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80代の著者さんもおられます。

より汗を抑えられる、最も快適なデオドラントを目指して「ギャツビー EXプレミアムタイプデオドラントシリーズ」の誕生秘話

著者: 株式会社マンダム

長期間に渡り暑い季節が続く近年の日本。「汗」と「ニオイ」をケアするため、デオドラント製品を愛用している方は多いでしょう。長年「汗」「ニオイ」対策に取り組んでいるマンダムは、メンズコスメブランド「ギャツビー」より、先端汗腺研究から生まれたデオドラントで、根本※1からニオイの発生を防ぐ制汗力×殺菌力を兼ね備えたEXプレミアムタイプデオドラントシリーズとしてロールオンとスプレーの2品を2024年2月に新発売しました。

※1 汗・ニオイ菌


左:ヘアケア研究所 エアゾール製品開発グループ 稲田 康輝

右:スキンケア研究所 クレンズケア製品開発グループ 茶谷 芳光


今までの各種自社製品※2と比べても最も強い密着処方を採用しています。そのため、汗が出ても有効成分が流れにくく、肌にとどまることから快適な状態が続くものへと仕上がりました。

※2 ギャツビー デオドラントロールオン、ギャツビー デオドラントスプレー各シリーズ


加えて、同商品には2010年から業界に先駆けて研究してきたマンダムの汗腺に関する知見が多く活用されています。しかし、研究の成果を商品開発へ活かし、実際に消費者の方へ届けることは簡単なことではありませんでした。


本ストーリーでは、処方設計に携わった茶谷、デオドラントスプレーの開発に携わった稲田に今回の商品開発の裏側を聞きました。

おむつからヒントを得て、新原料を開発。制汗を実感できるデオドラントを目指した挑戦。

ギャツビー EXプレミアムタイプデオドラントロールオン無香料〈医薬部外品〉

(販売名:デオドラント ロールオンOA)


デオドラントのロールオンタイプの処方設計を担当したのは、スキンケア研究所の茶谷です。商品として実際に使ったときに、制汗効果を鑑みた処方の開発に取り組みました。数多くの試作を重ねた今回の処方設計について、当時の難しさをこのように振り返ります。


「数値としては差異が出ていても、使った人が効果を感じにくいということが思った以上にあり、なぜだろうと頭を悩ませました。特に腕では結果に差が出ているのに、脇では思ったように実感値として差が出にくいところが苦労点でした」(茶谷)


その理由の1つは、ロールオンの塗り方にありました。サンプルを塗った部分の汗は抑えられていたのですが、実際に使うシーンでは、どうしても塗りむらや塗り忘れが生じます。その塗れていない部位からは汗が出てしまうため、制汗実感が薄いという結果になっていたのです。そこで茶谷は、きちんと塗り広げられていないケースも想定した処方として新たな原料を開発し、処方に組み込みました。


その原料とは、おむつに使われている吸水ポリマー技術を応用したものだと茶谷は説明します。さまざまなメーカーと原料について話す中で、出会った方に「この吸水ポリマー技術をデオドラントに応用したらおもしろいのでは」と持ち掛けたのがきっかけでした。


「我が家におむつを使う子どもがいることも、発想のきっかけになりました。あの吸水力の高さと、吸ったあとのさらっとした速乾性の高さが、デオドラントに使えるんじゃないかと思ったんです。隙間から出た汗をすぐに吸って素早く飛ばせないかなと。原料メーカー側も乗り気になってくれ、15~6回改良をしてもらい、独自の吸水ポリマーを実現できました」(茶谷)


意外な発見をした当時の様子を語ってくれた茶谷


試行錯誤をしながら完成させた処方も、製品化の条件に合う処方を選ぶスクリーニングを行います。スクリーニングの期間は1年弱と長めに確保されていたものの、実際にデオドラント剤の試験を行うのは夏しかできないという事情が難しさにつながりました。また、医薬部外品は市場に出す前に申請してから承認されるまで半年以上の時間を要するため、発売1年半前頃には処方を確定させなければならないという事情もあるのだといいます。


「リミットが決まっているなか、基本的に被験者の方に夏場しか試験をお願いすることができないことが、スケジュール上大変でした。冬はデオドラントを塗ると寒いですから。そこで、冬場にかかってしまったときは、温度や湿度を調整できる部屋を利用して、筋トレ好きの後輩に協力をお願いしました。背中にサンプルを丸く複数塗って、夏を再現した部屋で汗をかいてもらうことで作業を進めました」(茶谷)


背中に複数のサンプルを塗布し、それぞれの汗量を比較


左側:製品処方を塗布 右側:未塗布

ロールオンタイプに劣らない、満足できるデオドラントスプレーを目指して

ギャツビー EXプレミアムタイプデオドラントスプレー無香料〈医薬部外品〉

(販売名:デオドラント スプレーF1A)


スプレータイプの開発に携わったのは、エアゾール製品開発グループの稲田です。稲田が入社したのは、エアゾール製品の開発グループが誕生した年。そこから今に至るまでの中で、14年間ずっと同グループで活躍してきた、社内で一番エアゾール製品開発に詳しいといっても過言ではない人物です。


エアゾールならではの苦労を語ってくれた稲田


デオドラントスプレーだけではなく、ヘアスプレーなどエアゾール製品の開発を行ってきた稲田。デオドラントスプレーの商品開発は医薬部外品として効果を発揮できる品質にすることは当然のこと、ガスを充填した状態で安定させなければならない点が開発の難しさです。


新商品開発の話が浮上する前より、稲田はデオドラントスプレーの課題を克服すべく、開発に取り組んでいました。


「デオドラントスプレーの特長の1つは、さらさらとした使用感です。ただ、使用感に優れる一方で、肌に直接塗るロールオンタイプと比べると、制汗力が弱く感じられてしまう点が課題でした。ロールオンタイプは、制汗成分であるクロルヒドロキシアルミニウム(以下、ACH)が水溶液で入っており制汗成分が汗の出口にしっかり蓋をして、制汗効果を発揮します。しかし、パウダーデオドラントスプレーは制汗成分ACHが粉の状態で缶に入れられており、粉が汗の出口で効果を発揮する前に汗で流れ落ちてしまう場合もあるため、制汗力が落ちてしまう傾向にあります。これを何とかしたいと思い、5年ほど前から開発を進めてきたことが、今回の新製品に活かされました」(稲田)

業界の常識にとらわれず、試行錯誤の末に辿り着いた「ピッカリングエマルション技術」

マンダム福崎工場


「スプレー缶はアルミ製なので、制汗成分ACHの水溶液をそのまま入れるのは缶の腐食などに繋がり、リスキーだというのが業界的な基礎知識です。そこで考えたのが、缶の中に入れた水溶液が直接アルミ缶に触れないようにするための乳化技術です。

まず、界面活性剤により乳化させて水溶液を包むことで外相を油にすれば、アルミに接触することがなくなり、問題が解消するのではないかと考えたのです。ただ、この案にも難点がありました。それは、界面活性剤の使用感、べたつきです。」


デオドラントスプレーを選ぶ人が求めているのは、使用後のさらさら感。その本来のニーズが満たされないことから、界面活性剤案は却下となりました。


さらさらした使用感を保ちつつ、かつ制汗成分ACHの水溶液を閉じ込めて缶に触れないように入れたい。そう考えた稲田が行き着いたのが、粉で乳化させる「ピッカリングエマルション技術」でした。



「ピッカリングエマルションは何も新しい技術ではなく、以前からあるものです。さらさら感を出すためには粉が必須のため、粉で乳化させる技術があったと思い出しました。他にもいろいろな乳化技術がありますが、ピッカリングエマルション技術で開発するのが最適だという結論に達しました」(稲田)

作った処方数は約200。納得できるデオドラントスプレー完成までの道のり

ピッカリングエマルション技術は粉で乳化させる技術であり、どのような粉を使うのかはケースによります。そのため、この技術に行き着いたあとも、稲田の試行錯誤は続きました。


「そもそも、制汗成分の水溶液をピッカリングエマルション化した事例が存在しなかったんです。理論的に良さそうな粉、油との比率をイメージできはするものの、本当に良いかどうかはわからないため、文献も参考にしながら粉を選び、ベストな組み合わせを探っていきました」(稲田)


今回、稲田が作った処方の数は、約200。これは通常時と比べて多く、大変だったといいます。


また、茶谷の取り組みと同じように、デオドラントスプレーの開発においても、入念に制汗機能の確認が行われました。


「体にアダプターを付け、社内にある風呂で足湯をしながら発汗量を測る試験があり、私自身も被験者となって機能を確認しました。多いときには1日に3回も足湯に浸かったことがあります。そうして『これならいける』と確信を持てたあとは、被験者を増やすため、チームメンバーをはじめ、いろいろな人に試験を受けてもらいました」(稲田)


実際に、足湯から発汗量を測定している様子


こうして、数々の試行錯誤を経て完成したデオドラントスプレー。稲田は「制汗力が高いのはロールオンタイプなどの直塗りタイプで、スプレータイプは使用感重視という固定概念をひっくり返したい。スプレータイプでもこんなに汗を抑えられるんだと体感していただきたいです」と胸を張ります。

ギャツビー EXプレミアムタイプデオドラントシリーズを、ぜひこれからの汗・におい対策のお供に

こうして、無事に2024年2月に2種揃って発売を迎えたギャツビー EXプレミアムタイプデオドラントシリーズの新製品。今回の開発の振り返りや今後について、2人は次のように語ります。


「独自の処方で画期的なベネフィットを生み出せる開発を今後も進めていきたいですね。今回の着眼点のようなデオドラントという枠の中に留まらず、何か応用できるところがないかについても、考えていきたいと思います。私はデオドラントの担当歴が3、4年と浅く、個人的に『正直デオドラントって効くのかな』と思っていた部分もあったんです。でも今回、密着力が高く、汗で流れ落ちにくい処方となっているので、自信を持っておすすめできます。昔の私のようにデオドラントの効果をいまいち信じ切れていない方、汗に悩まれている方にこそ、ぜひ毎日使っていただきたいと思いますね」(茶谷)


「マンダムは1976年にエアゾール工場を竣工してから、エアゾール製品を自社で開発、生産することを社の強みにすべく取り組んできました。そうした取り組みの1つが、私が入社したタイミングでのエアゾール製品開発グループの創設です。今回の開発は、『唯一無二の自社の強みにしたい』と取り組んできたなかでの、1つの大きな成果だといえるでしょう。今回の開発で、ピッカリングエマルションとエアゾールを掛け合わせる技術を確立できました。今後はデオドラントスプレーだけではなく、いろいろなエアゾール製品にもこの技術を展開していきたいです」(稲田)


これから活躍のシーズンを迎えるデオドラント。ロールオンタイプ、スプレータイプ共に、ぜひ一度、その効果をお試しください。





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