サジェスト汚染を焼やし尽くせ!鋳造ロゴプロジェクト
鍋屋バイテック会社様の製作協力により実現したねこだまり工房の鋳造ロゴプロジェクトの舞台裏をご紹介いたします。
鋳造ロゴプロジェクトとは?
1400℃で溶かした鉄を砂の型に注ぎ込んで『鋳物』を作る鋳造で、ねこだまり工房の『ネコロゴ』オブジェを作ってしまおうというのが鋳造ロゴプロジェクトです。
そして、溶けた鉄の流れで鮮やかに燃え上がるロゴの様子を映像に収めるという企画です。
プロジェクトの始まり
鋳造ロゴプロジェクトの発端となったのは、鍋屋バイテック会社様(以下、NBK様)が運営されているX公式アカウントでの投稿でした。
1000万回表示と大反響を生んだロゴ鋳造動画
https://x.com/NBK_1560/status/1813027633049051357
より進化したNBKロゴ鋳造アニメーション動画
https://x.com/NBK_1560/status/1825342977889460250
オリジナルのロゴで作れるという事は、「ねこだまり工房の『ネコロゴ』で、同じ事ができないだろうか」とお問い合わせした事が発端となりました。
テーマが炎上ロゴとなりますので、本来であれば「炎上」というネガティブな言葉は企業・メーカーとして避けるべきテーマでしょう。
しかし、今年の4月にお知らせできた刑事事件(信用毀損事件)の影響で、「炎上」を含むネガティブなワードでねこだまり工房のサジェストが汚染されてしまっている状況にありました。
SNS・インターネット上における弊社に対する虚偽の流布・誹謗中傷行為に対する対応について – ねこだまり工房直営オンラインストア
NBK様の燃えてるロゴを見て、ふと思い浮かびました。
『「炎上」の意味合いを「物理的な炎上」にしても面白いのでは…?』
とは言え、勝手な思惑で他社様との取り組みを行う事はできません。
製作協力をいただいたNBK様との初回ミーティングの前に背景をお伝えしたところ…
プロジェクト窓口を担当いただいた方から、
『社内で本件への想いも共有させていただきました。過去の炎上を燃やし尽くせるようご協力させていただければと考えております。』
とメールが届きました。
断られる可能性も想定していたので、届いたメールを見た瞬間『燃やし尽くせるように』というワードセンスが良すぎてスタッフ一同思わず「カッコ良すぎるやろ!」と口に出してしまいました。
そうして頼もしすぎる仮打ち合わせから、プロジェクトが始動しました。
前例のない鋳造プロジェクト
今回、NBK様の投稿された動画を元ネタに、ねこだまり工房のネコロゴで行い動画を撮影するというのが主目的になります。
(↑砂型になったネコロゴ)
ちなみに、NBK様にとっても初の試みになるそうで前例のない手探りでのプロジェクトとなりました。
(↑鋳造の準備をしていただいている様子)
ネコロゴならではの課題が…
現場での準備が整い、挑戦が始まったのですが、まさかのネコロゴ特有の課題があり、高難度になってしまいました。
1.同時手注湯が必要になる問題
NBK様では機械を用いての自動鋳造設備を構築されています。製品製造では、巨大な溶鉱炉や、大型の機械を用いて自動で角度やスピードを調整しながら注いでいきます。
(↑溶鉱炉の蓋が開く瞬間)
今回のネコロゴオブジェは、単発製作なので、手作業で溶けた鉄を掬い注ぐ「手注湯」という製造方法になりました。 これは職人技が求められる難しい製造方法です。
NBK様では、技能承継の為に、手注湯の機会を度々設けているそうなのですが、今回、綺麗に光る為には熟練の職人技で一定の速度で注がなければならない事から、鋳造部門のトップとナンバー2のお二方が協力いただける事に!
(↑溶鉱炉から溶けた鉄を取り出すシーン)
ただでさえ職人技が必要になる製法なのですが、ねこだまり工房が完成した鋳造品をオブジェとして置きたいと希望したことで更に高難度となってしまいました。
2つの注ぎ口から、息を合わせて同時に注ぐ必要のある高度な挑戦です。
(↑カッコいい手注湯)
2.ネコロゴの線が細い問題
そして、デザインによる更なる課題も…。
ネコロゴは、細い線に囲まれています。通常の鋳造では、構造物や大きな部品を作る事が多い為、そもそも細い線などのデザインのあるものを作る事の方が珍しいです。
順番に光らせる為には、一定の溝で溶けた鉄を留まらせる必要がある為に、線が細くなると圧力が足らず横から溢れてしまう課題が発生しました。
(↑惜しくも型から溢れてしまったシーン)
この問題を解消するために、手作業で砂型に修正・調整を加え、更にバーナーで余熱してから挑むなど微調整を繰り返しながら何度も挑戦してくださいました。
砂型の調整が必要と分かった瞬間に、鋳造部門出身の現在は営業部所属の方が、応援に加わってくれました。実は、鋳造部門だった際にナンバー3と呼ばれていたそうで、ネコロゴの為に、鋳造部門のトップ3名が集合しておりました。
ヒーロー登場のBGMが聞こえてきそうなシーンです。
(↑砂型に手作業で修正を行っている場面)
熱いリベンジと職人のプライド
様々な課題を乗り越えて、炎上ロゴ動画が完成したのですが、動画データと共に、NBK様から申し出がありました。
「完成した様に見えたのですが、ほんのわずかに線が繋がり切っていない部分があるのでリベンジさせて欲しいです。」
動画を見返してみると、確かにほんのわずかな1点だけが光り切っていませんでした。とは言え、この状態でも点数をつけるならば、95点以上は出ていると言えると思いますし、ここをゴールにしても何も違和感はない場面です。
その実直な申し出に、職人としてのプライドやこだわりを感じ、ご無理のない範囲でのリベンジをお願いする事になりました。
(↑ほんのわずかな点が繋がっていない炎上ネコロゴ)
リベンジは、光り方・注ぎ方がパーフェクトになるまで数回続きました。当工房が把握している範囲以外に、何回の挑戦があったのか、何個の砂型が使われたのかは分かりません。
人員が動き、材料を使うという事はコストもかかる事ですし、スケジュール調整も大変だったかと思います。正直、最初の惜しい!状態でもプロジェクトとしてはそういう物という着地にしてしまう場面もあるのではないでしょうか。
余興に近い、このプロジェクトに対してそこまで誠実に、真剣に向き合って結果を残そうとしてくれる会社があるのだと、本当に感動しています。
パーフェクトなネコロゴ炎上シーンは、下記の動画を是非是非ご覧ください!
遂に完成!鋳造ネコロゴオブジェ
溶けた鉄を超える熱意のこもった様々なドラマを経て、ついに鋳造ネコロゴオブジェが完成しました!!
(↑鋳鉄製ネコロゴオブジェ)
ロゴオブジェ受取に美濃工園を訪問し、プロジェクトにご協力いただいた皆様と一緒に炎上動画(?)を確認!現場での苦労や工夫を詳しく教えていただきました。
(↑ネコロゴが燃えている注湯映像の鑑賞会)
プロジェクトのまとめ
たまたま拝見したSNSの投稿がきっかけではありますが、想定以上に大掛かりなプロジェクトになりました。
炎上というデリケートなテーマが、今回の様にユーモアのあるプロジェクトに繋がり、無事に製作・公開ができたのは、製作協力いただいた鍋屋バイテック会社様に、多大なご尽力をいただいただけでなく、1人1人の社員様にも丁寧に、温かい接し方をしていただけたおかげかと思います。
不思議なご縁で体感する事のできた良識ある企業としての模範的な姿勢を習い、目指しつつ、これからも頑張ろうという心を引き出してくれたプロジェクトにもなりました。
ご覧いただいた皆様にも、火と向き合う鋳造というカッコいいプロセスがある事を知っていただける機会となり、1400℃で光るネコロゴが心に何かを与える事ができたのならば、プロジェクトは大成功と言えるのではないでしょうか。
紹介しきれないほどの工夫や挑戦の苦悩は、こちらのブログ記事でご覧ください。
https://nekodamari.work/blogs/news/1400_nbk
実際にプロジェクトに携わっていただいた皆様には、許諾いただいた上で動画のエンドロールにお名前を掲載させていただきました。
改めまして製作協力いただきました鍋屋バイテック会社の皆様、本当にありがとうございました。
(↑ねこだまり工房鋳造ロゴプロジェクト記念写真 美濃工園にて)
ねこだまり工房株式会社
〒456-0053 愛知県名古屋市熱田区一番二丁目24-3
鍋屋バイテック会社
〒501-3939 岐阜県関市桃紅大地1
鍋屋バイテック会社 美濃工園
〒501-3772 岐阜県美濃市楓台60-1
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