きっかけは、FMC(固定・携帯電話の融合)を世に広めたいという思いから。「テレワープ」サービスの開発ストーリー
わたしたち株式会社フォレスタは、2022年8月に「テレワープ」というひかり電話をスマホで発着信するサービスの販売を開始しました。
スマホで固定電話を発着信するサービスはいくつかありますが、「小さな装置をネットワークに接続するだけですぐにスマホで固定電話が使えるようになるサービス」は恐らくテレワープが初でしょう。
実は、このサービスの始まりは2012年に遡ります。
当時、カナダに開発拠点があるモバイルVoIP技術の開発会社にいた当社取締役の錦織が、Asterisk等のVoIP製品の開発を行っていたチャットボイス株式会社の上原社長を、テレワープの前身となるサービスの開発に引っ張りこみました。
その時、二人で「ひかり電話をスマホで発着信できるサービスを作ろう!」と話をしたのがことの始まりです。
あれから10年、紆余曲折を経て、テレワープが完成し販売が開始されました。
Webによる直販をメインに徐々にユーザ数を増やしており、業種をいとわず様々なビジネスで、また、色々な利用シーンでテレワープが使われるようになってきました。
今回は、テレワープの事業主体であるフォレスタの錦織取締役と、開発を担うチャットボイスの上原社長に「テレワープ」の企画から開発の秘話、ユーザ様の反応、今後の展開に関して話を聞きました。
【プレスリリース】
(左 株式会社フォレスタ 錦織取締役/右 チャットボイス株式会社 上原社長)
きっかけは、FMC(固定電話と携帯電話の融合)を世に広めたいという思いからだった
― テレワープを企画したきっかけを教えてください。
錦織:2012年、私は縁あってモバイル通信上で音声をやり取りするVoIP、世間一般ではIP電話ですね、その技術に特化した会社にいました。
この技術は中々優れたもので、開発拠点がカナダにあったのですが、国内でこの技術をサービス化して販売するため、日本側でも開発・検証を行うことが必要となり、当時VoIP技術に長けていたチャットボイスの上原さんを一緒にやろうよって、引っ張りこんだんです。
上原:そうそう、その時はドコモがモバイルネットワークを他社に貸し出すのが始まって、モバイルサービスを展開するMVNOがはやり始めたころでしたね。
それで、各社が差別化を考えていて、某大手プロバイダーから「自社のMVNOサービスにIP電話サービスを展開したい。」という引き合いをもらって、色々と開発しましたよね。
錦織:頻繁に夜中までカナダの開発陣と電話会議しながら検証して、面白い経験でした。
そんな中、私自身はその前に失敗した事業で、携帯電話と固定電話を無料で繋げるというサービスをやっていて、FMC(固定電話と携帯電話の融合)を世の中に広めたいという思いが強くて「"固定電話"と"当時携わっていたモバイルVoIP技術"を繋げて、何かできないか」と上原さんに持ちかけた次第です。
(株式会社フォレスタ 取締役 錦織 一裕)
電話サービスで圧倒的シェアを誇るNTT東/西の「ひかり電話」との連携を目指す
― NTT東日本/西日本の「ひかり電話」に着目した理由を教えてください。
上原:私もFMCには思いがあって、チャットボイスでも「交換職」というひかり電話に着信した電話を携帯電話経由で他の電話番号に転送するソリューションを開発していました。
携帯電話の掛け放題プランを利用して、NTT東西のボイスワープの転送通話料だけで毎月何万円も払っているユーザさん向けに、そのコスト削減を手助けするソリューションです。
その開発途中で、ひかり電話ルーター(ホームゲートウェイ)の仕組みを研究していたので、その延長でテレワープへの応用を考えました。
錦織:やっぱり、電話サービスのシェアはNTT東西のひかり電話が圧倒的ですし、ひかり電話との連携が我々の当初からの狙いでした。
世の中の大半のスマホ内線化サービスは、中規模以上の企業をメインターゲットとしつつ、小規模・零細企業にも対応していますよ、というスタンスです。
一方、我々のテレワープはひかり電話のホームゲートウェイとの接続を前提とし、ひかり電話のユーザーである、小規模・零細企業及び個人事業主のニーズに真正面から応える製品になっています。
テレワープはホームゲートウェイとの連携を完全自動で行っていますので、ホームゲートウェイ内の初期設定さえ正しく出来ていれば、テレワープキューブ(主装置)をLANケーブルで繋ぐだけで、サービスが開始できます。
導入コストを押さえることができて、ユーザ様にとっては大きなメリットになっていると思います。
あらゆるネットワーク環境にも「簡単」に対応できるユーザビリティにこだわった
― 開発で最も苦労した点はどこですか?
上原:徹底して「簡単」にこだわった点です。エンドユーザさんだけでなく、テレワープを販売していただく販売店さんにとっても「簡単」なことで、製品・サービスのコストだけでなく、販売プロセスに要するコストも下げることが可能になります。
そのために、「あんな機能もこんな機能も盛り込みたい」という誘惑を断ち切った上で、クラウドサービスではなく多くの方に直感的にご理解いただきやすいアプライアンス製品としてパッケージングしています。
錦織さんがおっしゃったように、NTTのホームゲートウェイ専用設計としたことで、ある程度導入先の環境は限定されていますが、それでもお客様のネットワーク環境は千差万別で、それらの差分を如何に吸収して「簡単」を貫けるかという点に最も苦労しました。
アプライアンス製品は手離れがいいのが利点ですが、手離れがいいというのは手を出せなくなるということでもありますので、クラウドサービスにはない難しさがあります。
この点については初期の頃からは相当改善してきていますが、完成ということは決してなく、今も錦織さんの現場からのフィードバックをいただきつつ日々改善し続けています。
錦織:我々も開発段階でベータ版を自社の実環境で5年以上使い続けて、検証に協力してきました。上原さんたちが、一つ一つ壁をクリアしていき、実運用に耐えうるサービスにブラッシュアップしていく工程は我々にとっても楽しみでもありました。
一例をお話ししますと、モバイル・Wifi間のスイッチングは問題なくできるようになりましたが、ケースは少ないものの、Wifiと別のWifi間で切替わる場合に、通話が切れてしまう場合がまだあり、継続的に改善を繰り返しております。
(チャットボイス株式会社 代表取締役社長 上原 孝之)
「テレワープ」命名の由来は、運命を感じるひらめきだった
―「テレワープ」という分かりやすい名前ですが、誰が命名したのですか?
錦織:それは私です。2021年ころから本格的にサービスを売り出すことを、いろいろ検討したのですが、サービス名は最も考えましたね。NTT東西は電話を転送するサービスを「ボイスワープ」と名付けていて、正直なところ、この名称を意識しました。
ボイスワープは掛かってきた電話を他の電話番号で受けるサービス、言わば「声を飛ばすサービス」ですが、「我々のサービスは、電話機能自体をスマホに飛ばしてしまうということで”テレワープ”がいいのでは」と、ある時地下鉄のなかでひらめいたんです。
それで、すぐに大学の先輩でもある弁理士先生に調査してもらったら、1年ほど前から「テレワープ」の商標が空いていると聞き、運命を感じました。
細かな改善をする中での最大の励みは、ユーザー様からの「便利になった。」のお言葉
― 2022年に発売してからのエピソードをお聞かせください。
上原:やはり、実際のフィールドにサービスを提供し始めて、まだまだ改善の連続でした。アプリの表示内容の修正、主装置側のマイナーなプログラム改修などの細かな改善も多々ありましたが、一番大きな改修はやはりお客様ネットワーク構成の多様性に対応することでした。
NTTのフレッツサービスでインターネットを利用する場合、接続設定はホームゲートウェイが担うというのが基本なので、テレワープもホームゲートウェイ経由でインターネット接続を行う前提となっていました。プロバイダから設定情報が送られてきて、それをご自分でホームゲートウェイに設定された経験がある方も多いのでは無いかと思います。
ところが、今では主流となっている「IPv6/IPoE」という接続方式を採用するプロバイダの中で、IPv4に関する通信をホームゲートウェイ配下の外部ルーターに担わせる構成を採用するところが無視できない比率になってきました。
このような場合には、テレワープはホームゲートウェイではなく、ルーター経由でのインターネット接続に対応する必要があります。
先にも申し上げたように、「簡単」を最も重要視するテレワープとしては「LANケーブル一本でホームゲートウェイと接続するだけ」というのを維持したかったのですが、外部ルーター経由でインターネットに接続しているお客様については「インターネット接続のためのLANケーブルを外部ルーターにつなぎ、ひかり電話接続のためのLANケーブルをホームゲートウェイにつなぐ」という若干複雑な配線をお願いすることになりました。
錦織:この問題は当社の中でも大きな課題でした。最初にお客様のネットワーク構成に関してきちんとヒアリングして、利用可能環境かどうかを判断した上で、適合しない場合は当社から「IPv4 PPPoE」の接続アカウントを貸与し、ホームゲートウェイにインターネットの設定をして使ってもらうようなこともしてました。
作年の夏にこのインターネット設定問題が解消できて、一気に受注およびサポートの工数が削減されました。
今もユーザ様から様々な使い方に関するお問い合わせを受けており、この機能を作りこみたいとか、アプリのインターフェースをこう変更したいとか、改善したいことがてんこ盛りです。
錦織:また、販売手法も途中で変えました。2022年の8月に販売を始めた際は「サイトを見て、サイトから申し込んでもらって、自分で設定してもらって、使ってもらう」というオールセルフの販売を目論見ましたが、明らかに失敗でした。
そこでサイトを作り変えて「電話やフォームからお問合せを受けて、ご説明をした上で、お申し込みをしてもらう」という一般的なネット販売のスタイルに変更しました。
昨年の3月からこの販売手法を開始し、徐々に皆さんに申し込んでもらえるようになりました。リスティング広告だけでなく、公式サイトの運営も始めました。お陰様で、今では毎日1,000件以上のアクセスを頂いており、ありがたい限りです。
テレワープを導入したユーザの皆さんからサポート宛に使い方などのお問い合わせがありますが、みなさまから一様に「便利になった。」と言ってもらえて、何よりもそれが本当にうれしくて、最大の励みになっています。
小さなビジネスを最新の技術で支援する。これからも「誰もが知っていて、気軽に使ってもらえるサービス」を目指す
― テレワープの今後の展開に関してお聞かせください。
錦織:これまで、当社では「テレワープ」をWeb販売を主体とする直販だけで販売してきました。その理由は、市場に出した中で「サービスの安定を高めること」と、エンドユーザ様からの声を直接聞くことで「サポートのテンプレート化を構築すること」が、大々的に拡販するためには重要だと判断していたからです。
現時点でユーザベースはまだ数百規模ですが、販売初期の目的は達成されたと判断しており、今年からは代理店様による販売も開始し、本格的な拡販に踏み出す予定です。
また、現在大手のキャリア様とも協議を進めておりますが、月額課金型のサービスモデルだけでなく、ライセンスをパッケージ化したアプライアンスモデルも開始する方針です。
上原:開発側としては、次のターゲットとして「ひかり電話オフィスタイプ」をご利用している中堅以上の法人様向けのサービス・アプライアンスを構築する予定です。
現在のテレワープは、最大5人程度の個人・店舗・小規模事務所で「ひかり電話」をご利用されているユーザー様をターゲットとしています。
錦織さんから聞いていますが、これまでの販売活動の中で、テレワープの導入を検討したが、「ひかり電話オフィスタイプ」を使っていて諦めた、または申し込みをキャンセルした方が既存ユーザー数の20%以上は存在しており、このニーズも積極的に取り込んでいきたいと思っています。
錦織:2024年は本当の意味でテレワープ元年だと思っています。これまで販売してきて、数多くのユーザー様の声を直接聞いてきて感じることですが、このサービスは我々が掲げる「小さなビジネスを最新の技術で支援する。」というスローガンを具現化しているという確信があります。
自社では大きな資本力があるわけではないので、どこまでもコツコツとですが、誰もが知っていて、気軽に使ってもらえる存在になるべく、営業・開発両輪で尽力していく所存です。
(左 チャットボイス株式会社 上原社長/右 株式会社フォレスタ 錦織取締役)
スマホ内線化サービス「テレワープ」
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