HRテクノロジーベンチャー タレンタの「面接官トレーニング」サービス ~目指すのは「なんとなくいい人」で評価しない面接~
私たちタレンタは、「Work Happy!な世の中を創る」をミッションに、お客様の人材マネジメントを支援しています。特に、科学的知見に基づいた「最新HRテクノロジー」を用いて、「採用」「能力開発」「キャリア開発」のコンサルティング、システム運用支援をしています。
代表の田中を始め、タレンタのメンバーはITやデータサイエンス、心理学、キャリアコーチングの領域において強みを持ち、日々お互いをサポートし、時には自らプロジェクトリーダーとして、お客様の人材マネジメントの高度化を支えています。
タレンタはHRテクノロジーを用いた「採用」支援システムとして、2004年にアメリカで開発された「HireVue」というシステムを国内に展開しています。実はこのHireVueが「面接官トレーニング」サービスのきっかけになりました。このストーリーでは、タレンタがお客様向けにカスタマイズ可能な「面接官トレーニング」を考案し、サービスとしてお客様に届けた道のりをご紹介します。
(代表・田中のイベント講演の様子)
●AI面接のノウハウを面接官トレーニングに展開した経緯
タレンタが国内に展開しているHireVueは、採用面接領域において、録画面接とリアルタイム面接を実施できる、デジタル面接プラットフォームです。中でも、構造化面接の手法を用いた録画面接では、AIが録画面接を分析し、社会人基礎力である「コンピテンシー」を判定してくれるという特長があります。
候補者全員が同じ面接質問に回答するため、質問によって候補者の回答は一定の質が保たれます。そしてAIが候補者の回答を判定するので、候補者の能力について、公正なジャッジをすることができます。
※構造化面接…回答内容の評価基準を統一し、事前に決められた質問を候補者に示して進める面接手法のこと。
※コンピテンシー…仕事において優れた成果を予測する人間の行動特性のこと。
HireVueの公正なジャッジは、人の目が入っていないからこそ可能ですが、実際の採用面接では、最後は人の目で候補者の採用を判断したいとおっしゃる方が大半でしょう。
しかし、人の目による採用面接は、候補者の雰囲気や肌感覚のすり合わせが可能な反面、履歴書からの先入観や、面接時の表情・話し方の印象によって、判断が左右されることがあります。実際の能力の高低ではなく、能力が「高そうに見える」「低そうに見える」ことが起きてしまうのです。
このような面接時の人物評価の歪み(=バイアス)は、本当に優秀な人を採用できなかったり、優秀だと評価した人が実は自社では活躍しにくかったりするという事態を招きかねません。
バイアスを完全に無くすことはできませんし、最終面接では人物評価も含めて総合的に判断する場合も多いでしょう。しかし、初期面接で面接経験の少ない現場面接官が「なんとなく違うなぁ」と優秀な候補者を落としてしまうのは、もったいないのではないでしょうか?
タレンタはこの評価の歪みを軽減させることが、適正かつ公平な面接の実現、ひいては企業と候補者双方がwin-winになると考え、AI面接のノウハウを面接官トレーニングに展開させようと考えました。
●AIの評価指標を元に、面接評価を言語化。そして面接官同士の評価のズレを解消
タレンタではHireVueの日本語版を作成する際、構造化面接によって決められた評価指標に基づき、プロの面接官がつけた録画面接の評価(1~5点の5段階)を教師データとしてHireVueのAIモデルに組み込むプロセスを実施しています。
そのプロセスの中で、チーム内で議論をしている時、あるメンバーが「評価指標が定まっていると、面接の点数や評価をつけた理由を言語化できるようになるんですね……これってすごくないですか?」と言いました。それを聞いた他のメンバーも、この意見で盛り上がり、面接評価の理由について互いに語り合う場面が生まれました。
さらに、チームメンバー間で面接評価が異なっていた時でも、各個人が面接評価の理由を言語化できていれば、面接評価のズレをすり合わせることができると分かりました。
また、HireVueの説明をする際、お客様からは「AIってちゃんと面接の評価ができるの?」と評価精度を気にされる声をよくいただきます。もちろんAIは人間ではありませんので、人間の面接評価と同様のクオリティを出せるのかが気になるのは当然です。
そのような時に、AIは一定の評価指標に基づいた結果を出力していることを実際の動画と評価指標をお見せしながら丁寧にご説明すると、ほとんどのお客様に面接の評価に対してご納得いただけました。さらに「自社の面接官が一定の評価指標を適切に理解できていれば、面接官同士で面接評価がまとまるだろう」というコメントをいただくことが多かったのです。
●女性候補者に対するバイアス、お客様との打ち合わせで得た気付き
お客様との打ち合わせでは採用面接に関するお悩みを伺いますが、特に印象的だったエピソードをご紹介します。
あるお客様との打合せで「うちは女性の技術職が全然取れないんです…女性の応募はあるけど、最終選考まで女性が残らなくて…」とお悩みを吐露されていたことがありました。
当時、打合せを担当していたメンバーに話を聞くと、
「お話を聞いていた時、最終選考前に女性候補者がいなくなってしまう原因は、女性候補者の能力の問題なのか、それとも女性に対するバイアスなのか、どちらなのかを考えていました。ただ、話を聞き続けていると、これはまさに候補者に対するバイアスではないか?能力の話ではなく、候補者に対するアンコンシャス・バイアスから、女性候補者は落とされていたのではないか?と思いました。
そう気付いた時、とても悔しいと感じました。今の学生は、その人の能力ではないところで評価されているのではないか?もし能力が高かったとしても、その職種に就く権利をバイアスによって奪われてしまうと感じたんです。」
この経験から、面接のバイアスに気付いてもらうために何かしないといけない、という使命感に燃え、本当に能力のある人が自分の希望する仕事で活き活きと働ける世の中にしたい!面接から日本の採用を変える!彼女はそう強く思ったのです。
※アンコンシャス・バイアス…「無意識の偏ったモノの見方」のこと。「無意識の思い込み」「無意識の偏見」「無意識バイアス」等と表現されることもあります。
●印象に引きずられない、面接の武器になるトレーニング
お客様のコメントや採用面接のバイアスを受け、タレンタでは面接官トレーニングの実施プランを立てることになりました。どうすれば面接官の方にバイアスを意識していただけるか、見た目や性別ではなくその人が行動したことを評価していただけるか。よりよい採用面接の実現に向け、私たちはこの2つを特に重視していました。
さらに、トレーニングをオンラインでも実施できるよう、トレーニング用の動画を社内で作りました。HireVue高得点の面接動画から、どんな活動をして行動をすれば高得点になるのか、のような要素をチームで出し合い、面接スクリプトを書くことで、より具体的な面接を体感できるような動画を作りました。スクリプトはチーム内で確認し、面接官の方が理解しやすいテーマで作成しました。面接のバイアスを意識していただけるように図を用いたり、評価基準を表にしたりと、地道ではありましたが、面接経験の少ない方にも理解していただけるよう、トレーニングの実施に向けてチーム一丸となって取り組みました。
そして、研修用に作成した評価基準をただ読み上げるのではなく、まず何も見ないで面接を評価していただき、その次に評価基準を解説し、再度面接動画を評価していただく、というトレーニング設計にしました。タレンタの一番の目標は、面接官の方々が「面接動画をいかになんとなく見ているか」「話の内容ではなく、話す印象にいかに引きずられているか」を、トレーニング参加者全員で共有していただくことでした。
(このようなステップで面接官トレーニングを実施しています!)
そして初めてお客様にトレーニングを実施したところ、嬉しいご感想を多くいただけました。特に印象的だったのが、
「今まで、なんとなく3という感覚で評価をしていた部分がありましたが、研修を受けて、こういう理由で3をつけました、と理由ベースに面接を話せるようになりました」
「面接官同士でもし違う評価をしたとき、その違いは何だったのか、すり合わせができるようになると思います。面接の武器をもらった感じがしました。」
というコメントをいただいた時です。私たちのサービスの自信になりましたし、候補者の可能性を重視した面接が実施できることに大きな喜びを感じました。
●候補者の人物像の解像度を上げ、人の見えない可能性を探る
私たちは目に見える要素(話し方、表情など)で人を評価しています。流暢に話のできる人は優秀かつ仕事ができる人と思い、面接での評価が高くなるのは、おかしいことではありません。しかし、少したどたどしい話し方でも優秀な成果を残してきた、ポテンシャルのある人は面接でどう判断するのでしょうか。
私たちは、会社の文化に合う人を採用する意味では、肌感覚の合う、一緒に仕事するイメージが湧く人材を採用するのは大事ですが、さらにプラスして、入社後の活躍に関わる行動事実に注目すべきとお伝えしています。そのためには、候補者の人物像の解像度を上げる必要があります。候補者に対する解像度を引き上げると、面接後の議論や対面面接で候補者の魅力を引き出す採用戦略にもつながります。そのため、この面接官トレーニングには非常に力を入れています。
目に見える表の部分の人物像と、目に見えない深い部分の人物像を徹底的に切り分け、面接の解像度が上がれば、目の前の候補者に対する気付きが増えます。タレンタはその気付きの範囲を広げ、会社の中で無意識の思い込みを共有することが非常に大事だと考えています。
●たくさんの人が活き活きと働ける「Work Happy!」な世の中の実現に向けて
面接官トレーニングは、バイアスの少ない面接を実施し、候補者の誠実・公正な評価を行うことを第一の目的としています。AIやテクノロジーの導入で課題解決を目指すのではなく、人同士の気付きを深め、よりお互いに関心を持つ機会を増やすことを大事にしています。
タレンタといえばHRテクノロジーの会社ですが、人への強くて深い思いを持つ会社です。面接官トレーニングの先に、多くの人が自らの望んだ仕事に就き、活き活きと働けるWork Happy!の実現があると強く信じています。
公式リリース後、他のお客様からも面接官トレーニングに関するお問い合わせをいただいています。このストーリーをお読みの皆様も、是非、素敵な面接を実施して、Work Happy!な世の中を作っていきましょう!タレンタはいつでもそのお手伝いができます。
プレスリリース:https://www.talenta.co.jp/news_20240129/
HireVue製品紹介:https://www.talenta.co.jp/hirevue_mba/
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