中日グループの顧客データを統合・可視化。フューチャーアーキテクトが支援する中日新聞社のデータドリブン経営と地域活性化。
私たちの取組み:データを起点に地域に根ざした新たな価値を創出
フューチャーの主要事業会社であるフューチャーアーキテクトは、中日新聞社のIT戦略パートナーとして、2021年より「中日新聞グループ各社が保有するデータを礎に既存サービスの枠組みを超えて地域住民の生活の質向上を目指す」SCOOP(Services of Chunichi Open Operation Platform)構想の具現化を支援しています。
SCOOP構想の第一弾として、2022年11月に中日グループ各社が保有する顧客データを一元管理しデータの利活用を可能とする中日CDP(Customer Data Platform)(※1)を構築し、第二弾として、2024年4月5日に、中日新聞社がサービス提供を開始したスマートフォンアプリ『Lorcle(ロークル)』(制作:フラー株式会社)の構想策定(※2)やデータを用いたユーザー分析の土台作りを支援してきました。『Lorcle』は、東海3県(愛知、岐阜、三重県)を中心とする住民を対象に自治体や事業者など様々な地域の関係者が連携して情報を提供するプラットフォームです。
この記事では、中日新聞社とフューチャーアーキテクトのこれまでの取組みの軌跡を紹介します。
2024年4月5日『Lorcle』を活用した情報発信連携協定締結式の様子
左:中日新聞社と参画自治体、右:中日新聞社とフューチャーアーキテクト
出発点:経営・業務・システムの知見で構想策定を支援
宮崎:今回の取組みの出発点は、後にSCOOP構想と名付けられることとなった「中日新聞社様が実現するデジタル構想」を策定するためのワークショップでした。中日新聞社様のデジタル戦略のアイデアや地域活性化にかける思いを付箋に書き出していき、グルーピングしながら議論を深め、「どんな戦略で実現するか」「得るべきデータは何で、どう分析するか」「どのようなシステムがあれば実現できるか」といった具現化に向けた提案を行いました。全体計画の策定段階から参画してサービスとアーキテクチャの両面から検討を進め、SCOOP構想の骨子をつくりあげていきました。
中日新聞社 名古屋本社でのワークショップの様子
第一弾:顧客データを一元管理する中日CDPを短期間で構築
市川:SCOOP構想プロジェクトの第一段階として、私たちはグループ各社の顧客データを一元管理、統合し、ワンストップでサービスを提供するための中核となる中日CDP(Customer Data Platform)を約7か月で構築しました。(※1)
「分析基盤を作って終わり」にならないよう、まずデータ分析でそもそも何を知りたいのか、何を成し遂げたいのか、その先でどのようにデータを利活用していくのかを明確化することを重視しました。
中日新聞社様は多くの購読者をもつ新聞社であり、グループ会社も含めて超大規模のデータを扱う必要がありました。プロジェクトの立ち上げから中日新聞社様と密に連携できたため、データの利活用方針のすり合わせと、超大規模データに耐えうる性能を有する最適なアーキテクチャの策定を並行して準備することができました。
市川:中日CDPは、東海エリアの興行チケットを販売する「Boo-Wooチケット」、ニュースサイト「中日新聞プラス」、球団「中日ドラゴンズ」、カルチャーセンター「中日文化センター」の各会員データを横断して分析・可視化できるプラットフォームです。今回はデータの連携対象となる中日グループの各システムベンダーが異なっており、インタフェースの連携を含め、各社との仕様調整は困難を極めました。しかし、当社の様々な業種・業界での基幹システムの構築実績から得られたノウハウを活用することで、スケジュールの遅延なく、短期間で構築を実現することができました。
宮崎:中日CDPを活用することで、リアルタイムで嗜好性や関連性をクロス分析したり、顧客解像度を高めてサービスの品質向上やマーケティングに活用したり、データに基づいて意思決定を精緻化することができます。実際にシステムを利用するのはこれまでSQLを記述したことがない方が中心のため、使い勝手にはこだわりました。現在はIT未経験の方にも中日CDPを使って顧客層の分析やレポーティング、メールマーケティングなどの施策を実施していただいています。
フューチャーアーキテクト オフィスでのミーティング
第二弾:広域的なデータ連携を通じた地域活性化を支援
古草:中日CDPの構築と並行して、中日新聞社様より「新たなサービス基盤として生活者向けプラットフォームを提供したい」という相談をいただいていました。中日CDPのデータ基盤の仕組みを、地方自治体や企業に使ってもらい、連携して情報発信を実施することで、地域の課題解決に役立てることができるのではないかというアイデアです。これがSCOOP構想の第二段階として、後の『Lorcle』となりました。
当社は中日新聞社様が作成したサービスイメージをもとに、『Lorcle』のサービス具体化と、全体のアーキテクチャ策定を並行して実施し、サーバーサイドの構築も支援しました。『Lorcle』では、手軽に記事の投稿ができ、アプリの利用状況は中日CDPに集積され、自治体や事業者に分析データがフィードバックされます。このフィードバックを活用してもらうことで、参画者の発信の質の向上に寄与します。(※2)
古草:中日新聞社様が『Lorcle』の参画自治体へ訪問する際には私たちも複数回同行させていただき、業務負荷や情報発信の効果測定など、職員の方が実際に直面している悩みごとを伺いました。
机上でサービスを設計するだけでなく、こうした利用者の生の声も大事にしながらデータを循環させていくことで、より身近で便利なサービスへ発展させることを目指しています。
アプリ提供:中日新聞社 / 制作:フラー
『Lorcle』公式サイト:https://lorcle.jp/
今後の展開:中日新聞社の「進化と挑戦」を支援
宮崎:中日新聞社様は、中部・首都圏に向けて7銘柄の新聞を発行しており、地域に密着した事業を展開してきました。既存の顧客層を大切にすることはもちろん、デジタル活用を通じて新たな価値を提供し、地域に貢献し続けることを大切にしています。フューチャーアーキテクトはIT戦略パートナーとして、引き続き中日新聞社様の「進化と挑戦」の具現化を支援していきます。
自治体や事業者と連携し、デジタル空間に「地域性」をつくりだす
中日新聞社 代表取締役社長
大島 宇一郎 様
近年、スマートフォンの急速な普及により、人々の生活の多くがスマホを握った手の中に移っています。地域の情報は多種多様な情報の中にまぎれ、なかなか住民に届いていないという現状があります。『Lorcle』は、その手の中に地域をつくりだす取組みです。まずは情報発信から始めますが、機能と参加エリアを増やしていき、住民の皆様の暮らしになくてはならないツールに成長することを目指していきます。全国でも類を見ない取組みであり、当社もこれまで以上に地域の発展に向けて力を尽くします。
地域の期待に応え続けるために、新たなサービス構想を推進
中日新聞社 経営企画室 新規事業部
中尾 吟 様
新聞購読者の減少が特に若年層で顕著なことから、これまで新聞が果たしてきた地域の情報の伝達が難しくなっており、自治体や事業者から『地域情報を網羅する新たな媒体』創設への期待が寄せられていました。フューチャーアーキテクトが構築したデータプラットフォーム(中日CDP)は中日グループ全体の顧客データの可視化や顧客満足度向上を目的にスタートしましたが、この仕組みを自治体や事業者にも活用してもらうことで、地域住民の暮らしの役に立てるのではないかという考えに行きつき、『Lorcle』のサービスにつながっていきました。フューチャーアーキテクトは、中日CDPのシステム構成をどうするかという視点だけではなく、将来的にどのように機能を発展させていくかというビジョンまでを含め提案してくださり、当初描いていた進め方から軌道修正を迫られるような状況においても柔軟に対応いただきました。
中日新聞社:
代表取締役社長 大島様、取締役 久野様、経営企画室 中尾様、藤田様、大藪様
フューチャーアーキテクト:
取締役副社長 齋藤、Technology Innovation Group 壷屋、宮崎、古草、市川
フューチャーアーキテクトについて
フューチャーアーキテクトは「経営戦略」「業務改革」「システム改革」を三位一体で推進するコンサルティング企業です。複合的な視点からコンサルティングを行いシステムを構築することで、お客様のビジネス変革を実現し、企業価値の永続的向上に貢献します。当社は、クラウド型CMS『GlyphFeeds』(※3)の提供や、データプラットフォームを起点とする新たな価値創造など多くの新聞社での支援実績があります。
コンサルタント プロフィール
宮崎 将太(みやざき しょうた):フューチャーアーキテクト株式会社 Technology Innovation Group シニアアーキテクト。2015年入社。プロジェクトリーダーとしてビジネスを迅速に立ち上げるプロセスを多数経験。データモデリングを中心にAPI/バッチ/認証認可等バックエンド全般に精通。
古草 晨人(ふるくさ あきと):フューチャーアーキテクト株式会社 Technology Innovation Group マネジャー。2016年入社。流通小売、メディア業界等の基幹システム刷新や、データ活用を中心としたDXプロジェクトにて、アーキテクチャ設計/アプリ設計開発/クラウドインフラ構築等を推進。
市川 浩暉(いちかわ ひろき):フューチャーアーキテクト株式会社 Technology Innovation Group シニアコンサルタント。2019年入社。鉄道会社やメディア業界のお客様の支援に従事。アプリケーション開発からクラウドインフラの設計/構築、運用保守までを一気通貫で手がける。
お客様からのお問合せはこちらへ
フューチャーアーキテクト株式会社 Technology Innovation Group
お問い合わせフォーム : https://www.future.co.jp/apps/contact/fai/service_solution_entry.php
フューチャーグループについて
フューチャーグループは、最新のテクノロジーをベースに「ITコンサルティング&サービス事業」と「ビジネスイノベーション事業」の2軸でビジネスを展開するソーシャルデザインカンパニーです。
※1:プレスリリース「中日新聞とフューチャーアーキテクトがデータを起点に新たなサービスを創出」
※2:プレスリリース「フューチャーアーキテクト、中日新聞社のデータ活用による地域活性化サービス構想を推進」
※3:「コンテンツの価値を最大化せよ クラウド型CMS GlyphFeedsが変える情報発信の姿」
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