Mixpanel逆転劇の舞台裏ー業界平均の半分ほどに低迷していたNPSを3倍に改善
「Mixpanel」は、ユーザー行動分析によって、コンバージョンや顧客エンゲージメント、リテンションを高めるセルフサービス型のプロダクト分析ツールです。2019年、NPSが業界平均の半分くらいまで落ち込んだ中、プロダクト指標を捉え直すことで、NPSを3倍に改善させることに成功しました。この逆転劇の舞台裏を、Mixpanelのプリンシパル・ソリューション・アーキテクトであるカービー・チュア氏に聞きました。
はじめに
プロダクトのローンチは、旅の最初のステップにすぎないと考えている方は多いはずです。成功している企業は、ローンチ後に適切なプロダクト指標をモニタリングし続ける必要性を理解しています。プロダクトが軌道から外れていないかどうかを確認し、外れている場合には、軌道修正の措置を講じたいと考えているからです。
われわれのプロダクト「Mixpanel」における、2019年の経験をご紹介しましょう。
Mixpanel, Inc.は2009年に設立し、2019年にはプロダクトがしっかりと出来上がっていました。弊社のプロダクトチームは細かな隙間を埋めるべく新機能を着々とリリースし続けており、より多くの顧客を獲得しようとしている状況でした。すべてが順風満帆に進んでいるように見えていたはずです。
しかし残念ながら、そうではありませんでした。NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、B2BのSaaS企業として、われわれが注意深くモニターしている指標です。2019年における「Mixpanel」のNPSは、最善を尽くしたにもかかわらず、わずか15であることが分かりました(B2B SaaS業界の平均は30点)。
これは、何かがおかしいというサインです。その原因を突き止め、すぐに修正しなければなりません。NPSの詳細なコメントを掘り下げてみると、その50%がUXに関するものであることが分かりました。
指標を正しく把握し、ユーザーデータを深掘りする
「この状況を変えるには、どうすればいいのか」。これが問題です。まず始めに気が付いたのは、われわれのコア指標が適切でなかったということです。解約を防ぐために、NPSをコア指標としていましたが、NPSはアウトプットを測定するものです。ユーザーがプロダクトの価値を体験し、それがユーザーの満足と定着につながるためには、どのようなユーザー行動を促す必要があるのかを教えてくれる指標ではありません。
われわれは自社プロダクトの「Mixpanel」を使ってユーザーの行動データを分析しました。その結果、ユーザーは「Mixpanel」で特定の答えを得るために、フィルターを適用したり、クエリを分解したりすること(Mixpanelではこれをセグメンテーションと呼んでいます)が気に入っているようだと気づきました。これを念頭に置き、Learning User Verifiedという新たな指標を定義しました。この定義は、過去1週間に少なくとも3回セグメンテーションを行ったユーザーの数です。このユーザーグループは継続率が通常の3倍であることを発見しました。
プロダクトチームは、この新しい指標に導くユーザーパスを特定するため、データを掘り下げ続けました。また、ユーザーが定着するまでの6段階のファネルを設定し、プロダクトのどの部分を修正すべきかを明確にしました。新規ユーザーオンボーディングの改善やプロダクトUXの改善(2020年だけで合計92回のアップグレード)が加わったのです。
ユーザーオンボーディングの6段階ファネルは、新規ユーザーがプロダクトの価値を体験することに重点をおいています。そしてこれは、重要な指標の理解に役立っています。
軌道修正する
もちろん、これで終わりというわけにはいきません。われわれは、自分たちが軌道に乗っていることを確認するために、指標をモニターし続けました。その結果、2021年1月には、下記を達成することができました。
- NPSスコアが50に改善、1年半で3倍に向上
- アクティベーション・ファネルが3桁も増加
- レビュープラットフォーム(ソーシャルメディアやG2など)において、顧客からのポジティブなコメントが著しく増加
NPSスコアは18か月で大きく改善
以上、正しい指標をモニターし、軌道修正することが、われわれのビジネスにどれほどの好影響を与えたかをお伝えしました。もちろん、この旅はまだまだ続きます。われわれは常に指標を追跡し、データを使って進捗をモニターしています。正しい測定基準を設定する方法を理解し、ユーザーの行動データとツールを活用して測定することが重要なのです。
Mixpanelでは、「プロダクト指標ガイド」を無料公開しています。Eコマース、SaaS、メディア業界での事例をご覧いただけるので、参考にしていただければと思います。
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