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野菜の苦味は低減できる!? 子どもも野菜をおいしく食べるために ~野菜嫌いのお悩み解決を目指す挑戦者たち~

著者: キユーピー株式会社

3歳から小学生の子どもを持つ保護者240名を対象にしたキユーピーの調査によると、「子どもに苦手な野菜がある」と回答した人は約67%に上りました※1。

キユーピーでは、「子どもたちに野菜をおいしく食べてほしい」「子どもの野菜嫌いに悩む保護者の方々をお手伝いしたい」といった思いから、さまざまなアプローチで野菜嫌いのお悩み解決に向けた取り組みを行ってきました。今回は、そんな挑戦を続ける3人に話を聞きました。



写真㊧:廣田 裕樹(キユーピー株式会社 家庭用本部 調味料部 ドレッシングチーム)

写真㊥:大上 明日実(キユーピー株式会社 研究開発本部 技術ソリューション研究所 評価・解析研究部 おいしさ研究チーム)

写真㊨:羽生田 雅子(キユーピー株式会社 広報・グループコミュニケーション室 社会・食育チーム)


※1 キユーピー㈱調べ

調査対象者:3歳から小学生の子どもを持つ保護者のうち、週3回以上サラダに市販のドレッシングをかけて食べる子どもの保護者240名

調査実施期間:2024年3月17日~3月24日

“研究開発”から子どもの野菜嫌いのお悩みを解決

――先日、おもしろい研究成果を発表しましたね。ピーマンの苦味を感じる仕組みの一端が解明されたそうですが・・・?


大上: キユーピーでは長年、おいしさのメカニズムに関する研究をしています。ピーマンの苦味に関しては、10年前から着目してきました。ピーマンは栄養が豊富で食卓にも身近な野菜であるにもかかわらず、苦味を理由に、子どもが苦手な野菜として挙げられることが多かったためです。これまでの研究で、ピーマンをマヨネーズで炒めると苦味を感じにくい、ということは分かっていました。研究を進めると、マヨネーズの原料である「油」「卵」「酢」の中でも「卵」の効果が高く、「卵白」よりも「卵黄」の効果が高いことが分かりました。


私たちが感じる味を客観的に示すことって難しいんです。人間の舌は、食品に含まれている成分を複合的にとらえているためです。今回、東京大学と連携して、人工的に舌を模倣した細胞を作ることで苦味の強さを客観的に測る方法を構築し、ピーマンの苦味を感じる仕組みの解明に成功しました。あわせて卵黄のタンパク質が苦味を抑制するということも科学的に証明しました。

図:苦味受容体「TAS2R8」の応答強度による卵黄タンパク質の苦味抑制効果の検証

詳細はリリースを参照:ピーマンの苦味を感じるメカニズムの一端を解明

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000502.000044559.html


――この研究成果によって、苦いピーマンも食べられるようになる子どもが増えるかもしれませんね。


大上:そうですね。ただ、苦い野菜を食べられるようにすることが、目的ではないんです。苦味は、食経験を重ねて大人になると自然に食べられるようになることが多いですし、むしろアクセントとして、おいしく感じたりします。ですが、子どものころに「野菜は苦くておいしくない」という野菜へのネガティブなイメージを持ってしまうと、大人になっても野菜を避けてしまうかもしれません。そうならないためにも、この研究が子どもたちにとって「野菜が食べられた!」というポジティブな経験につながったらうれしいです。


写真:味覚受容体を持つ細胞を使った実験イメージ


――なるほど、ポジティブな経験が大事なんですね。ところでマヨネーズや卵以外でも、効果はあるのでしょうか?


廣田:実は、ドレッシングをかけるだけでも野菜の苦味が抑制されて食べやすくなる、という研究結果もあるんですよ。野菜は健康的な食生活には欠かせませんが、70%近くの子どもに苦手な野菜があることが分かっています※1。そのため、子どもの野菜嫌いに悩んでいる保護者の方も多いです。食卓に野菜を並べても残されてしまうと悲しいですよね。そんなときは、ドレッシングを使って、楽しくおいしく野菜を食べてもらうことがおすすめです。


“体験の提供”から子どもの野菜嫌いのお悩みを解決

――ドレッシングも!すごいです。この効果を知ってもらう機会があるといいですね。


廣田:埼玉県深谷市にある野菜の複合型施設「ヤサイな仲間たちファーム」では、野菜の収穫体験を実施しています。子どもたちは、自分で収穫すると苦手な野菜も喜んで食べてくれるんです。調理体験もそうですね。自分で野菜を調理すると、自然とおいしく食べてくれます。

「家庭内でも同じように楽しく体験してほしい」と思い、2021年から家庭で野菜を収穫する体験を届けるドレッシングのキャンペーン※2を実施しています。このキャンペーンでは、サラダにぴったりの野菜を家庭で栽培して収穫できる体験キットをプレゼントしています。今年は、収穫体験キットのほかに、調理がしたくなるような親子エプロンも選べるようにしました。サラダだったら、レタスの葉っぱをちぎったり、ミニトマトのヘタを取ったり、小さな子どもでも難しくありません。ぜひお気に入りのドレッシングをかけて食べてみてください。子ども向けのレシピ、ドレッシングの使い方も、キャンペーンや公式サイトで紹介しています。自分で作ったサラダならきっと食べたくなるはず。この体験を、野菜に親しむきっかけにしてほしいです。


※2 「キユーピー 野菜をもっとおいしくもっと楽しく食べるキャンペーン」サイト

https://www.kewpie.co.jp/cp/202406-dressing/

キユーピーアヲハタニュースリリース 2024 No.41

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000520.000044559.html


写真:「ヤサイな仲間たちファーム」で実施した「#ごちそう写まチャレンジ」体験イベントの様子


羽生田:もちろん体験しても、魔法みたいにすぐに苦手な野菜を食べられるようになるわけではありません。体験の場で食べられなくても、楽しかった思い出が、いつの日か食べるときの後押しになるはずです!

野菜を好きになるきっかけづくりとして、6月にはキユーピーの見学施設「マヨテラス」(東京都調布市)で、子どもが苦手な野菜の代表格「ピーマン」の調理にチャレンジするイベントを予定しています。当日は、参加してくれた親子と一緒に、ピーマンの苦味を感じにくいメニューを作ります。研究結果をもとに作ったレシピなので、ピーマンが苦手な子どもたちにも食べてもらえるのではないか、と期待しています。食べられても食べられなくても、少しでも野菜に関心を持ってくれるきっかけになればうれしいです。


――“実体験”が、野菜を好きになる第一歩になりそうですね。キユーピーが長年取り組んでいる出前授業「マヨネーズ教室」もまさにそんな“体験”を提供していますか?


羽生田:そうですね。マヨネーズ教室は、2002年から続けている、キユーピーで大切にしている食育活動の一つです。講師は、社内認定資格の「マヨスター」を取得したキユーピーグループの従業員が務めています。講師が小学校に出向き、マヨネーズの話や野菜の大切さに関する講義をした後、小学生にはマヨネーズ作りに挑戦してもらいます。作ったマヨネーズは、最後に野菜につけて試食します。始まる前は「野菜は食べたくない」と言っていた小学生も、「友達と一緒だと食べられた!」と笑顔を見せてくることがとても多いんです。その様子を見た先生も、「普段はあまり食べないのに!」と驚かれています。講師を務めている私も子どもたちからパワーをもらうとともに、挑戦する姿に、感動して泣きそうになっちゃいます。

マヨネーズ教室は好評をいただいており、2023年には参加してくれた小学生が累計11万4千人になりました。



――たくさん開催してきましたね!何か思い出深いエピソードはありますか?


廣田:私も、新入社員の時にこの活動を知り、希望してマヨスターになりました!友達の応援で野菜に挑戦してくれた子、楽しい雰囲気のなかで少しだけでもと食べてくれた子、みんな食べられた経験がとってもうれしそうなんですよね。家族にも報告してみんなで喜んだ、なんて話も後日先生からお聞きしました。この経験が、今の「野菜で笑顔を作りたい」という思いにつながっています。


幼稚園や保育園に通う子どもたちには、子ども向けの野菜レシピと一緒に、ドレッシングを試してもらう活動も続けています。これまで約34万人の子どもたちにお届けしてきました。お渡ししたドレッシングを「僕のドレッシング!」と喜んで、大切に食べてくれているそうです。

最近特に好評なのが、昨年発売した「野菜がうまい!たれ」シリーズです。お客様相談室に、今までほとんどサラダを食べなかった子どもが、「野菜がうまい!たれ」のおかげで毎食のようにサラダを食べるようになりました、といったお声が連続で届いて、すごく励みになっています。

野菜の大切さ・楽しさを伝えて、子どもの笑顔につなげていきたい。挑戦は続く。

――野菜が苦手な子どもたちにもおすすめの食べ方を教えてください。


廣田:『自分で作る“体験”』ができるレシピとしては、「にんじんときゅうりのリボンサラダ」がおすすめです。ピーラーを使った調理ならお子さんでも簡単にお手伝いができますし、いつもの野菜がリボン状になるだけで見た目も華やかです。



野菜の苦味が苦手なお子さんであれば「レタスとハムとクルトンのサラダ」もおすすめです。サクサクしたクルトンの食感がアクセントになっていておいしいですし、レタスとハムをちぎりクルトンをのせてドレッシングをかけるだけなので作り方も簡単です。



――皆さんの活動はさらに続くと思います。今後に向けた意気込みを教えてください。


羽生田:野菜には体の調子を整えるビタミンやミネラル、食物繊維がたくさん含まれ、バランスの良い食事には欠かせない存在です。子どもたちに野菜に親しみを持ってもらいたい、という思いで、これまでもさまざまな活動を続けてきました。キユーピーでは野菜が食べやすくなるような商品開発、レシピ提案のほかにも、野菜に関する情報の提供とイベント開催などを行っています。

これからも、野菜の大切さ・楽しさをお伝えすることで、心と体の健康を応援し、子どものたくさんの笑顔につなげていきたいと考えています。



(参考)キユーピーの野菜に関する主な食育活動や研究実績

2002年 出前授業「マヨネーズ教室」をスタート


2011年 「『マヨネーズ教室』は小学生が野菜を食べようと努力するきっかけになる」を第5回日本食育学会で発表


2015年 「マヨネーズによる野菜の苦味低減効果」について平成27年度日本調理科学会にて発表


2016年 マヨネーズによる野菜の苦味低減効果について、①卵のうち「卵黄」の苦味低減効果が大きいこと、②卵黄が酸変性していること、③マヨネーズが微細に乳化していること、などが効果を高めている可能性が示唆され、平成28年度日本調理学会で発表

■参考リリース:https://www.kewpie.com/newsrelease/2016/121/


2021年 子どもが野菜をおいしく、楽しく食べられるように応援するサイト「子どもと野菜をたのしもう」をキユーピー公式サイトに開設

■「子どもと野菜をたのしもう」サイト:https://www.kewpie.co.jp/kids_yasai/

■参考リリース:https://www.kewpie.com/newsrelease/2021/2283/


2022年 白百合女子大学と共同で行った調査研究で、野菜料理を親子で共同調理すると子どもの心理的発達に好影響を及ぼすことが判明し、第10回 日本食育学会 学術大会にて発表

■参考リリース:https://www.kewpie.com/newsrelease/2022/2573/


2023年 子どもたちに「野菜が食べられた!」の成功体験を届ける食育プロジェクト「#ごちそう写まチャレンジ」をスタート

■参考リリース:https://www.kewpie.com/newsrelease/2023/2997/


2024年 ピーマンの苦味を感じる機構の一端を解明するとともに、卵黄タンパク質がピーマンの苦味を抑制する可能性が示唆され、日本農芸化学会2024年度大会にて発表

■参考リリース:https://www.kewpie.com/newsrelease/2024/3331/





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