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【開発秘話】マラソン歴代アスリートが愛用するメイドインジャパンのスポーツアイウェアとは

著者: 山本光学株式会社

女子マラソンの歴代アスリートの多くが愛用するサングラスブランドがある。

大阪に本社を構える山本光学が展開するアイウェアブランド『SWANS』のサングラスだ。


アスリートに寄り添って開発を続けてきた山本光学の担当者へ製品開発の秘話を聞いた。

山本光学株式会社 スポーツ事業部 山尾 優太郎氏


-陸上競技アスリートをサポートするようになったきっかけとは

その歴史は1992年に遡ります。当時、有森裕子選手が出場する予定の大会では、日差しがきついレースが予想されていました。そこで、日本陸連を通じて当社へ『マラソン競技用』アイウェアの製作依頼をいただいたのです。当時は、スキー等で使用するアイウェアはあったものの、2時間を超えるマラソン競技での使用を想定した製品はありませんでした。


そこで、有森選手へヒアリングを行ったところ、『走る際に路面から来る振動や、疲労などから頭を上下させる際にズレないモデルを』との要望を頂きました。これを実現するため、レンズとフレームを一体化させることで、軽量かつ頭部にフィットするモデルとして開発をスタートしたのが『GULLWING(ガルウィング)』です。


Gullwing(ガルウィング)


有森選手からは、「軽いしズレないし画期的」「まぶしさで眉間や肩回りが力むことがなくなり、疲労が軽減される」と、機能面を高く評価頂きました。さらに、アスリートならではの着眼点だと感じたのが、レース中の集中力を高めてくれるだけでなく、『他人に表情を読まれなくていい』というミラーレンズへの言及。レンズ表面を加工し、光を反射させてまぶしさを抑えるだけでなく、レース中の駆け引きにもアイウェアが果たす役割があるとわかったことは新たな気づきとなりました。


有森選手の活躍を後押しできたことは私たちの大きな喜びです。さらに、『Gullwing』の「軽さ」や「フィット感」は、クロスカントリースキーやトライアスロンなど幅広いスポーツへと広がりました。このことが、当社のその後のスポーツアイウェア開発の基礎となったことは言うまでもありません。


【有森選手プロフィール】

有森 裕子

岡山県出身。就実高→日本体育大学→リクルート。1992年バルセロナ五輪銀メダル、1996年アトランタ五輪銅メダル。2007年に現役を引退。1998年NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」設立、代表理事就任。2002年アスリートのマネジメント会社「RIGHTS.」設立(現・株式会社アニモ所属)。その他、国際オリンピック委員会(IOC) スポーツと活動的社会委員会委員、日本陸上競技連盟理事、スペシャルオリンピックス日本理事長、大学スポーツ協会(UNIVAS)副会長などを務める。2010年、IOC女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞。同年、ロイヤル・モニサラポン勲章大十字(カンボジア)を受章。



有森選手の次にサポートしたのが、野口みずき選手です。

野口選手はストライドが広く、飛び跳ねるような走りが特徴。トップアスリートの一歩一歩の大きな衝撃に耐えうるアイウェアが求められていました。加えて、夕方の西日が非常にきつい条件でのレースでは、疲労軽減・集中力維持のための機能も必須でした。


そこで、走行時の安定した視界の確保と野口選手がストレスなくレースを走れるズレないアイウェアの実現に向け、スペシャルモデル『e-nox α(イーノックス アルファ)』 を開発することになったのです。


e-nox α(イーノックス アルファ)


野口選手の走行時の衝撃に耐えるため、より頭部にフィットしたモデルが求められました。そこで、石膏で製作した野口選手の人頭模型を使ってレンズの大きさやフレームの形状を検証し、設計データを作成。さらに、レンズの下からテンプル(つる)を出し、重心を下げることで、安定性が増した『アンダーテンプルデザイン』を採用しました。この斬新で印象的な「逆さま」デザインは当時大変注目を集め、記憶に残っておられる方も多いかもしれません。


野口選手は2004年、この特徴的な『e-nox α』を着用し、優勝。「跳びの大きな私の走りでもズレず、汗も溜まらないので、快適に走ることができた」と野口選手からも高評価いただきました。そのフィット感から、ゴール直前までサングラスを着用したままだったことが私たちの達成感を倍増したのは言うまでもありません。


続いて、2008年に向けて、新たなモデル『SOU(ソウ)』を開発しました。


SOU(ソウ)


このモデルは、『e-nox α』のコンセプトを継承しつつも、視界の広さやフレーム素材の変更などさらなる進化を遂げました。特徴的な二股に分かれたテンプルは、フィット感の向上という機能と野口選手の2連覇への思いも込められていました。


残念ながら、怪我のため野口選手の出場はかないませんでしたが、国内の「マラソンブーム」もあり、10年を超え、今もなお多くの人に愛用され続けているロングヒット商品となっています。


【野口選手プロフィール】

野口 みずき

三重県出身。宇治山田商高→ワコール→グローバリー→シスメックス。2004年アテネ五輪女子マラソン金メダル、2005年ベルリンマラソンでマークしたフルマラソンのベスト2時間19分12秒は現在もアジア記録&日本記録として残る。2016年に現役を引退。2017年4月から名古屋市の名城公園内にあるランニングステーション「tonarino(トナリノ)」の名誉館長を務める。



-『E-NOX NEURON 20‘』誕生のきっかけとは

きっかけは、「従来のモデルではサイズが大きすぎる」という選手サポートの現場からの声。長年、当社では日本人の頭部寸法を基にした独自の社内基準をベースに製品開発を行っていました。もともと他競技に比べ、陸上選手は小柄・小顔の人が多い傾向がありましたが、現代の若いアスリートは更に小顔化が進んでいるのではないかとの仮説が浮上したのです。そこで、現代のアスリートにフィットする製品開発のため、新たな当社独自の基準を作成することになりました。


実際100名以上のアスリートの頭部サイズを計測したところ、日本人男女の頭部採寸データより小顔化していたことが判明。また、フェイスラインに特徴があることも判明しました。そして、このデータと野口選手モデル『e-nox α』開発の経験が、頬骨にフィットし、走行時のブレを極限まで抑えるフレーム誕生へとつながっていくのです。


『e-nox α』を試着したアスリートが語った感想が「初めてフィットする感覚がわかった」。

まさに「細胞(NEURON)レベルの極限のフィット感”纏う(まとう)アイウェア」として『E-NOX NEURON(イーノックス ニューロン)』が生まれた瞬間でした。


E-NOX NEURON(イーノックス ニューロン)


さらに『E-NOX NEURON』は、進化し続けます。

「視界は最大に広げたい、光の入る隙間はなくしたい」。

同モデルを使用する前田穂南選手らアスリートからの声を製品開発へ取り込み、「さらなる視界への挑戦」として、レンズ上部、左右の面積をさらに広げ、頭部との隙間を減少させる独自のレンズ形状を採用し、光漏れの無い集中できる視界を提供する『E-NOX NEURON 20’(イーノックス ニューロン トゥエンティ)』が誕生します。


E-NOX NEURON 20’ (イーノックス ニューロン トゥエンティ)


着用した選手からは、「軽くて負担もなく、走行時にずれることもありません。集中力を高めてくれると感じます」と性能面で評価いただいているだけでなく、「フレームは好きな白色で、レンズは天候に合わせて使い分けている」と自身のモチベーションにつながる声もいただいています。

勝負の世界で戦うアスリート。機能や性能面は当然のこと、精神的な部分もサポートできるアイウェアとして私たちはこれからも全力でアスリートをサポートしてまいります。


-多くのアスリートをサポートする山本光学のアイウェア開発への想いとは

山本光学株式会社 スポーツ事業部 山尾 優太郎氏


当社は 『ひとりひとりに合わせたアイウェアを開発・提供することで、アスリートのパフォーマンスアップに貢献する。』という目標のもとにサポートを行っています。

アスリートからヒアリングを行う際には、サポート担当者だけでなく開発スタッフも現地へ同行し、選手と直接意見交換を行っています。やはり、選手の感覚・感想をスピーディーかつズレなく開発へフィードバックするためには、こうした「現場主義」が欠かせないと思います。

企画からデザイン、製造に至るまですべて日本国内にこだわっているからこそ、このような『現場主義』での開発ができ、日本人アスリートの声を生かしたアイウェアを生み出せると考えています。


またモノづくりの際の理念として『ユーザーファースト』を掲げています。ここでいう「ユーザー」とは、時にアスリートであり、時に一般のスポーツ愛好者の方々でもあります。常に製品を使っていただく方の目線で考え、「ユーザーの方のためにはどうしたらよいか?」を基準に判断を行っています。


たとえばマラソン競技でアイウェアを考えると、実は一般のランナーの方が過酷な条件となる場合もあります。トップ選手は2時間~2時間半で競技を終えますが、市民マラソンの制限タイムは7時間程度の場合もあります。 着用時間が長く、疲労も蓄積する中でもストレスなく着用し続けていただくための快適さも求められます。トップ選手との開発で培った技術を一般の製品にも落とし込みつつ、使用される状況に応じてさらに進化させていきたいと思っています。


スノーゴーグルやスイミングゴーグルなど他のカテゴリー製品でも同様です。全てのスポーツに関わるユーザーに寄り添った製品開発をこれからも続けていきます。




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