとってはハードルが高いからです。家の問題はその1つで、地方によっては賃貸物件は少なく、売却物件の方が多かったりしますが、見ず知らずの地でいきなり家を買うのは、なかなか勇気がいるものです。また、好む仕事やスキルアップが期待できる仕事など、都会の雇用環境・雇用条件との相違も大きな阻害要因です。


定期的にイベントを開催し、ADDressの世界観を伝えている(緊急事態宣言発令期間中はオンラインイベントにて開催中)


そこで注目されるようになったのが、移住でも定住でもない「関係人口」です。関係人口は地域との関わり方によって、ふるさと納税利用者のような非訪問型タイプもいれば、イベント参加やボランティア活動、地域での複業・兼業といった訪問型タイプもいます。いずれも地域への貢献が条件です。ゆるく関わりながらも、関わることでやりがい・生きがいを感じられることがポイントだと思います。


ADDressは多拠点居住サービスなので、ADDressの物件のある家に会員が滞在すること、つまり「訪問型タイプ」の関係人口創出を目指しています。地域で生活する会員の中には、ご自身の得意なスキルを活かして地元企業から仕事を受注したり、地域住民を対象にしたセミナーやワークショップなどの研修を開催したりしている方も複数います。一過性の滞在ではないからこその地域貢献であり、住まいが地域にあることで活動領域がぐんと広がる事例になっています。受け入れる地域の方も、何度も訪問して滞在する会員のことは把握していて、そのような会員に積極的に声を掛けてくれるケースも出てきました。



Q. ホテル・旅館との連携も進めているのはなぜ?


新型コロナウイルス感染拡大に伴い、観光業界が大きな打撃を受けています。

年間を通して需要の多かったゴールデンウィーク期間は、外出自粛で休業をする宿泊施設が目立ちました。


以前からホテル・旅館とも連携をしていましたが、このコロナの影響で問い合わせが急増しています。他方、自粛要請が継続する中で、利用者側であるADDress会員からも「自宅以外の専用個室がほしい」という声も大きくなってきました。都心の狭小スペースでの缶詰生活は、精神衛生的にも課題があると思っています。


観光客の場合は短期のスポット滞在が主流ですが、ADDressは住まいのサービスなので、働く場を提供しながらの長期滞在を促進しています。また、入会にあたっては本人確認や反社チェックなどを実施し、その他の属性情報もヒアリングしています。どこから来て、何をして、どこに行くのかが把握しづらい短期滞在者とは異なるため、受入側も安心できます。


ADDressみなかみ邸(ホテルファミリーオ みなかみ)の個室


いつまでコロナの影響が続くか分からない現況に悩むホテル・旅館などの宿泊施設に対して、1個室から賃貸借契約でADDressが部屋を借り、特定の会員へ利用を促すことで、共栄共存ができればいいと考えています。宿泊施設にとっては新しい試みなので、お試し期間を設けています。まず、会員利用ニーズや実態を確認していきながら、継続できそうであれば契約を更新したり見直したりしていきます。ホテル・旅館と連携し、安全な住まいの提供を促進することで、リモートワークやワーケーションといった関係人口創出に繋がる地域活性を目指しています。


×


* * * * *


新型コロナウイルス感染拡大に伴い、住まいの定義も変革の時期を迎えています。緊急事態宣言が発令され、多くの企業が外出自粛体制に切り替え、リモートワーク化が進みました。リモートワークで組織経営が円滑に遂行されるのであれば、わざわざ地価の高い都心にオフィスを構え、社員数分のデスクを設置する固定費も不要になります。社員も満員電車で通勤する必要もなくなり、通勤時間分を活用して個人の時間に充てることもできます。より一層、自由でゆとりある生活が実現できます。ADDressの拠点はまさに、これからのWithコロナ/Afterコロナ時代に寄り添う、住まいの価値を提供していきます。




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