ゲンバゴはなぜアプリをSalesforceで開発したのか?建設業で必須オンリーワンの見積機能へ挑戦
京都市の合同会社ゲンバゴは、Salesforceのプラットフォーム上で建設業向けの統合型アプリケーションを開発・販売しています。ルーツは建設業にあり、Salesforceの日本導入間もない2005年からヘビーユーザーとしてDX化に取組んだ経験を基に誕生した「現場へGO!」というアプリを提供しています。
私たちは「建設業こそSalesforceだ!」とのコンセプトを掲げていますが、世間では建設業界のDX化の遅れが取りざたされています。今回のストーリーでは、このギャップの背景とその解決策としての「建設業こそSalesforceだ!」について詳しくご説明いたします。
現場の属人化という課題解決へ Salesforce との出会い
建設業向け統合アプリ「現場へGO!」はわたくし山田遥加(ゲンバゴ代表)の父親が、かつて経営していた工務店で「現場の見える化」の為に導入したSalesforceとの出会いから始まりました。
時は2005年、Googleが「Google Map」 など次々と無料アプリを発表し躍進を遂げ、国内においてもADSLが普及するなど急速にインターネットが高速化・常時接続の時代へ突入した頃のお話です。
独立をへて受注も堅調、徐々にスタッフが増える中で、最大の悩みとなったのは「属人化」という大きな壁でした。現場の数が多くなればなるほど個々の現場の状況が見えなくなっていったのです。もちろん担当者から毎日のように「順調です」と報告を受けるのですが、実際には思わぬ施工上の不備やお客様からのクレーム等トラブルが頻発していました。
そんな中、父はCRMに活路を求めます。後に「皆が驚くほどいろいろ試してみた」と笑っていましたが「小さな会社に手の届く価格で、理想に近づけるカスタマイズ性能を持っているのはSalesforceだけ」であったことが決め手となりました。
なぜ「建設業こそSalesforceだ!」なのか
実は建設業は大臣や知事からいただく許可の数だけでも29種類、その中の詳細な職種に至っては150とも200とも言われる巨大な産業です。令和3年度の国交省の統計では48万社の許可事業者と485万人の就業者数が従事しています。
そしてその中には、総合建設業と呼ばれ元請としてユーザと直接契約する事業者もあれば、塗装や屋根や基礎工事といった専門的なスキルを持ち、元請の下で協力業者として業務をこなす事業者もあるのです。
また、公共工事だけを受注する会社。家電量販店のエアコン工事を専門的に請負う会社。建売住宅の販売会社。などその業務プロセスはまさに千差万別、会社の数だけあるといっても過言でないのです。
そのような特性を持つ建設業にあって、父にとってはNOコード・LOWコードというSalesforceの持つ柔軟性やカスタマイズの容易さに大いなる可能性を感じたのは必然だったのかもしれません。それまでの選択肢は、オンプレミス型のシステムを高額な費用を出して開発依頼するか、安価なパッケージソフトを購入するか、のほぼ二択しかなかったのですから。どれを選んでも「帯に短したすきに長し」自社に合わせたカスタマイズなどは「高嶺の花」であったのです。
弊社ゲンバゴは「建設業こそSalesforceだ!」とのコンセプトを掲げています。これはこんな20年前の経験から生まれました。そしてその思いは時を経てもいささかも変わっていません。
Salesforceアプリ開発のきっかけ
「工事現場しか知らない人間がSalesforceのアプリを開発する」という突拍子もない計画は、2015年に「ゆっくり」とスタートしました。
当時、Salesforceは顧客への営業支援(CRM・SFA)という分野で大きな成長を遂げていました。しかし建設業ではさほど導入が進んでいませんでした。理由としてはCRM・SFAというものは受注するまでが主な役割で、ある意味「契約がゴール」という風潮があったように思います。それに対して建設業では「契約」はスタートの合図に他ならず、むしろそれに続く長い工事期間中を重要視しています。そのギャップこそが導入が進まない理由のひとつだったように思います。
零細な建設業にありながら、まがうことなきヘビーユーザーであった父はSalesforce社のお招きにより各地のイベントで事例発表の機会をいただくようになりました。そんな関係で知り合った地方の建設業の皆様からいただいたお声が「現場へGO!」開発の大きなきっかけとなりました。
東京ビッグサイトでの事例発表
皆さん悩みは様々なれど、共通していたのは「自分たちですべて開発するのはやはり大変だ」「価値は認めているが価格がネックになる」「建設業の見積にフィットしない」というお悩みでした。
そして、これこそが父がSalesforceと格闘した10年間、まさに直面し乗り越えてきた課題であったのです。
この出来事を通じて父は「全国的に建設業の課題にはあまり差がない」ことを再認識しました。
そして「自社のシステムを汎用化して提供すれば皆様のお悩みを解決できるのではないか?」とアプリ化の道を歩き始めたのです。
おりしもSalesforce社がアプリのマーケットプレイスAppExchangeを中核として、Salesforceを中心としたエコシステム(経済圏)構築に力を注ぎ始めた頃のお話です。
ローンチの瞬間に訪れた全身整形の宣告
もちろんのこと建築屋の親父が旗を振るプロジェクトがそんなにうまく進むわけもありません。少し進んでは課題にあたり、また進んでは高い壁に阻まれる。そんなことの繰り返しでした。しかし多くのエンジニアやSalesforceメンバーに支えられどうにかこうにか2018年のローンチにこぎつけます。
しかし、ここでまた大きな問題が勃発。それはSalesforceのインターフェイスが「Classic」から「Lightning Experience」に変更となったこと。正確には2016年に発表された大規模アップデートなのですが、入力画面がすべて変更になる大掛かりな内容で「現場へGO!」ローンチの2018年のタイミングでは、徐々に切替も進み利用者からの「Lightning良いね」という声を多く聞くようになったころでした。弊社アプリも早晩全身整形を施さねばならないのは自明の理でした。
Lightning Experienceに完全準拠しリニューアル サービス提供を開始
ただ、小規模な企業にとってそれは簡単な決断ではありません。ただでさえ予算をオーバーする開発費がさらに膨れ上がることが明白であったからです。
悩みに悩んだ結果、弊社ゲンバゴでは「やらねばならない事なら一刻も早く」と決断し販売と並行してLightning Experienceに完全準拠したアプリ開発に再び着手します。
2015年に開発を志してから実に6年多くの困難を乗り越えついに2022年の年頭、Lightning Experienceに完全準拠したNew現場へGO!のサービス提供が開始されました。
現場へGO!はSalesforceのプラットフォームで構築した建設業向けの統合型アプリケーションです。建設業で必要な階層型の見積もり機能とWEBアプリケーションとして共有できるグラフィカルな工程表機能にお客様との出会いから引き渡しアフターサービスまで建設業に必要な全ての機能をワンストップに実装しています。
そして、うれしい誤算が起こります。悩みに悩んだあの決断がゲンバゴに大きな成長エンジンをもたらすことになったのです。まさに「災い転じて福と成す」でした。
Lightning Experienceのアーキテクチャーの中核に LWC(Lightning Web Component)というものがあります。これは、簡単に説明するとインターフェイス等をすべてWebに配置できるパーツとして開発する。というような内容なのですが、弊社のアプリも完全準拠しこの技術を採用したことで、見積機能・工程表機能・工程管理機能等現場へGO!に実装している各機能をパーツとして提供することが可能となったのです。
特に建設業で必須となる階層型の見積機能は Salesforce基盤のアプリケーションでは唯一(※注1)となり、Salesforce導入済みのエンタープライズ企業様でも、見積機能だけを新規に採用いただき、稼働中の環境と組み合わせてお使いいただくなどの事例が増えて来ました。
(※注1:2024年5月現在 自社調べ SalesforceアプリのマーケットサイトAppExchangeにおいて)
Salesforce Japan Partner Award の受賞とこれからのゲンバゴ
2024年5月、弊社ゲンバゴはSalesforce Japan Partner Award 2024において[Best Reviewed App of the Year]を受賞しました。これは「現場へGO!」のユーザレビューが最も高かったことを評価いただいたもので、弊社メンバーにとって何よりのうれしい出来事となりました。
Award受賞のパートナー企業はSalesforce界隈では知らぬ人のいない上場企業や著名な皆様ばかり。歴代のAwardでも合同会社は弊社が初めてなのだろうと思います。そんな弊社を選んでくださったSalesforce社の勇気に敬意を表し心より感謝しています。
Salesforce Japan Partner Award 2024
今後は、弊社の強みである見積を中心にエンタープライズ領域へパーツ供給することで長期的に安定した経営基盤整備に努めます。そしてそれとともに、弊社の経営理念である「ゲンバと幸せをつなぐ」に向かって愚直に邁進してまいります。
Salesforceの創業者マークべニオフ氏は、小規模な組織であっても大企業と同じアプリケーションを、必要な数量・必要な期間利用できることを指して「システムの民主化」と呼んでおられました。現在のSalesforceはエンタープライズ企業での利用が多いイメージがありますが、実はスモールスタートでこそその真価が発揮できると考えています。
弊社のミッションは「建設人×Salesforce」の善き通訳となること。
かつての若き経営者がSalesforceに大いに助けられたように、Salesforceを基盤とした「現場へGO!」もまた、多くの建設人のお役に立てると確信しています。これからのゲンバゴの挑戦にぜひご注目下さい! それでは皆様、今日も明日も「ご安全に!」
◆合同会社ゲンバゴ
◆Salesforceでうごく!建設業向けアプリ「現場へGO!」
現場へGO!はSalesforceのプラットフォームで構築した建設業向けの統合型アプリケーションです。建設業で必要な階層型の見積もり機能とWEBアプリケーションとして共有できるグラフィカルな工程表機能に、お客様との出会いから引き渡しアフターサービスまで建設業に必要な全ての機能をワンストップに実装しました。
機能一覧はコチラ URL: https://genbago.com/service/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ