「子育てするなら南足柄」 神奈川県で人口が最も少ない市が、いち早く給食費を無償化した理由とその想いとは
神奈川県南足柄市では、令和6年4月から市内にある全ての小中学校の給食費無償化をスタートします。これは、県内の市で、最も速い取り組みです。
なぜ、神奈川県で人口が最も少ない市である南足柄市が、給食費無償化をいち早く実施するのか。背景や子育て・教育に携わる人達の想いと一緒にお伝えします。
南足柄市は完全学校給食を重要視し、先駆的に取り組んできた
日本での学校給食の始まりは、昼食を持参できない子どもたちのために始まったとされています。
南足柄市では学校給食法が制定された昭和29年(1954年)に当時としては画期的なサービスである小学校の完全給食を開始しました。それに続き、昭和38年には中学校の完全給食を開始しました。これらは県内の他市町村に先駆けた取り組みであり、本市が子どもたちの学校給食を重要視し、先駆的に取り組んできたことが伺えます。
配膳作業も生徒の役割
また、本市の学校給食を特徴づけているのは、小中学校の全てが自校調理方式であることです。できたての温かい給食が食べられる自校調理方式は、さまざまな食材や献立に対応でき、子どもたちの身近で調理をすることで、食に対する感謝の気持ちを育みやすいなど、多くのメリットがあります。子どもたちは「食べる」という行為を通じて、たくさんのことを学び、成長していくのです。
「食育指導が進めやすい」。栄養士が給食費無償化と自校調理方式のメリットについて語る
・給食費無償化について
給食は安心・安全・衛生・環境に配慮して、提供されています。今回の無償化は給食を取り巻く“環境”に変化をもたらすものです。
給食は適切な栄養の摂取によって、児童・生徒たちの健康を促進するものであると同時に、「食」についての正しい知識を学ぶ教材です。私たち栄養士は給食の提供だけでなく、食についての正しい知識を学ぶための授業などを実施し、児童・生徒たちが地域の特産物や自然の恵み、そして生命の尊さを学ぶことができるように意識しています。給食が子どもたちの成長を促す重要なものだと認識され、無償化が実現したことを嬉しく思います。
給食から子どもたちは食の大切さを学ぶ
・自校調理方式について
やはりメリットは「できたての温かい給食が食べられる」ということにつきます。給食時間が近づくにつれ、美味しい匂いが校内を巡り、子どもたちは学校生活の中でも食というものを意識してくれます。また、それぞれの学校で献立を作成するため、学校行事や学習活動に合わせた給食が提供できるメリットがあります。地域でお世話になった方や生産者を招いて交流給食を開催するなど、食育指導の充実も自校調理方式ではとても進めやすいです。
給食を提供するまで、108項目ものチェックを実施
先生も嬉しい ~教師の思い
・給食費無償化について
やはり保護者の皆さんにとって、給食費の無償化はとてもありがたいことだと思います、物価も高くなっていますし。
教育費無償化をはじめとして、市が子育て支援と教育の充実に力を入れていくと表明してくれているので、より一層、子どもたちの教育環境が良くなっていくことを願っています。
また、願わくば教師の私達も給食費の無償化対象になってくれたらさらに嬉しいですね、教育に関する働き方改革が注目されるようにもなっていますので。
・自校調理方式について
やっぱり温かくておいしい!
学校の給食はコロナ禍以降、食事中の会話や席配置が制限され、以前とは大きく変化しています。子どもたちにとっては、大きな変化だったと思います。そんな中でも、やはり食事が温かくておいしい、ということは非常に重要です。
コロナ禍以降、念のため人数が多いクラスでは、先生が廊下で給食を食べたりしています。私も廊下で給食を食べていますが、温かく美味しいのでそこまで辛さはありません。
給食費無償化、今取り組むべき理由とは
押し寄せる人口減少・少子高齢化
著しい人口増を生み出した高度経済成長期から時代は移り、現在は人口減少・少子高齢化が全国的な課題となっていて、その波は南足柄市にも押し寄せてきました。
南足柄市の人口推移
「子育てのしやすさで選ばれるまち」への新たな一歩
本市は、まちづくりの指針となる第六次総合計画を令和6年4月から新たにスタートします。総合計画では令和13年度(2031年度)の将来人口目標値を4万1千人に設定し、さまざまな計画を策定しました。中でも、「子育てのしやすさで選ばれるまち」「産業の発展と創出で選ばれるまち」「人を呼び込む力で選ばれるまち」「心豊かな暮らしで選ばれるまち」の4つを重点プロジェクトとして設定をしました。
本市は給食費の無償化を実現し「子育てのしやすさで選ばれるまち」への新たな一歩を踏み出します。
待ったなし 「持続可能なまち」の実現を目指して ~市長の思い
加藤修平市長 よいしょの金太郎
南足柄市は、今年4月から、小中学校の給食費を無償化いたします。神奈川県内の市では初めてです。
未だ地方創生の確かな姿は見えません。国全体の人口減少に歯止めはかからず、地方は人口減少と高齢化が進んでいます。
今こそ、待ったなしで「持続可能なまち」の実現を目指さなければなりません。そこで、本市は「定住促進と人口増」を実現する重要施策として「子育て支援と教育の一層の充実」に全力で取り組んでいます。
私は、数年前から、小中学校の給食を無償で提供することを考えていました。私が市長就任の当時は、市の財政状況は極めて厳しい状況でした。道半ばではありますが、ようやく健全財政の姿が見えてきた今年、小中学校の給食費の無償化を実行しました。
これには背景があります。本市の学校給食の歴史を振り返りますと、昭和29年(1954年)に学校給食法が制定されました。この時に、南足柄では小学校の完全給食という画期的なサービスが始まりました。中学校は昭和38年(1963年)から開始されました。特筆すべきは、小中学校ともに、各学校に給食調理場を設置し、温かい給食がおいしく食べられる自校方式によるものでした。
戦後10年もたたないあの時代に、先人、先輩の皆様が実現させたことは実に素晴らしいことです。そして、今、私たちに何ができるか、これが私の思いであります。
「子育てをするなら南足柄市」を市内外に強く発信し、「子育て支援と教育の充実」を目指して、今後も子育て家庭への支援を強力に進めてまいります。
子育てを社会全体で支える ~教育長の思い
新型コロナウイルス感染拡大や食材費が高騰する中にあって、子どもの食の格差が拡大しています。この食の格差を和らげる役割が学校給食にあります。給食無償化には、全ての子どもが給食費を気にせずに、安心して給食が食べられる良さがあります。
既に南足柄市では、令和2年度の途中から給食費の公会計化を実施しており、給食費を集金する手間や時間が大幅に削減されました。給食費の請求や集金、さらには滞納があった場合の督促といったプロセスは、教職員の勤務時間超過や精神的負担をもたらしていましたが、公会計化をさらに前進させた給食費の無償化によって、教職員が費やしてきたこれらの時間やエネルギーを教育や指導に向けることができます。
何より、少子化が加速する中で、子育てを社会全体で支える視点から、子育てにおける経済的な負担の軽減を図って参ります。
もとより、南足柄市では、自校調理方式を市内の小中学校で実施しており、それぞれの学校のカリキュラムに合わせて常に温かくて美味しく安全な給食が提供できます。
今後も多種多様な食材と献立・必要な栄養価の維持・地産地消の推進を栄養士と教育委員会が連携して取り組んでまいります。
給食費無償化だけでない、子育てなどに関する取り組みにも力を入れる南足柄
出産以降も手厚い支援を ~子育て支援拠点施設にこっと
南足柄市は「支援を必要とする子どもと家庭を総合的にケアする拠点」と「子育てを応援する拠点」を一体化した、子育て支援拠点施設「にこっと」(以下、「にこっと」)を令和4年度に開所しました。「にこっと」は、伊豆箱根鉄道の大雄山駅に隣接している商業施設、ヴェルミ2の3階にあります。アクセスも良く、子育てをしている親子が安心して利用することができます。ヴェルミ2には、「にこっと」以外にも食料品・雑貨の販売店や薬局、医院などがあるため、普段の生活と一緒に子育てに関するサービスを受けることができます。
おかげさまで、「にこっと」の利用者数は令和4年の開所から令和5年10月までで5万6千人以上にのぼります。
誰もが外遊びを楽しめる環境を ~運動公園の整備
南足柄市は子育て支援の充実を進めるため、市内にある運動公園を整備します。
全ての子供達は平等に遊ぶ権利を持っています。年齢や障害、その他さまざまな事情による心理的・物理的バリアによって、これまでの公園遊具では遊びづらさを感じている子どもたちがいます。
子どもたちが多様な仲間と出会い、一緒に遊び、成長し会える環境は、子どもたちが多様性を当たり前の感覚として成長するのに大きな影響を与えます。今回の運動公園の整備では、近隣で初めてのインクルーシブ遊具を設置したエリアを設置し、誰もが楽しく健康的に遊べる「魅力ある外遊びの場」を目指します。
南足柄市は公園で遊んだ子どもたちが、公園の外でも温かい気持ちで相手を思いやり、人とは違う自分を大切にしながらも、自然に助け合えるように成長してほしいという思いを持っています。公園という小さな輪から、子育てしやすく、インクルーシブな社会を広げていきましょう。
新たな挑戦 選ばれるまち 住み続けたいまちへ
安心して子どもを産み、子育てができる環境は、市内外の人たちが住む場所を選択する上で重要な要素です。一方、共働き世代の増加に伴う仕事と子育ての両立、子どもや保護者を取り巻く地域のつながりの希薄化などの影響により、子育てに対するニーズが多様化しています。給食費無償化は「子育てするなら南足柄」と実感してもらえるよう、子どもを産み、育てやすい環境づくりの第一歩です。
これからも南足柄市は、地域の魅力を最大限に磨き上げ、市内外の人たちに「住んでみたい、住み続けたいまち」に選ばれるよう、新たな挑戦を重ねていきます。
■取材や撮影のご相談お待ちしています
南足柄市は市内で撮影や取材を行う各種メディアを支援するメディア発信事業「取材にロケ、無料で手伝います」に取り組んでいます。
市内で行われるさまざまなロケハン・撮影の支援、写真・動画素材の提供など、制作活動をお手伝いします。南足柄市までお気軽にご相談ください。
【問い合わせ先】
●取材・撮影及び本記事に関する内容
南足柄市役所 秘書広報課 広報広聴班
TEL 0465-73-8003
FAX 0465-73-4110
メール kouhoukoutyou@city.minamiashigara.kanagawa.jp
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