ママさんが働きやすい職場を目指したら、素晴らしいものを手に入れた会社

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後編: 「好きな日に働ける会社」にして2年たちました

好きな日に働ける会社

仕事と子育ての両立はどんなに大変だろう。共働きが当たり前の日本なのに、子どもや自分の体調を優先しながら働ける会社があまりに少ないのではないかと思います。まずは自分の足元からと、私が工場長を勤める水産会社で様々な取り組みを始めました。今は14名のパート従業員はフリースケジュールとよんでいる以下の体制で働いています。

・週/月の出勤日数の定めがない。

・面接時に就労時間帯は決める

・出勤、欠勤とも事前連絡の必要はない。

要するに好きな日に出勤すればいいのです。朝起きて気分がのらなければ欠勤できる。子どもの運動会や、友人とのショッピングがキャンセルになれば、「じゃあ仕事に行こう」と切り替えることができる。とにかく会社ではなく、自分の意思で出勤の有無を決めることができるのです。


【2016.4.19 動画での解説追加】

https://youtu.be/xykPg70EPww


オーガニック食品販売、ならば働き方も

どんな会社か簡単に説明します。会社名は(株)パプアニューギニア海産( http://pngebi.greenwebs.net/ )。社長1名、社員2名、パート従業員14名。パプアニューギニア産の冷凍天然海老の輸入・加工・販売を行っており、自社工場では冷凍エビをパックにし、海老フライなどのお惣菜も手造りで作成しています。添加物などを一切使用しないオーガニックな食品のため大量生産ではなく品質で勝負の会社です。社員は月~金曜の8:30~17:30の勤務。パート従業員は全員が上記のフリースケジュールを採用しており、この体制になってから1年が経過しました。自分達では働き方もオーガニックと自信をもっております。


東日本大震災と福島原発事故

2011年3月11日までは宮城県石巻市に本社・工場がありましたが、残念ながら津波で流されました。社長と社員一名は命からがら屋根に逃げ延び、雪の降る中屋根で一晩を過ごしました。そして福島原発事故がおこり、私達は大阪へ避難・移住しました。多くのお客様に支えて頂き、社長、私、男性社員の3名で再スタートとなりました。工場を探し、最低限の機械をそろえましたが、大阪で水産加工のパート従業員を探すのも本当に大変でした。半年以上かかりやっと10数名が働くところまできましたが、人間関係や製造工程などひどい状況でした。まだ20代の若い社員へ工場を任せていましたが、かなりの重圧だったと思います。そして2013年7月に彼は退職しました。私のサポートがもっとしっかりしていればと本当に悔やんでいます。


現場を知らない工場長の挑戦

営業一筋の私が工場長に就任。しかしこれが皮肉にも大きな一つの転機となりました。宮城の時から気になっていたのは、とにかくパート従業員の入れ替わりが激しいこと。入って数週間でやめていく人は数えきれません。私には原因は分かっていませんでしたが、とにかく従業員が「辞めたくない」と思う会社への改革を決意しました。

しかし、現場を知らない工場長ですから事務感覚での指示も多く、戸惑っている従業員も多数いたと思います。数名の退職者も出ましたが、とにかく共に現場で働く中で一本の道筋を作るべく懸命な日々が始まりました。


フリースケジュールへの一歩

まず始めたのは、出勤の曜日を自由にすること。ただし最初は週に3~4日出勤するという決まりごとがありました。今考えると中途半端な感じがしますし、まだまだ従業員を信頼していないなと感じます。しかし当初は画期的な取り組みであり、従業員自身が「会社は大丈夫か」と心配するほどでした。

取り組む中で重要に考たのは、出勤も欠勤も事前連絡の必要をなくすこと。連絡が必要となると、規則上はOKでも、上司の無言のプレッシャーで従業員が泣き寝入りする事例をよく聞きます。もちろん事後報告の書類などもなし。誰に気兼ねなく自分の意思で決定する体制を今なお模索しています。


快適な休憩

そんな取り組みをしていると、気持ちよく働ける方法を常に考えるようになりました。

すぐに考え始めたのは休憩時間をいかに気持ちよく過ごせるか。快適なソファ?自動のお茶くみ機?マッサージ機?いろいろ考えました。しかし、そんなに長時間過ごすわけでもなく、外に気分転換に行く人も多いのでお金がかかる割にメリットが少なすぎる。

そこで考えたのは、「気持よく休憩に入る準備」の変更。これまで12時からの休憩の場合、12時から手や前掛けを洗っていました。時間にすれば数分のことですが、休憩時間が過ぎ去っていく感覚はストレスになります。ちょっと遅い人がいるだけで些細な気持ちのすれ違いが起ります。急ぐあまり衛生的な問題も起きてきます。

変更後は11時55分に作業を終了し、そこからの5分を手洗いなどの時間にしました。休憩時間は今までどおり12時から計算しますので、会社が5分を損をすると考えるか、衛生面や午後への仕事の意欲、従業員同士の関係を考えプラスと考えるかはあなた次第ですが。


とことん話しあう

様々な改革をする中で重要視したのは従業員との面談。工場長である私と1対1で話しあいます。最初は私が話しているだけで、なかなか本心が出てきませんでした。しかし私はお構いなしに自分の考えや想いをそれぞれに伝えました。

全員に話すので何十回と同じ話をするのですが、大勢の中の一人ではなく、あなたに話しているという気持ちが強いので何度話しても新鮮な気持ちでした。

すると少しづつ話してくれるようになりました。そうなると1時間などあっという間に経過します。そこから出てくる本音は作業効率の変革へと繋がり、従業員同士の絆へと繋がっていきました。

そして、面談をふまえた上での全体ミーティングも欠かせません。言うまでもないですが面談もミーティングも就業時間内に行います。従業員にとっては面談での自分の提案が通らなくても、理由さえしっかり説明すれば、意見を交わし問題点を共有するプロセスを重視しているということが分かりました。

こうなると仕事に対してポジティブな考え方が主流となり、自分たちで作り上げていることを実感することで作業効率も品質も明らかに上がっていきました。


進化するフリースケジュール

実はフリースケジュールは信頼関係を気づくためのツールであり結論ではありませんでした。しかし、この象徴的な就業規則がどのように進化を続けているか少しご紹介したいと思います。

みんなの読んで良かった!