「夢」か「安定」か? 〜超就職氷河期に二度内定を捨てた話し PART11〜

2 / 2 ページ

前話: 「夢」か「安定」か? 〜超就職氷河期に二度内定を捨てた話し PART10〜

大塚さんも奥村くんの気合いに力をもらったのか、いつも以上に大きな声で発表していた。


2人の発表の中にディスカッションで話したことはほとんど出ていない。「小林先生すいません!」と僕は思いながら、自分も素直な感想を話そうと覚悟していた。


そしてとうとう僕の番が回ってきた。


大塚さんは発表が終わると僕にマイクを渡して「頑張ってね!」と小声で言ってくれた。


僕はそのマイクを受け取ると、教室全体を一度見回した。


目の前には恐ろしいほどの就活生と、後ろのほうには企業の方々の姿も見える。


おそらく重役の人たちも来ているのだろう。白髪混じりでオーラむんむんの人たちも何人かいた。


その光景に圧倒されて頭が真っ白になりかけたが、一つの想いだけはハッキリと心の中にあった。


そして僕はその想いを一番伝えたかったのだ。


クラスのみんなが笑顔で見守ってくれていることに気づき、僕は大きく息を吸って発表を始めた。


「石本良幸と申します!今回私がインターンを体験して学んだことを一つ話したいと思います。


私は今回のインターンでコンサル系の会社に参加しました。そこで初めて社会人の方達や、他の就活生の人たちと話すことができて貴重な体験をたくさんすることができました。


今まで大学の友達としか話したことが無かった私にとって、直接企業の方達のお話を聞けること自体がとても新鮮で、本当に多くのことを学ぶことができました。


そして今回、このディスカッションで一緒に協力してくれたメンバーからも大切なことを学ぶことができました。


それは「出会いの大切さ」ということです。


就活に対しての最初のイメージは「他の就活生と競いながら、自分一人で戦っていく」という印象がありました。


孤独に自分の道を進んでいかなくてはいけないと思っていましたが、今回のインターンやこの研修に参加することで、実はその考え方は間違っていたことに気づきました。


確かに進む道は自分で決めなくてはいけません。でもその道を進むまでには多くの仲間と、アドバイスをくれる社会人の方達がいます。


他の就活生はライバルだと思っていましたが、僕にとっては自分と同じように道を切り開いてく仲間だと気づくことが出来ました。


就活での出会いは一期一会が多いと聞きますが、それでも僕はその一つひとつの出会いを大切にしていこうと思います。


ただ過ぎ去るだけの出会いじゃなく、これからの自分やその人にとってプラスの出会いにしていこうと思います!


以上が僕がインターンに参加して学んだことです。ありがとうございました!」


僕が発表を終えるとクラスのみんなや会場にいる人たちが大きな拍手をしてくれた。


司会の教官の人が「発表ありがとうございました!それでは席にお戻り下さい。」と言ってくれた時、僕は救われたような思いになった。


恥ずかしながら僕の発表はめちゃくちゃだった。ただの感想文になってしまい、起承転結もクソも無かった。それでも不思議と達成感はあった。


張りつめたものが一気に切れたのか、どっと疲れと空腹が僕を襲った。ヘトヘトになりながら舞台を降りた時、前に座っていたクラスのメンバーが「お疲れ!」と笑顔で言いながら、隣のほうを指差していた。


その先には3つだけ席が空いていた。クラスのみんなが僕らの座る席を準備してくれていたのだった。


「発表はめちゃくちゃやったけど自分が言ったことに間違いは無かったな。」僕はそう思いながらみんなが用意してくれた席へと座った。


そして僕にとって初の大舞台は幕を閉じたのである。

(つづく)


ブログもやっているので良かったらどうぞ☆

http://yoshiyuki-ishimoto.com



著者の石本 良幸さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。