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誰かの幸せを願う“その人”を幸せにしたい。誰でも簡単に寄せ書きムービーが作れる動画作成サービス「Gifvie」の誕生秘話と込めた想い

著者: I&CO合同会社

 I&CO(アイアンドコー)はニューヨークと東京を拠点にグローバルで活動するビジネス・インベンション・ファームです。「新たなビジネスやプロダクトの発明を通じて未来をデザインする」というミッションを掲げ、クライアントからの依頼に対し戦略立案からデザインまでを担っています。そんな私たちが、「こんなサービスがあればいいのに」という想いから開発し、2021年にサービスを開始したのが「Gifvie(ギフビー)」です。


 「Gifvie」はメッセージ動画をスマホで自撮りするだけで、複数人での寄せ書きムービーを自動で編集・作成できるサービスです。複数人でメッセージ動画をプレゼントする際に発生する、幹事としての進行管理や動画の編集スキル、専用アプリは不要です。誰でも気軽に素敵なムービーのプレゼントを用意することができます。「結婚や誕生日、記念日」などのお祝いシーンや「転職や退職、卒業・卒園」などの送別シーンで利用されています。


 このストーリーでは、大切な人をお祝いしたい気持ちに応えるべく開発が始まった「Gifvie」誕生までの道のりと、その後の反響をご紹介します。


きっかけは自分たちの思い。社内の繋がりが希薄になったコロナ禍で生まれた“リモートお祝い”動画の作成を助けるサービスの必要性


 I&COが東京にオフィスを構えたのは2019年でした。その直後となる2020年に、コロナ禍が訪れたことで、集まって誰かの誕生日や周年ごとを祝ったり、プレゼントなどのモノを渡したりすることができなくなってしまいました。「関係性が希薄になりつつある時期だからこそ、リモートでもお祝いできる術が欲しい」そして、きっとその思いは自分たちだけでなく、世の中にもニーズがあるのではないかと考えたのが、寄せ書きムービー「Gifvie」が生まれたきっかけです。


 プレゼントを準備する幹事にとって、毎回何を贈るか考えるのはひと苦労です。しかし、動画のプレゼントなら毎回違った仕上がりになりますし、なかなか会えない人たちからのメッセージはきっと喜ばれるはずです。ただ問題は、メッセージ動画を作るのはとにかく面倒だということです。幹事が必ずしも動画編集のスキルが高いとは限らないですし、仕事や勉強の合間を縫って動画を集めたり編集するのはとても大変です。メッセージ動画はプレゼントとして「需要はあるものの、取り組むハードルが高いものになっているのでは?」と考えました。


ユーザーのイメージは明確に。「動画編集スキルが高くない幹事さん」に的を絞ったブレない開発


 メッセージ動画のニーズが高そうな結婚式に絞ってサービス検討した時期もありましたが、企画を練るうちにそこだけに限定せず、お祝いや送別などのイベント全般に使えるサービスに決定しました。ユーザーのイメージは「動画編集スキルがあまり高くない、動画制作に苦手意識のある幹事さん」に決めました。


 このユーザー像の設定は重要で、開発時に機能や体験フローを考える際のあらゆる取捨選択の軸となりました。それだけでなくサービス開始後の機能・サービス改善においても「Gifvie」がブレずにいられる理由のひとつです。サービスの検討段階では、思いつく限りのアイデアを出しました。パラパラ漫画のような演出ができたり、スケッチブックリレーのムービーが作れたり、リマインド機能があったり、アバターがガイドをしてくれたりというアイデアです。


 検討を重ねた結果、私たちが作るのは、「ものすごくクオリティが高く編集された立派な作品」ではなく、「大切な人に想いを伝えることに特化したメッセージ動画づくりをアシストするサービス」なんだという結論に辿り着きました。


 一度思いきり風呂敷を広げて検討し尽くしたからこそ、ミニマルな機能でいいんだと自信を持てたように思いますし、それ以降は全員が同じ方向を向いて開発を進められました。


「幹事レス」の世界に向けて、ミニマルなメンバーと機能で進めた開発


 ミニマルな機能に絞り込むと決められた理由はもうひとつあります。プロトタイプよりさらに前の段階でデザイナーやエンジニアを巻き込み、最小限のテストをしたことにあると思います。



 集まった動画を単純に繋げるだけでも「十分に価値あるものになりそうだ」と、実際に作ってみたことで自信を持てました。「Gifvie」では最後に、参加者全員がずらっと並んで表示されるパネルビューのカットが自動で入るのですが、それを自分で編集しようとすると非常に手間がかかります。一方で、エンジニアからのアドバイスで、「Gifvie」のシステム要件的にはそんなに難易度が高くないという開発難度を聞けたことで、機能の取捨選択の精度がさらに高まりました。




 また、良かった点として、プロジェクトメンバーは数名と少ないながらも、ストラテジストやデザイナー、営業的な動きができる者など、事業を進めるにあたって必要な役割を社内メンバーだけでカバーできたことがあげられます。今は法務担当も加わり、特許出願もしています。


 サンプルムービーは自分たちの知り合いに協力してもらって制作するなど、コストを抑えるためにも様々な工夫を行いました。企画の一連の流れをみんなで議論しながら並走してきたので、途中でプロジェクトが進まなくなったり、方向性がブレて揉めたりといった苦労はほぼありませんでした。



「Gifvie」はあげる方も、もらう方も幸せにできる、「そうそう、こんなサービス欲しかった」を実現するパートナー


 ユーザーのイメージを「動画編集スキルが高くない幹事さん」に設定しているので、コミュニケーション面もカジュアルでフランクにしようと決め、その方針に基づいたUXライティングなどを心がけました。色使いやサービス名も同様です。



 「Gifvie」の役割は「わかりやすく、扱いやすく、親しみやすい」便利なパートナーとして幹事さんたちの役に立つこと。それは開発段階だけでなく、機能・サービス改善を続ける現在も軸になっています。


 例えば画像加工のフィルターが欲しいといったご意見・ご要望もありますが、それは「Gifvie」の本質的な価値ではないと考えています。別のアプリで撮影したり、加工した動画をアップロードしたりできる機能でカバーすることにしました。他の動画編集サービスを競合と捉えると、実装しなければいけない機能は無限に増えてしまいますが、「Gifvie」のユーザーが欲しいのはそれではないんです。機能が盛りだくさんで操作が難しくなるよりも、シンプルで使いやすく、ちょっと気が利くパートナーのような存在。あくまで“送別やお祝いのメッセージ動画”に特化したサービスであるべきだと捉えています。


 なので新機能を検討する際は、加工フィルターよりも、プレゼント用ページのカスタマイズだったり、エンドロールを追加※できたり(※有料のオプション機能)といった、贈ることにフォーカスしたものを選んでいます。



 実際、ユーザーインタビューの声を聞いていても、そこは間違っていないと感じます。メッセージ動画をもらう側が嬉しいのはもちろんですが、あげる側もストレスや負荷なく作れることが大切だと思っています。誰かが苦労を強いられて用意したプレゼントは健全ではない。「Gifvie」はあげる方も、もらう方も幸せにできるサービスでありたいと思っています。



もらった本人だけでなく、参加したみんなにとっても良い思い出に「誕生日会で上映したら社長が泣いて喜んだ」お客様からの声


 「Gifvie」はこれまで6万人以上にご利用いただいています。最後に、ご利用いただいたお客様の声をご紹介します。


 使っていただいたのは、愛されるために生まれてきた世界初のロボット「LOVOT」の企画・開発を手がけるGROOVE X社です。林社長の50歳の誕生日に、「Gifvie」で作った社員総出のお祝いメッセージをプレゼントしたとのことで、お話を伺いました。


 「会社が大きくなり、海外進出も果たしたことで社員が増加。社長一人ですべての現場に行くことがなかなか難しくなったこともあり、50歳の節目に仲間みんなでお祝いできたら」と誕生日会を企画したのが、ブランドマネージャーの家永さんです。



▲Slack(業務コミュニケーションツール)で社員に協力を呼びかけ。


 利用を決めたきっかけは、Instagramで「機能や使い方がシンプルで、誰でも簡単に撮影できる」という体験談の投稿を見てくれたことです。LOVOTも動く方がかわいいので、動画との親和性が高かったのも理由と伺っています。「みんながいろんな場所からメッセージを届けてくれていて、林社長本人ではないのに、つい何度も見てしまった」のだとか。


▲GROOVE X ブランドマネージャーの家永さん


 「簡単だからお願いする方はお願いしやすいし、受ける側もやりやすい。直感的で手軽なのが良い」とのことで、私たちが開発の際に大切にしていたことが伝わっていたようで一安心です。


 日本チームやグローバルチームだけでなく、中国の子会社や工場、退職したメンバーにまで依頼の輪が広がって、集まった動画にはチームごとの個性が見えたそうです。誕生日会での上映時には、社長が泣いて喜んでくれたと教えていただきました。


最後に

 サービスを開始して2年。ユーザーインタビューなどを通して、シンプルでスムーズな体験を重視したがゆえの課題も見えてきました。アプリをダウンロードする必要もなければ、アカウント登録する必要もなく参加できるため、動画の参加者が「Gifvie」というサービス名を覚えていないケースが多かったのです。ゲストとして参加した人たちが、今度は幹事として「Gifvie」を思い出してくれるよう、サービス名の認知度を高めることが目下の課題です。


 誰かのためを想って頑張ってくれる幹事さん。一方で、これまでは幹事さんに仕事や負担が集まりがちで、大変な役回りでした。私たち、そして「Gifvie」の役割は、そんな幹事さんを少しでも助けてあげること。いわば、誰かの幸せを願う人を幸せにすることです。今までありそうでなかった簡単・便利な寄せ書きムービーとして、ユーザーの皆さんの負担を減らし、満足度を高め、お祝いされる人の笑顔を増やせるように、今後も「Gifvie」を育てていきたいです。



















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