実録 訪問販売会社潜入記 浄水器を売りつけろ! 3 何故か洗剤を実演する編
訪問販売会社潜入記
③ 洗剤の実演 その1
無事台所に到着したら、洗剤の実演を開始する。
この洗剤は餌として十分な効果があった。
なぜかというと、 この洗剤、
本当によく汚れが落ちるのだ。
濃縮タイプで希釈して利用するのだが、1 本で普通の洗剤で換算すれば50 本分程度薄めて利用が出来る。 この洗剤を利用して話を弾ませていくのである。
まず、手持ちの洗剤を台所の水をお借りして、薄めて容器に入れる。
この時に、台所の蛇口をチェックする。
何故か?
私が売る訪問販売の商材。それは浄水器だからだ。
その為、訪問した家の蛇口に浄水器がついてるかどうかは最重要チェック事項なのだ。
蛇口に浄水器がついてなくても、別置きの浄水器を利用している場合がある。
なので、水を借りつつ、台所近辺をよく調べることが重要。
そして、ここで私の営業トークのやる気が決まる。
このチェックの時点で、ここは攻略出来る( 浄水器を買って頂ける)
ここは攻略が難しい
または半々( どっちかよくわからないけど、どちらかといえばいけ
そう)
というある程度の判別が出来るのだ。
まず、攻略の可能性が高いのは、
「蛇口に安い浄水器が取り付けられている場合」
100 均のしょぼい奴から、 カートリッジタイプの数千円から数万円程度のもの。
これらが取り付けられている場合、約50% の確率で売りつけることが出来る自信があった。
なぜかというと、どんな価格帯にせよ浄水器をつけているということは、「水」に関心があり、
なおかつ
・ 水道水はそのままでは使えない
・ 又は飲めない
という考えを持った人だからだ。
これらの人は水の話をすればほぼ関心を持って聞いてくれるし、特に数万円のカートリッジタイプは必ず周期的に交換が必要なため、 カートリッジ交換の値段を年間単位で計算して指摘すると、うちの浄水器と比較したときに簡単に安さをアピール出来るからだ。
しかも、カートリッジタイプには大きな欠点があり、
・ 交換した当初の除去率は99% 程度だが
・ その後使い続ける度にカートリッジは性能が劣化し
・ 交換目安の約半分程度の時期になると、50% 程度の除去率しかない
という。
これは全メーカーのカートリッジにいえることで、
完全に除去したい場合には、
「1 週間単位でカートリッジを替えないと意味がないんですよ」
「でも弊社の浄水器はカートリッジ交換が不要なので、
いつまでたっても除去率は変わりません」
という殺し文句を繰り出せるのだ。
次に攻略の難しい場合
これは、
「別置きの浄水器を置いている場合」
この場合、ほぼ諦めムード。
洗剤の実演だけで終了して帰る。
なぜかというと、
別置きの浄水器を買っているということは、既に何らかの知識をもっていて、自分の信念というか判断にその浄水器を購入しているから。
こういう知識をもった人間の考えを覆させるのは困難で、 なおかつ時間がかかる。
そもそも、別置きの浄水器は値段が高額なモノが多い。
わざわざその高額な浄水器とうちの浄水器を交換する奴はそうそういない。
なので、私の場合、上記に該当した場合には、即刻退却をすることにしていた。
最後に半々の場合
これは
「アルカリイオン水を導入している家」
アルカリイオン水を作り出す機械はそれなりに高く、 攻略が難しいと思われがちだが実はそうでもない。
アルカリイオン水は、ある週刊誌で、
「健康な人間が飲み続けるとよくない」
という記事が掲載され、 その記事の切り抜きをバインダーに入れて持ち歩いているため、
この記事を見せるだけで、その後の反応が大分変わってくる。
ただ記事を見ても信じなかったり、大丈夫とかいうお客もいるので、これは記事を見せたときの反応次第で、 その後のトークの熱のいれようが変わってくる。
話が逸れたが、洗剤の実演の話に戻そう。
洗剤を薄めて、容器に入れたら早速実演を開始する。
この実演。
何を実演するのかというと?
① 汚れているところを探して、
② スプレーを吹きかけ、
③ もってきた雑巾で拭いて綺麗にする。
だけである。
冷蔵庫や換気扇のカバー、 シンク回り等にスプレーを吹きかけ、掃除していく。
よっぽどの汚れでない限り、簡単に汚れが落ちる。
ここで、重要なのは、掃除は念入りに
中途半端に終わらせないで、最後まで綺麗にすること。
ここでポイントを稼ぐのだ。
そして、掃除をしながら、洗剤の特長を説明する。
もくもくと黙って掃除してはいけない。
会話を途切れさせてはいけないのだ。
「この洗剤は、濃縮タイプですので、水で薄めて使います」
「通常、このタイプですと、普通の洗剤約50 本分を作成することが
出来ます」
「またこの洗剤は天然成分しか利用していない為、お肌が荒れませ
ん」
とこんな感じでね。
4 へ続く
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