法改正に伴い、早期対応が望まれる「テールゲートリフター特別教育」。25年の間に蓄積した独自のノウハウを活かした「しっかり身に付く」講習の中身とは。
トラックの後部で荷物を積み下ろしする昇降装置「テールゲートリフター」
労働安全衛生規則改正に伴って、令和6年2月1日以降から、特別教育修了者以外はテールゲートリフターによる荷役作業を行うことができなくなり、「テールゲートリフターの操作に関わる特別教育」が義務化されます。近年、テールゲートリフターの使用中に労災が多発していることから、ヘルメットの着用義務化等と併せて対策が強化されました。
テールゲートリフターとは、トラック後部(テールゲート)に搭載された荷物積み降ろしのための昇降装置のことです。荷物を載せて床面と地面の間を行き来するので、フォークリフト等の荷役機械を使用せず、ドライバー1人でも効率よく重い荷物の積み降ろしができます。荷役作業の効率化において多くの業界で普及が進んでいますが、便利な反面、取り扱いを誤ると労働災害につながる危険性もあります。例えば荷降ろし作業中、トラックのテールゲートから荷が落下し、下敷きになったなどという労災がありました。
CIC日本建設情報センターでは、対応に急ぐ事業場を対象に、1日6時間で完結する「テールゲートリフター特別教育」を開催しています。
「1件でも労働災害をなくしたい」という情熱を持つ、CIC日本建設情報センターの取締役 髙世が講座開講までの裏側をご紹介します。
需要に対して供給が圧倒的に足りていないテールゲートリフター特別教育。講座開講が急務だった
当社では創業から25年間、建設現場で使う国家資格の施工管理技士を目指す方に対して受験対策講座を行なってきました。テールゲートリフターは建設現場でもよく使います。振動ローラーなど数百㎏あるようなものを運ぶ際には不可欠です。当社のお客さまにもテールゲートリフターを業務で使っている企業様が多いので、今回の法改正で早期対応を望まれていました。
日本建設情報センター 髙世
建設現場はまさに危険作業が多い仕事のため、近年は当社ではテールゲートリフター特別教育以外にも安全衛生教育を数多くご用意しています。自分自身も前職では建設現場に携わっていたこともあり、現場で起きた労災の話を聞くとせつない気持ちになります。労災ゼロはなかなか難しいかもしれませんが、1件でも労災事故を減らしたい思いで、特別教育の講習会開催という仕事を通して安全普及活動を行なっています。今回もそんな思いから講座開講を決めました。
テールゲートリフターを使った作業をする方々は60万人以上と言われています。当社の受講者アンケートによると「その他」業種が一番多いので、この結果からもテールゲートリフターの使用が他業種に渡っていることがわかると思います。次に運送業が多く、三番目に建設業です。60万人以上が受講対象ということですので、需要に対して供給が圧倒的に足りていない現状がありました。
もし当社で毎日行ったとしても需要を満たすには到底及びません。他社でも講座を提供しているところはありますが、それでも対象者全員が受け終わるまでには相当な時間が必要でしょう。施行日に間に合わないのではないかと、多くの会社様は焦っているようでした。2024年の2月以降、特別教育を受けていない作業者はテールゲートリフターを使用できなくなる。それは20年、30年以上使用しているベテランでも例外ではありません。間に合わないとなるとその会社の営業損害は大きなものになります。ですからこの講座開講は急務でした。
五感を使った「記憶に残る講習」で、しっかり学んで実践できる講習を目指す
当社のテールゲートリフター特別教育については、「作業者用」と「インストラクター用」に分かれています。「作業者用」特別教育は厚生労働省のカリキュラムに沿って用意したものになります。実技の講習では実機を使ってみなさんに安全確認等を行って頂いております。「インスタラクター用」を企画したのは前述した通り対象者が膨大である講座のため、各自事業所ごとに指導者がいて他の作業員に特別教育を行うという方法が会社様にとっては効率的だろうと思ったんですね。しかし、急に安全のための指導や教育はできないでしょうから、特別教育をする際は社員に対してこういう指導をしましょうといった指導者養成も開講しようと決めました。
「作業者用」、「インストラクター用」どちらも当社では記憶に残りやすい学習方法を取り入れています。特別教育は危険作業から身を守るためのものです。場合によっては命を落とすこともあります。自分や、一緒に働くみんなが毎日無事に家に帰れるという当たり前が守られなくてはいけません。ですから講義内容をしっかり学んでもらいたいんです。特に「インストラクター用」ではその方がこれから多くの作業者様に教育を行う訳ですから講習でしっかり覚えてもらえることを重視しました。実践してもらわなければ、せっかく特別教育を受講しても何も意味がありません。
記憶に残りやすい学習とは、なるべく五感を使わせることが大事だと言われています、ただ講習を聞くだけではなく、フルカラーの写真や動画の資料を用意したり、場合によってはグループ討議を行うなど、より記憶に残る講習となるように工夫しました。
講師も受講生も真剣そのもの。拍手があがるほど充実した講習会に
講習会の初日は予定通りプログラムが進行するかどうか緊張感を持ってわたしも会場に向かいました。担当する講師も会場担当も「一人でも多くの労働者の安全を守るための講習にする。」という共通の思いで真剣でした。
その思いが受講者様にも伝わっていたのか、皆さんとても真剣に受講されていたのが印象的でした。特に「インストラクター用」講習では受講者様自身、自分が指導者になるんだという自覚や責任感をお持ちなので、わからないところはどんどん質問されていました。担当講師は安全教育のスペシャリストですし、時には事務局として私も受け答えをしました。大変有難いことに毎回受講者様からは拍手をいただくんです。講習会では講師や事務局はもちろんですが受講者様も真剣にこの特別教育に向き合っていただけているようで、とても励みになりました。
テールゲートリフター起因災害の被災タイプ(出典:労働安全衛生総合研究所)
「1メートルは一命(メイ)取る」。建設業界ではよく使う言葉で「1メートルの高さから墜落・転落すると一つの命が奪われる」と言われています。テールゲートリフターの作業でも墜落・転落事故が多く発生しています。事故や労災が起きるのは、きちんとした教育が行き届いておらず安全意識が低いということが問題だと思います。ちゃんと準備してみんなで「よし、安全にやろう」というときには労災や事故はおきません。考え事をしているときや近道行動(障害物などを避けて遠回りしなければいけないところを近道である危険な道を通るなど)をするときなど、大概ふとした時に事故は起こるものです。安全意識が低いと、つい近道行動など安易な作業をしてしまう。その代償はとんでもなく大きいです。一方で現実的には一人作業があったり、業務スピードを最優先せざるをえなかったりしますので、そんな現場では怪我はつきものだとも言えます。軽傷はゼロにできないとしても、死亡事故だけは絶対になくさなくてはいけない。講習会で学べることは全て吸収して、事業場に戻られてからも一人一人が安全のための行動を着実に実践していただけますと幸いです。
実機を用いた講習の様子
法改正が目前に迫り、講座は毎回早期満席。事業者により知を広げ、全国各地での開催地を目指す
当社のテールゲートリフター講座は東京・大阪・名古屋を中心に行なっていますが有難いことに講座を増やすたび早期満席になっています。この特別教育は施行が2024年2月1日からですので、急いで受講される方がまだまだいらっしゃいますし、義務化についてご存じない事業者様もまだ多くいるようで認知が広まっていないと感じます。
当社でもテールゲートリフターを使用されるであろう事業者様へDMなどでお知らせを行なっています。また、開催地も北海道や、仙台、福岡など全国で開催を企画しております。特別教育を受けないでテールゲートリフターの作業を行った場合は罰則がありますし、事故が起きた時はその方だけでなくご家族や会社にも大きな損害となってしまいます。少しでも皆さんの安全を確保できるよう当社としてはよりわかりやすい教育内容にブラッシュアップしてお伝えしていきたいです。
講習会の様子
おかげさまで創業25周年。今後もより多くの事業者にフィットした安全教育を意欲的に提供
当社はおかげさまで創業から25周年を迎え、安全教育により一層重きをおいて、今後も有資格者増加や現場研修など事業者様や個人のお客様のお手伝いを行なっていきます。このようなことでお困りごと等ございましたら業種・事業規模・取扱業務に合わせた専用のプログラムで講習会を開催することも可能です。ぜひお役立ていただけると幸いです。
・ご案内・
「テールゲートリフター特別教育」
https://www.cic-ct.co.jp/tailgate_lifter
その他の特別教育
https://www.cic-ct.co.jp/ashiba
令和6年から試験内容が変わります。「施工管理技士受験対策講座」
https://www.cic-ct.co.jp/sekoukanri/kaisei-r6
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