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「人と組織で勝つ」レイヤーズ・コンサルティングが考える人的資本経営の出発点としてのISO 30414認証と支援した日立建機認証取得までの道のり

著者: 株式会社レイヤーズ・コンサルティング

レイヤーズ・コンサルティング(以下レイヤーズ)は、日立建機株式会社様(以下日立建機)における人的資本マネジメント・開示の基準であるISO 30414の認証取得、ならびに人的資本レポートの作成・開示について支援しました。


レイヤーズでは、ISO 30414認証取得の最大の価値を「人的資本経営を体系的に推し進めて企業価値を向上させる上で強固な出発点になること」と捉え、認証を取得すること自体がゴールではない、という強いおもいを持って今回のプロジェクトを進めてきました。


今回、日立建機様ご支援の中心となりプロジェクトを牽引した、HR事業部 ディレクターの小宮 泰一に聞きました。


【プレスリリース】レイヤーズ・コンサルティング、日立建機株式会社の人的資本マネジメント・開示の強化を支援


ISO 30414とは

――そもそもISO 30414とはどういった認証なのでしょうか。


小宮:ISO 30414は、国際標準化機構(International Organization for Standardization)のマネジメントシステム規格の1つで、組織が自社の従業員に関する人的資本の情報について、定量化し、分析し、開示するための国際的な指標として設けられたガイドラインです。


生産性やダイバーシティなど、人的資本に関する11の項目と58の指標で構成されています。「ヒト」の位置付けが、消費対象としての“費用”から投資対象としての“資本”に見直される中で、人的資本を可視化、投資・強化して企業の競争力を高める上での有用なグローバル・スタンダードとして、ISO 30414に対する注目度が高まりつつあります。


―――製造業などで聞くISO規格とは異なる位置づけなのですね。


小宮:ISO 30414はあくまでガイドライン(guideline)と位置付けられていて、順守義務を定めた品質マネジメント規格のISO 9001や環境マネジメント規格のISO 14001ほど、企業に対する強制力が強くない側面があります。


ISO 30414の認証を得た企業は、現在グローバルで10社あまり。その半数を日本企業が占めており、日立建機様は日本企業として6社目の認証取得企業です。機械メーカーとしてはグローバル初の認証取得企業となりました。


【ISO 30414とは】

機械メーカーとして初の認証取得を実現した4つのポイント

―――レイヤーズが今回の支援において、特に注力したポイントはどういった点でしょうか。


小宮:以下4点が挙げられると考えています。

第1:“経営・事業戦略から連動化一体化した人財戦略・施策の体系的整理”

小宮:私たちがご支援させていただく前段階において、日立建機様は既に、人財戦略・施策ならびにその体系的整理はされていました。

私たちはそこに、客観的かつ読み手=ステークホルダー目線を加えて、経営・事業戦略から切れ目なくつながるよう、仮説立案とディスカッションを経て再整理しました。

その際には、“第2の創業”を迎えた同社の経営戦略について、中期経営計画等を熟読して、何度もディスカッションを経て、内容やつながりの理解と表現に努めました。

また、CHROならびに同社人財本部のヒト“Kenkijin”に対するおもいや視点を体感するために、竣工間もない同社土浦工場にも足を運び、検討の土台としました。


第2:“ISO 30414メトリックの選定とFit & Gap分析”

小宮:ご支援開始時点でのFit & Gap分析では、ISO 30414の定義に則っているメトリック(基準)数は、認証取得には不十分な状況でした。

そこで、今回の認証取得に向けて定義を満たすべきメトリックを選定し、その試算値や方法をFit & Gap分析で再確認しました。

メトリック選定は主に、


①経営戦略・人材戦略実現の視点

②社員や資本市場等のステークホルダーからの視点

③ベンチマーク企業との比較の視点

④メトリックの算出・マネジメントの実現性の視点


の4つの視点より行いました。

第3:“人的資本マネジメントのプロセス検証・強化”

小宮:ISO 30414のメトリックは本来、人的資本マネジメントに活用してこそ企業価値向上に資するものです。それには、例えば各メトリックについて、その構成要素であるデータの取得元や安全性・信頼性、メトリック自体の報告先等を、マネジメントの仕組みとして確立する必要があります。

私たちは、ISO 30414のプロフェッショナル認証を受けたコンサルタントが有する知見と、多くのプロジェクトの知見を注ぎ込んだ検証用テンプレートを活用して、迅速かつ網羅的に人的資本マネジメントのプロセスを検証しました。

検証結果に基づいてISO 30414に対する準拠度合いを確認し、その引き上げに向けたディスカッションとプロセス改善の提言を通じて、認証取得の確度を高めていきました。

第4:“人的資本レポートのドラフト作成・推敲”

小宮:日立建機様としての“人的資本” “人的資本経営”を見定め、「らしさ」を具現化する人財戦略・施策と合わせてステークホルダーに分かりやすく伝わることを目指し、ディスカッションを重ねました。

その時には、特に伝えたいステークホルダーが誰なのかをイメージして、人的資本レポート中の表現に落し込んでいきました。

こうした過程を経て、単に認証取得のためではなく、日立建機様とステークホルダーが双方向で腹落ちするナラティブ(対話)に有用なレポートが書けたのではないか、と自負しています。


この“ナラティブ”の構築こそ、今回の人的資本レポートでこだわった点であり、日立建機様の考え・取り組みと当社の第3者としての視点・知見が融合したものです。

個人的にものづくりや生産現場が好きなこともあって、かなりのめり込みもしましたが(笑)



【レイヤーズ支援における4つの切り口・取り組み】


―――緻密な分析や検証と、画一的ではなく「日立建機様らしさ」を常に重要視された支援が実を結んだと言えますね。

ISO 30414認証、その先の人的資本経営本格化へ

―――「認証取得がゴールではない」ということでしたが、この先の展望はどのように描いているのでしょうか。


小宮:まさにここから人的資本経営を本格化する必要がある、という認識を日立建機様とレイヤーズで共有しています。

私たちは、財務資本同様の連結ベースでの人的資本マネジメント・開示、人的資本に関するデータガバナンスのレベルアップ、経営戦略から連動・一体となった人的資本KGI・KPI体系の構築等が、今後の人的資本経営におけるテーマになり得ると考えています。

ここで大切なのは、ISO 30414のメトリック参照、ないし認証取得は、人的資本経営を推し進める一手段として使いこなしてナンボであることです。単にISO 30414や人的資本可視化指針に則るだけでは標準的な世界から抜け出せず、企業価値向上の源泉である“らしさ” “強み”の強化や表現が困難であるからです。


とは言え、自社のヒトや経営戦略・人財戦略を見つめ直し、“らしさ” “強み”を表出したナラティブを組み上げる上で、まずは物差しとなるISO 30414は有効な手段となります。


ISO 30414がグローバル・スタンダードとして着実に存在感を高めていることも見逃せません。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)や米国証券取引委員会(SEC)は、人的資本開示強化を企業に求める流れの中で、ISO 30414の内容を取り込む方向にあるとされ、この流れは日本にも及ぶ可能性が高いでしょう。この点を考慮すると、現時点におけるISO 30414への準拠度のFit & Gap分析を一度行い、近い将来における人的資本開示強化に備えた現在地確認が望ましいと考えています。


【レイヤーズの人的資本経営コンサルティングメニュー】

「人と組織で勝つ」人財経営コンサルティング

小宮:レイヤーズは 「人と組織で勝つ」人財経営コンサルティングを提供しています。

先般、「自社らしさ」を追求し戦略人事を実現する人材マネジメントコンセプト 『Authentic People Management®』を、HR領域のオピニオンリーダーである八木 洋介氏の株式会社people firstと共同で商標登録もいたしました。

ISO 30414の活用や認証取得に限らず、「人と組織で勝つ」というキーワードにご関心をお持ちでしたら、お気兼ねなくお声がけください。




■日立建機 CHROご登壇!オンラインセミナーを開催します

2024年1月26日(金)15:00~17:00

“我が社らしく人と組織で勝つ”  ISO 30414を出発点とした人的資本経営の実践

プログラム・セミナー詳細はこちら:https://www.layers.co.jp/seminar/s20240126/




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