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今日が、残りの人生の最初の1日。

葬儀会社が取り組む無駄を出さない農業。ぬか床をつくるお客様の声をきっかけに米ぬか化粧品を開発し、田んぼから出たすべてのものを商品化する新しいビジネスモデルとは

著者: 株式会社穴太ホールディングス

<事業概要>

株式会社穴太ホールディングス(本社:千葉県木更津市、代表取締役:戸波亮)(以下当社)は、葬儀社と農業を母体とする異業種法人グループです。創業から35年余り、地域の皆様に寄り添いながら葬祭サービスを提供してまいりましたが、葬儀業界の市場縮小に伴い、2013年に農業生産法人を興すに至りました。


現在、当社を構成するグループ会社は全8社。葬儀会社が一見まったく関係のない異業種に参入したと思われるかもしれませんが、理由があります。

葬儀社が新規事業展開に乗り出し、米ぬか化粧品をつくるに至った視点や発想をご紹介します。


<背景>

葬祭業の縮小傾向を鑑みて、農業生産法人を設立。米づくりは大きな可能性を秘めている

2023年の統計によると国内での総人口が前年に比べ59万5千人減少しました。人口減少に伴い亡くなる方が減るという傾向、家族葬へのシフトによる葬儀単価の減少などを鑑み、葬祭業の事業戦略として売り上げの拡大ではなく、利益率改善に舵を切りました。


主たる取り組みは、外注業務の内製化です。まずは葬儀で使う生花の仕入れや仕出し料理の製造を内製化し、コストコントロールと利益確保の仕組みを確立しました。続いて、葬儀の返礼品に使える商品づくりを検討し始めました。


紆余曲折を経てたどり着いたのは「お米」です。

お米は返礼品だけでなく、仕出し料理や他の加工品にも活用できます。2013年に北海道栗山町に農業生産法人を設立し、稲作を開始しました。現在田畑の面積は52haまで拡大しています。特別栽培米としてブランド化を図り、お米の品評会で入賞することで付加価値を高め、2019年には自社のグループ会社である米穀販売会社で飲食店や一般顧客に販売する流通経路も確保しました。「自分たちで作り、加工し、売る」ことで利益を最大化しています。

お米の副産物を商品化。SDGsに即した環境配慮型農業と無駄をなくす取り組み

農業を営むうち、米作りには思いのほか廃棄物が多いということに気がつきました。

稲刈りをし、籾を摺って玄米にすると「籾がら」が出ます。玄米を精米する際には「米ぬか」が出ます。そのほか、お米づくりの過程では「規格外米」もでてきます。


水田から出る副産物を再利用して商品化することはSDGs(持続可能な開発目標)の理念に即しており、無駄を出さず環境に配慮したモノづくりは、持続可能な農業への貢献にも繋がります。


副産物でエコ養鶏。稲藁と規格外米を使った持続可能なスイーツ作り

稲藁を水田から運び出し鶏舎に敷き、規格外のお米を飼料として放し飼いで鶏を育てています。平飼い卵をつかったプリンやスイーツの販売も行っています。

規格外米を米麹甘酒に

規格外のお米は甘酒の原料としても活用しています。オリジナルの甘酒は葬儀の返礼品やECサイト、直営店舗で販売しています。


籾がらを固形燃料「モミガライト」に変え廃棄物を有効活用

大量に発生する籾がらは、専用の製造機を導入し「モミガライト」という固形燃料に変えています。キャンプや薪ストーブで活用でき、燃焼後は田畑に撒くことで土壌改良の肥料として土に還すことのできるエコ燃料です。


▼「モミガライト」に関する “PR TIMES STORY” はこちら

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米ぬかの力で肌も心も満たす。お米タオルと化粧品が新登場

米ぬかを練りこんだ繊維でつくるお米タオルを商品ラインナップに加えました。さらに米ぬかがもつ保湿効果に着目し、米ぬかエキスを配合したオリジナルの化粧品も開発しました。


田んぼから出る貴重な植物資源を活用した商品開発の背景には、持続可能な農業への貢献はもちろん、エシカル消費を実践されているお客様へ情緒的な価値や満足感を届けたいという想いがあります。

<化粧品開発の経緯>

■ぬか床をつくるお客様の手の美しさに驚き。米ぬかの保湿力を活かした化粧品開発スタート

田んぼからでるものを無駄にしない戦略に挑戦してきた当社ですが、化粧品事業に踏み出した契機はお客様のお声でした。

北海道にある直営店舗の常連様に当社の米ぬかを使うと手がしっとり潤うと仰っていただき、顔のお手入れにも応用できないかと考えたことから、化粧品開発がスタートしました。


米ぬかには、皮膚の水分量を一定に保つ効果が期待されるオリザブランという成分が含まれます。そのほか米ぬかには、40種類以上のアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどに加え、トコトリエノールやフェルラ酸、γ-オリザノールといった特有の成分が含まれています。

当農場から獲れるお米でオリジナルの化粧品開発を開始したのは2022年9月のことでした。

■北海道の自然と米ぬか美容の力を融合。誕生したスキンケアブランド「Siamam」

葬祭業から農業へ参入した当社ですが、これまで取り扱ってきた食品とは異なるスキンケア商品の開発には困難がありました。


  • <1>商品設計へのハードル

製造設備導入や免許取得へのハードルの高さから、化粧品製造はOEMで行うという判断に至りました。

全国の化粧品メーカーを検討するうち、約130年に亘り「米ぬか美容」を見つめ続けてきた神戸のメーカー様とご縁があり、製造をお願いすることになりました。自社工場でのコメヌカエキス抽出技術をもち、米ぬかにこだわった自然派化粧品を作り続けてきた実績と信頼のあるメーカー様と出会えたのは非常に幸運でした。


一方で、当社には化粧品開発の知見がなく、商品設計の過程では大変苦労しました。例えば、当社米ぬかエキスを使用した試作品第1号をいただいた際には、配合成分や肌への効果、使い心地などを設計していくにあたり、各グループ社より幅広い年代の従業員を集め一定期間使用した後にヒアリングを行いました。


当社内の化粧品開発チームは1名体制。

商品パッケージやブランドロゴは、任命された若手女性社員が担当し、各地の展示会や都内の店舗などで市場調査を行いつつ、複数の案を出してはターゲット層に近い社員へアンケート調査を行いブラッシュアップを重ねました。

パッケージデザインでは複数案を社内で検討するも意見がまとまらず、最終決定までに3か月を要する結果に。


メーカー様の工場にも直接足を運び、製造ラインの見学をしながら化粧品表示ルールやパッケージの留意点などについて一から教えていただきました。



  • <2>コンセプト設定と販売促進

商品開発を進めるにあたり、ブランドコンセプト設計にも苦心しました。

既存の取引先である広告社様とチームを組み打合せを重ねながら、当社の米ぬか化粧品にまつわる機能的・情緒的価値をひたすら深化させる取り組みを実施しました。


最終的に「北海道の大自然が育んだお米」×「米ぬか美容の研究実績」×「ロハスなライフスタイル」といった価値を組み合わせ、『肌に、おいしい潤いを。』というメインコンセプトを打ち出しました。


北海道の厳しくも豊かな大地で育つ「水芭蕉米」の豊富な栄養が凝縮した米ぬかのエッセンスを閉じ込めたボタニカル化粧品「Siamam(シアマム)」

日本人になじみ深いお米由来の化粧品が肌本来の健やかさを保ち、自然体のお肌で過ごす心地よさをお届けできるように。

商品開発を進めるうちにその品質に確信を持つことができ、実際に商品が完成した際は、農業部門をはじめ広報部門や直営店舗など関連する全社員にとって愛着と自信を憶えるスキンケアブランドになりました。


<成果と課題>

■初の展示会で成功。地域農業を支えるブランドとしてポップアップ出店と海外展開を実現

米ぬか化粧品の完成をきっかけに、2023年9月、当社としてはじめての展示会参加に挑戦しました。

田んぼから出るものを無駄にしない商品開発の背景にあるストーリーとともに米ぬか化粧品を展示し、来場されたバイヤー様のお声がけにより、2024年1月に新宿マルイ本館にて、同年2月には大丸東京店にて期間限定のポップアップストアを展開するに至りました。


▼百貨店出店に関するプレスリリースはこちら

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■Siamamの認知度アップに向けて

現在ではECサイトを中心に直営店舗での小売販売や一部卸販売、シンガポールにあるショッピングモールでの期間限定出店も実施しています。

一方で、認知度アップは重要な課題です。

まだまだ知名度にのびしろのあるブランドですが、今後は国内および海外への展開も見据え、展示会やユーザー参加型のイベント出展、SNSキャンペーンの実施などで認知拡大に努めます。

環境に配慮した化粧品をつかう「サステナブルな選択肢」を提案し、北海道栗山町における持続可能な農業の発展にも貢献していけるよう取り組んでまいります。


<今後の展望>

後継者不足で進む農地荒廃に挑む株式会社穴太ホールディングス。付加価値を高めた日本酒と化粧品を世界へ

現在、農業従事者は他産業に比べて平均年齢が非常に高齢化しています。

後継者がおらず、休耕田になってしまった所も多く見られるようになりました。

農地は一度荒れてしまうと、数年間は元に戻りません。

食料を生産することは国の基であり、美しい田園風景を未来につなぐことは私たちの使命であると捉えています。


今年に入り、慶応2年から続く地元の酒蔵をグループ社に迎え日本酒製造にも乗り出しました。

現在は甘酒・日本酒・化粧品を携え、タイやベトナム、インドにモンゴルなど積極的に海外での商談会に参加しています。


当社は、大量に作って販売するのではなく、自分たちで原料から最終製品まで手掛けるビジネスモデルです。今後も農業の未来を考え、地域課題に取り組みながら付加価値のあるユニークな商品を広く世界へ届けていきます。


■株式会社穴太ホールディングス(コーポレートサイト)

https://anou-group.co.jp/

■穴太商店(公式オンラインショップ)

https://www.anou-shoten.com/




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