「夢」か「安定」か? 〜超就職氷河期に二度内定を捨てた話し PART9〜

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さすがはタイムキーパーの大塚さん、しっかりと流れる時間を管理していてくれたのである。「これは一緒のグループにどんな人がいるのかが重要やな。」と僕はその時実感した。


まとめの時間10分間は、みなで出し合った意見に対してあーでもないこーでもないと言いながらカテゴリーを分ける作業をした。前回のディスカッションで富田さんが使った方法を、まるっきりパクって使えるわけでは無いので悩みながら進めていた。


それでも何とか形がまとまって、僕らは次の3つのカテゴリーにわけて発表しようと決めた。


①「インターンシップを受ける前と受けた後のギャップ」

②「インターンシップを受けて学んだこと・気づいたこと」

③「インターンシップの経験をこれからどう活かすのか?」


というカテゴリーに分けることに成功したのだ!!これだけ聞くと「お、ちょっとは出来るようになったじゃないか!」と思われそうだろ??ふふふ、中身は四苦八苦しながらでしたよ。笑


もはやこの時点で全力投球、まだ発表の練習はしていないものの僕の中では「終了」しかけていた・・・っと勝手に終わらせることはできないので、とりあえず僕らは練習することにした。


っとその前に・・・「誰が発表するのか?」をちゃんと決めてないことを思い出した。僕としては発表の練習もしておきたかったので立候補したが、その気持ちは他のみんなも同じだ。誰だってこれから始まる面接やら発表の練習はしておきたいのだ。


ちょうどカテゴリーは3つのポイントに分かれたので、僕は「3人で発表しませんか?」とみんなに聞いてみた。そう、一人ひとつのカテゴリーの内容を発表するという形式だ。この方法であれば最大3人で発表の練習をすることができる。


僕としては前回発表者の竹内くんが立候補すると思っていたものの、意外にも最初に手を挙げたのは奥村くんだった。


「なら、僕も一緒に発表します!」と言ってくれた後、タイムキーパーだった大塚さんも「私も発表したいです!」と立候補してくれて3人が決まった。


そして僕らは誰がどこを発表するのか?どんな風に発表するのか??と話し合った。


最初は書記がまとめてくれた内容をそのまま読んで発表するという形で進めていたのだが、僕の中で「・・・なんか一工夫したいな。」という声が聞こえてきたのである。


天使「そうだ石本!毎回毎回おんなじ形で発表していても進歩がないぞ!何か違った工夫を加えるべきだ!」

悪魔「いんや、そんな出しゃばったことをするでない!まだお前はひよっこなんだから、ひよっこらしく普通に発表してろ。」


また僕の頭の中で天使と悪魔の葛藤があったのだが、今回はすぐに天使のほうが勝つこととなった。それは奥村くんが「何か発表の仕方を変えてみますか?」と言ってくれたおかげだ。


チキンだがこう見えてけっこう企画もんは好きなほうだ。バイト先でも送別会やら忘年会では率先して面白い企画を編み出しては実行するほう。そのパワーを是非とも就活で発揮したいとは常々思っていた。


考えた末に、発表の仕方について僕はこう言った。


「発表の仕方なんですが、3つのポイントをそれぞれ一言で表して紙に書いてみませんか?で、発表者はその紙をみんなに見せながら内容を説明するってどうですか??」


つまりイメージで言えば、少し前にお笑いで流行った「かなしいときー!」みたいな感じで、最初に要約したタイトルだけ見せて、その後に詳しい内容を説明するというものであった。


インターンのディスカッション発表の時もしかり、だいたい発表の仕方なんてどこも一緒なので僕は少し飽きてきた部分もあった。だったら少しくらいちょけても構わないかと思ったのだ。


「それ!面白そうじゃないですか!」と奥村くんはすぐに飛びついてくれて、大塚さんも最初は迷っていたものの「練習の場所ですし、そういうのも良いかもしれませんね!」と言ってくれた。他のグループメンバーも「それは面白そう!」と言って賛同してくれたのである。


こうして僕らのグループの発表はまとまり、小林先生の「じゃあそろそろ終わりにしようか!」という合図でディスカッションの時間は終了した。


「俺らの発表は何番目や??」と内心ドキドキしていたが、1番手は間逃れて4番目という美味しいポジションに決まった。


最初の3グループの発表もそれぞれキレイにまとまっていたが、形式としてはやっぱりみんな同じだった。ディスカッションの内容を時系列にまとめて発表するという形だったのである。


そしてとうとう僕らの番がやってきた。各自、自分が発表するパートのタイトルを書いた紙を持って前へと立った。ちょうど僕の正面に小林先生の顔があるのは勘弁してほしかったが・・・笑


そして「では次のグループどうぞ!」という小林先生の合図があり、僕らの発表が始まった。だいたいどのグループも発表者が1人か2人の中で、僕らは3人もいたので教室のみんなは不思議そうな顔をしていた。


そして更に意表をつくかのように、僕らは話す前に持っていた紙をみんなのほうに広げて見せた。そしてトップバッターの奥村くんから順に発表していったのである。


「僕らがインターンシップを受けて学んだことは、まずは「成長」ということ!それは・・・」


気合いを入れて発表してくれた奥村くんのおかげで場の空気が変わった。聞いていた就活生も少し変わった発表の仕方に興味津々だった。そして奥村くんから大塚さん、そしてトリの僕と順に発表していったのだ。(何気にトリを頂いたのだ!笑)


「以上で僕らの発表を終わります!」と言った時はみんな大きな拍手を送ってくれて、奥のほうでは小林先生も笑顔で拍手してくれた。


「よっしゃー!」またも司会進行を出来ただけでなく、発表の仕方もオリジナルで出来たので僕は満足できた。それに協力してくれた奥村くんと大塚さんのおかげで、色んな案も出すこともできて今までんディスカッションの中で一番満足な結果になったのだ。


その後も各グループの発表が続き、最後のグループが発表した後、再び小林先生が前に立っていた。


「みなさんお疲れさまでした!さすがインターンを経験しただけあって、前回よりも発表の仕方がうまくなっとるやん。途中面白い発表もあったしな。ではここで、どのグループの発表が一番良かったが投票をしたいと思います!」


「おぉ〜!小林先生も面白い企画をしてくれるじゃないですか!」と僕は楽しんでいたが、次の言葉で状況は一変した。


「各グループごとにどこのチームの発表が良かったか一つ決めてもらいます。そして一位になったグループはクラス代表として、午後の全体研修の時にみんなの前で発表してもらうからな〜!」


「なんやてーーーーーーーーーーーー!!」


僕の頭の中で「!」マークが点灯した。何故なら全体研修で発表となると他のクラスも合わせて200人の前での発表になるからだ!そうなってくるとインターンの時の2倍の人数の前で発表することになる。


更に追い討ちをかけるように小林先生は言った。


「ちなみに午後の部ではインターン先の企業の人たちも何人かお見えになります。中には役員や社長の人もいるので、選ばれたグループは元気良く発表お願いしますよ!」


完全に死亡フラグが立った。「役員や社長の人だと!?」別に自分たちが選ばれたわけではないが、万が一選ばれてしまった場合を想像すると僕は恐怖を覚えた。


意気揚々とクラスで発表したのとはわけが違う。これは間違いなく「戦場」になると…


だが、僕らのグループはどちらかと言えばちょけた感じの発表。他のグループが真面目に形式通りの発表をしていたので、まず間違いなくそちらが選ばれるだとうと僕は思った。


「それでは今から多数決式で決めたいと思います!じゃあまずはAグループが良かったと思うチームは?」とさっそく小林先生は演説を始めた。しかし最初のAチームではほとんど手は上がらなかった。

発表が4番手だった僕らはもちろんDチームである。


「じゃあ次はBグループが良かったと思うチームは?」と小林先生は多数決を続けた。しかし、出だしのグループ陣にはあまり手が上がることは無かった。


「一体みんなどこのグループが印象に残ったんやろか…」正直この時点で自分たちのグループは論外だと僕は確信していた。最後に発表したグループが一番キレイな形にまとまっていたので、僕はそのグループが選ばれるだろうと密かに思っていた。


「じゃあCグループが良いと思うところは?」そう言って小林先生の話しは続いた。Cグループのときもそこまで手は上がらず牽制状態、僕は「やっぱり最後のグループに決まりやな!」と一人で納得していた。


そして小林先生が「ならDグループの発表が良かったと思うチームは?」と聞いたとき、僕は衝撃の光景を見た。


なんとクラスの半分以上のチームが一斉に手を挙げていたからだ!!この状態に僕は軽くパニックなり、同じく奥村くんと大塚さん、そしてチームのみんなも驚いていた。


「どうやらこれでこのクラスの代表は決まったな!」小林先生は不敵な笑みを浮かべて言った。


「嘘だろ…冗談きついぜ!!!」と僕は思いながら、まだ状況を飲み込めずにいた。その後も多数決は続いたが、結局DグループGがダントツの一位になってクラス代表チームに任命されたのである。


「そんなバカな・・・」


まさか200人の就活生や企業の人たちの前で発表することなんて無いと思っていたので、完全なる予想外の展開に僕は戸惑っていた。


そして小林先生は僕らのグループを前に立たせて、「それではみなさん、このクラスの代表チームに大きな拍手をお願いします!」と最高最悪のプレッシャーをかけた。


「・・・どないしたらええんやーーー!!」僕はみんなの拍手の音を聞きながら、一人心の中で大パニックになっていた。

(つづく)


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