グンゼ、アパレル事業のサステナブル調達
2022年5月、グンゼ株式会社は中期経営計画「VISION 2030 stage1」を公表し、「社会的価値」と「経済的価値」を両立するサステナブル経営により、社会貢献とグンゼの持続的成長を実現することを宣言しました。 この中で、当社のアパレル事業は、サステナブル経営の視点からさまざまな取り組みを行っています。今回は、その中からサステナブル調達についてご紹介します。
■リサイクルポリウレタンを使用した織ゴムの開発
アパレル業界におけるサステナブルファッションの取り組みは、環境への負荷を軽減し、労働環境を改善することを目的としており、世界的に注目されています。 具体的には、リサイクル素材やオーガニックコットンの使用、廃棄物削減を考慮した製品デザイン、製造過程における水やエネルギーの消費削減などが挙げられます。 このため、多くのアパレルメーカーが、化学物質を使わない天然素材やリサイクル素材の活用や研究に力を入れています。
グンゼでは、天然素材やリサイクル合成繊維を用いた独自の加工技術を駆使し、高品質のミシン糸や産業資材を提供しています。 これまでに、PETボトルから再生したポリエステルのリサイクルミシン糸に加え、リサイクルナイロン糸などを展開してきました。
今回、グンゼが開発したリサイクルポリウレタンを使用した織ゴムは、リサイクル原料の安定供給が難しいことや、バージンポリウレタン繊維と同等の伸縮性を備えた高品質な製品を実現することに苦労しましたが、開発が完了し、ボクサーパンツなどの腰ゴムとして市場投入を進めます。
今後も、再生可能原料の可能性を追求し、環境に配慮した製品づくりを進めてまいります。
リサイクルポリウレタンを使用した織ゴム
■100%サステナブル原料への転換に向けて
グンゼの繊維資材事業部では、お客様のニーズに応えるため、リサイクル原料を使用したサステナブルなミシン糸・腰ゴム等の開発に注力しています。リサイクルポリエステルやリサイクルナイロンについては、近年、供給ルートが整備され、安定した品質の原料を確保できるようになりました。 しかし、ボクサーパンツなどの腰ゴムに使われるリサイクルポリウレタンについては、安定した供給ルートが確立されておらず、まず原料調達に苦労しました。
私たちは、継続的な技術革新を通じて、全世界で均一な品質を実現し、価格面でも既存製品と同等のサステナブル製品の開発を目指しています。 そのため、品質の確保とコスト対応には非常に苦労しましたが、世界5拠点でリサイクル原料に対応できる生産体制が整いました。 今後も経済的合理性を追求しながら、2030年 までに100%サステナブル原料(環境負荷低減原料およびリサイクル原料)への転換を目指し、お客様のニーズに応えた製品開発に取り組んでまいります。
グンゼ繊維資材事業部 部長 石川さん
■バイオマスポリウレタンを採用した環境配慮と着用感を両立した「SABRINA」
グンゼのストッキングメインブランド「SABRINA(サブリナ)」は“強く、やさしく、美しく。” をコンセプトに、当時急速に普及し始めていたゾッキ編み(※1)の新感覚ストッキングとして1995年にデビューしました。 以来、30年近い歴史のなかで計6回のリニューアルを実施してきました。常に「はき心地」と「美しさ」「丈夫さ」にこだわり、その時代にあった究極のスタンダードストッキングであり続けることを目指してきました。 具体的には、脚の引き締めニーズの高まりを受けて、2000年のリニューアル時には着圧機能を搭載したストッキングを追加展開しました。 その後、2009年には景気の先行き不透明感が高まる中、「丈夫さ」へのニーズが年々拡大したことから「伝線しにくい」設計の商品を追加しました。 以降、「伝線しにくい」機能の拡大を進め、現在では全ラインアップを「伝線しにくい」設計に進化させています。
2023年のリニューアルでは、近年の環境意識への高まりに応じるとともに、将来にわたり持続的に供給できる素材への切替えとして環境配慮素材へシフトしました。具体的には、着用感を維持しながら従来よりも更に「丈夫な設計」にすることでコストパフォーマンスのよい満足度の高い製品となるよう開発を進め、主材であるポリウレタンの変更を行いました。また、ロイヤルユーザーを中心とした多くのお客さまに、この先も永きに渡り変わらず「快適な着用感」をお届けするため、石油由来の素材であるポリウレタンのバイオマス化(※2)を図り、環境配慮とストッキングの着用感の永続性を担保することにしました。SABRINAは、その長い歴史の中でニーズの多様化に対応するためのバリエーション拡大や進化で多くのお客さまから支持を受けています。
(※1)ゾッキ編み:サポート糸100%で編まれた生地で、なめらかな肌触りと伸縮性が特徴とされる。
(※2)バイオマス化:再生可能な植物由来の有機資源を利用すること。
「SABRINA」ストッキング
■顧客満足と環境対応を両立するために
2018年のリニューアル時、すでに一部製品にバイオマスタイプのポリウレタンを採用しました。2023年のリニューアルでは、環境配慮型素材への切替えを主目的とし、主力全ラインナップにバイオマスポリウレタンを使用すべく、原糸メーカーと共同で原糸改良に取り組みました。 特に着用感にこだわり、糸加工条件と編立条件を複数組み合わせ、試作1回につき8タイプのストッキングを用意して、測定・試着10回以上繰り返し評価を行うなど、ロイヤルユーザーに納得していただけるレベルの着用感を維持するための応力の合わせ込みを実直に進めました。 この取り組みにより、5年がかりで環境に配慮したバイオマスポリウレタンを採用した商品開発に成功しました。
取引先の定番採用や消費者の購買に環境配慮型の商品であることが寄与してくるのはこれからですが、お客さまからの反応も好調で、今後に期待しています。
アパレルカンパニー 商品企画部 田口さん
■オーガニックコットンを使用した肌がよろこぶスキンウエア「Fitte」
グンゼは、2011年、肌への優しさに特化したインナーブランド「キレイラボ」を立ち上げました。キレイラボは、女性の美しさと快適さを追求した製品を提供することを目的としており、特に肌触りや着心地に配慮していることが特長です。2015年には、さらに進化させるため、肌に優しく美しくかつ一見して特長がすぐにわかる「肌がよろこぶスキンウエア」をコンセプトにリニューアルしました。
「Fitte(フィッテ)」は、2020年に、キレイラボのサブブランドとして、オーガニックコットン生まれのインナーとしてデビューしました。コンセプトは、「人と自然の調和をテーマに、大きく様変わりしつつあるこれからの生活に、地球にも人にも優しく、そしてきっと毎日が楽しくなるインナー」です。身体の変化を感じやすい40代以降の女性をターゲットに誕生したブランドですが、現在は、肌の悩みを持つすべての女性が身に着けると明るい気分になれるような製品づくりを目指しています。カラーにもこだわり、自然からヒントを得たアースカラーを中心に展開しています。2024年秋冬物には、自然が時間をかけて作り出す大地の色をイメージしたライトブラウンを追加し、落ち着きのあるFitteらしいカラーラインアップを用意しました。
このような作り手の想いを皆さまにお伝えするために、EC販売では、手に取ってこの製品の特長を理解していただくことが難しいため、製品の着用写真をわかりやすく見せるための工夫も凝らしています。
このような取り組みの結果、キレイラボのEC販売比率は、2019年時19%から、2023年は37%と高まってきています。
「Fitte」 ブラタンクトップ
■オーガニックコットンを使用した製品開発について
Fitteにオーガニックコットンを採用した理由は、農薬などの厳しい生産条件や、労働者の人権など社会的規範を守って作られた環境や人の健康に配慮した素材ということだけでなく、コットン素材は、吸湿性・通気性の高さから暑い時期でも不快になりにくく、保温性・保湿性の高さから、乾燥しやすい寒い季節にも適しているということからです。
技術面では、綿混でありながら、やさしく身体にフィットするストレッチ性を持たせることに苦労しました。締め付けすぎずにバストラインをキレイにみせるために、何度も試作を繰り返しました。また、Fitteは、できる限り肌に違和感を生じさせないため、使用するパーツの点数も極力減らしています。
そのため、一体型モールドカップの形状や素材とカップのバランス合わせに特に苦労しました。その中でも、パターン作成にはこだわり、モニターの皆さまの声を聞きながら何度もやり直し、最後に満足のできる製品に仕上げられました。
企画段階から、オーガニックコットンを使用していることだけでは、お客さまに満足いただけないことは理解していました。そこで、オーガニックコットン混でありながら、快適なフィット感を実現することにこだわりました。お客さまからも、「肌に優しく着用感が良い」という声を多くいただいております。
これからも、Fitteを着用していただいたお客さまがうれしくなっていただける、製品づくりを続けていきたいと思います。
アパレルカンパニー商品企画部 竹島さん(左)、川崎さん(右)
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