お米の炊き方は約9,600通り(*)!?ビストロ匠技AIでおいしいごはんを炊き上げる「炊飯器 ビストロ」開発秘話
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 調理機器BU
左:調理器技術部 機構設計課 龍田修 / 右:調理器技術部 調理ソフト課 Panasonic Cooking @Lab炊飯部 山中百合恵
(以下、動画の文字起こし)
釜の内部を分析し、お米の状態に合わせて最適な炊き方を自動で選んでくれる「炊飯器 ビストロ」。
ごはんの味にとことんこだわった炊飯器の開発は、「おいしいごはん」の定義付けから始まりました。
見るとご飯が食べたくなる!?そんな開発ストーリーをお届けします。
龍田:炊飯器の機構設計を担当しております、龍田です。外から見える部品を全部設計しています。
山中:炊飯器の「おいしさ」、つまり調理ソフトの設計をしております、山中です。炊き方の研究をしておりまして、お米に対してどういった熱量や時間をかけて加熱するのが良いのか、プログラムを設計しています。
龍田:やはりハードが進化し続けるだけでは、おいしいごはんは炊けないので、ハード担当とソフト担当で密に連携しながら、ごはんも食べながら、炊飯器を作り上げています。
開発の道のりは意外にもおいしいごはんの定義について考えることから始まりました。
山中:やはり炊飯器メーカーなので、せっかく開発するなら一人でも多くのお客さまに「おいしい」と思っていただきたかったので、「おいしいごはん」の定義づくりから始めました。
龍田:定義が決まることによって、まずは釜の設計が決まってきますし、蒸らしや沸騰などの工程にどういったアプローチが必要なのかという方向づけができるんです。
山中:ですので、定義はぶれさせないようにハード担当もソフト担当も団結して行きました。
定義付けを行うことで、全員が同じ方向を向くことができた開発チーム。
言語化することがなかなか難しい「おいしさ」ですが、悩んだ末に導き出した「おいしいごはん」の定義とは?
山中:私たちは「日本人誰もがおいしいと感じるごはん」を「おいしいごはん」の定義と定めました。具体的には、ツヤ感や色の白さ、食べた時の食感、甘みや旨みのバランスがよく、日本人誰もが食べておいしいと感じるご飯だと考えています。さらに、味覚のトレンドも調査をして、最近では粒感がありしっかりとしているごはんが好まれている傾向があったので、バランスの良いごはんかつ粒感がありふっくらとしたごはんを目指して定義付けを行いました。
山中:実はお米業界では「見ただけでわかるおいしさ」というのもあって、カニ穴があいている見た目がおいしいごはんと考えております。
お米業界では常識だというカニ穴。聞いたことはありますか?
龍田:かまどでごはんを炊いたときに上から見るとポツポツと穴があいていると思います。これがカニ穴です。かまどでは大火力で炊き上げるので、強い沸騰力で泡が発生し、お米の一粒一粒の間を通って表層に出てくる。それが結果として上から見たときにカニ穴として見えています。熱い沸騰泡が通っていっているので、一粒一粒に熱をムラなく伝える効果があり、結果的にふっくら炊き上がります。
カニ穴が開いたふっくらごはん。その炊き方を聞いてみると…?
山中:なかなか自力で炊くのは難しいなと思っています。本当においしいごはんを炊こうと思うと、お米の保存状態、銘柄、炊く際の環境、気温、天気などによってお米の状態が変わってきます。レシピ通りに炊いても材料の状態が変わってくるわけですから、常にお米の状態や炊いているときの様子を、五感を使って見ていないといけない。
龍田:お米が含む水の量が多くなると、その分釜に入れる水も少なくしないといけなかったり、夏は長い時間をかけて炊かないといけなかったり。五感で感じながら微調整をして、炊き技に転じていくことが必要です。
山中:まさに匠ですね。
誰もがおいしいと感じるごはんを炊くには、匠の経験と技が必要。それでも家庭で毎日おいしいごはんを食べてほしい。
そんな思いから、匠の経験と技をめざしたAIが代わりに炊いてくれる「炊飯器 ビストロ」が誕生しました。
龍田:誰もがおいしく匠のように、おまかせで炊ける。一言でいうと、そんな炊飯器です。
山中:釜の中の状況をセンシングで検知して、約9,600通り(*)の中から最適化した炊き方を選んでくれるところが本当に賢いなと思います。お米の状態や炊く際の気温など、色々な条件を加味すると約9,600通り(*)になりました。
高度なセンサーで釜の中を分析し、約9,600通り(*)から最適な炊き方を選択してくれる「ビストロ匠技AI」。
この技術は、地道な努力の末に実現したと言います。
山中:お米の保存状態にも色々ありますが、お米の含水率のばらつきや釜に加水するときも毎回絶対に同じ量ではないと思うので、色々な条件で実験を繰り返してどんな条件が来てもベストなごはんが炊けるように、とにかく炊いては食べてを繰り返してきました。龍田さんにもたくさん食べていただきました。
龍田:そうですね、たくさん。
約9,600通り(*)の炊き分けを実現するため、ハードの設計にもいっそう力が入りました。
龍田:今回、急減圧バルブというものを搭載しています。釜の中を加圧して、一気に急減圧することで爆発的な沸騰を起こして、それにより全体的にむらなく加熱を施すことができ、ふっくらさせることができる。
龍田:炊飯の後半の方は水分がなくなってしまって、加圧が難しくなってくるんですけれど、加圧熱風ポンプを搭載することで、急速に圧力を上げて高温キープすることにより、ふっくら炊き上げています。加圧熱風ポンプを使うタイミングが前過ぎても駄目ですし、後ろ過ぎても駄目というのが、試食している中であったんです。それについては衝突することも何回かありました。「おいしくない」って言われたときに、ちょっと感情的になってしまうこともあると思うんです。でも、確かに食べてどこが悪いかを理解すると、「ちゃんとせなあかんな」と思ったりするので、大抵の壁は乗り越えました。
ソフトとハードの進化により匠の経験と技で炊き上げる「炊飯器 ビストロ」。
開発者たちは、なぜここまで「おいしいごはん」にこだわるのでしょうか。
山中:パナソニックに入社して初めて、先輩が作った炊飯器で炊いたごはんを食べたときに、すごくおいしくて本当に感動した記憶があります。旅館や料亭の炊き立てご飯って、すごく贅沢な料理だと皆さんも認識があると思います。そんな本当においしい贅沢なごはんが家庭で食べられたら、日々の食生活も楽しめるかと思うので、やっぱりおいしいごはんを炊くことは私たちの使命だと考えております。
龍田:おいしいものを食べると笑顔になるとよく言いますよね。おいしいごはんを届けて、その先で皆さんが笑顔になったらいいなという心づもりで、妥協せずに開発してきたかなと思っています。
「誰もが簡単においしいごはんを炊ける炊飯器」の開発者としてプレッシャーはあったのでしょうか。
龍田:誰もが簡単においしいごはんを…ということで、どうやって実現するのか最初は分からなかったこともあるんですが、「やったろう」っていう意気込みで挑みました。
山中:最初担当が決まった時は、ついに来たのかと思いました。結構プレッシャーはあったんですけれど、センシング技術を使って毎回おいしいごはんが炊けるというのは、強みになるかなと思ったので、「やったるぞ」っていう気持ちはありました。
龍田:気持ちは同じですね。
龍田&山中:「炊飯器 ビストロ」でごはんが食卓の主役になれると思います。
炊飯器 ビストロ 商品ページ
https://panasonic.jp/suihan/products/vba.html
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005260.000003442.html
*ビストロ炊飯コース3合炊きの場合
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