〜出逢い前夜〜僕がひとりの女性と出逢い、それまでのドン底から、経営者になって代官山に住むまでの話。

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決断した瞬間、1秒でも早く、会社を抜け出したかった。

成績も悪かった僕は、営業の引き継ぎをするクライアントも皆無だったので、あっという間に、次の営業に担当地区を引き継ぎ、逃げるようにして、会社を辞めた。


ホッとした。心からホッとした。こんなにも開放感があるなら、もっと早く辞めておけばよかったと思えるくらいホッとした。


僕は、次の会社を決めてないまま辞表を出していた。


しかし、

僕なりの考え方があった。


 ・ とにかく、辞表を叩きつけた、超優良企業の同僚たちにはお金では負けたくない

 ・ もう、地味な仕事だけはしない


そこまで、負けたくないなら、会社にいたときから、闘争心を持ってがんばればいいのに、なぜか、辞めてから急に、以前の会社の同僚たちの目が気になってしまった。

そして、朝から晩まで電話したり、客にペコペコ頭を下げる仕事を3年もやって、とにかく、毎日が地味過ぎるサラリーマンに戻りたくなかった。


だから、

僕には、とっておきの戦略があったのだ。


上場企業を辞めて、翌日から、ホストの世界へ


辞めた日の夜、面接に向かった。目指すは、ホスト。しかし、ホストクラブと言えば、“歌舞伎町”なのに、僕は、浅草に向かった。浅草?実は、浅草には4店舗だけだけど、ホストクラブが存在する。


歌舞伎町じゃ、、、勝てない。


これが、浅草という場所を第二の仕事の場所に選んだ理由。

要するに、、、最初から、負け犬根性だった。


そして、浅草のホストという夜の世界にデビューした。

25歳。9.11が勃発する数ヶ月前だった。


全く、売れない。全く、客もいない。給料ゼロ。


完全にホストをなめていた。ある意味、サラリーマン時代よりもキツかった。

完全、歩合制

完全、成績順

完全、売れたヤツが勝ちで、売れないヤツはゴミ以下な世界


僕は、最初からゴミだった。

あきらかに、20歳にもなってないような、見た目クソガキなホスト君から、


 「おい、タバコ買ってこいや。」

 「てめー、やる気あんのか?」

 「売れねーのに、ノロノロ動いてんじゃねーぞ。コラ」


くそ!!!

マジで、ムカついた。心からムカついた。


しかし、僕の心の奥から沸き上がるのは、負けん気エネルギーじゃなく、、、


 俺は、テメーらと違って、大学も出てるし、一流企業にだっていたんだよ。

 バーカ。

 しかも、歌舞伎町じゃなく、浅草の田舎ホストのくせに!


完全に、、、、僕は、終わっていた。

完全に、僕の思考は、腐りきってた。


自分から逃げ出した企業を、こういう時だけ利用し、

歌舞伎町が怖くて、自分から浅草を選択したのに・・・


当時の僕は、そんな腐りきったヤツだった。


サラリーマン時代も、

自分より成績がいいヤツには、

「あいつは、仕事しかねーのかよ、人生、終わってんな。」


自分よりも成績が悪いヤツはごくわずかしか居なかったけど、まるで鬼の首を取ったように、

「あいつ、バカじゃね?恥ずかしくねーのかよ。」


人生、終わっているのは、僕だった。

恥ずかしすぎる人生を送っているのは、紛れも無く僕だった。


しかし、まだ、この時点では、僕は何も気づけてなかった。

そして、、、、


「俺が売れないのは、浅草という二流な場所のせいだ。よし、真剣勝負を歌舞伎町でやろう!」


半年もかからず、全く浅草のホストクラブに成績を残さず、ある日、突然辞めた。


そして、ついに、ホストの聖地、歌舞伎町デビュー!


最初から、歌舞伎町にしておけばよかった。

そうだよ、俺ほどの器の人間は、浅草という地方ホストじゃ

価値に気づけてもらえなかったんだ。

うん、やっと、勝負が出来る!さあ・・・


チーン。。。


歌舞伎町のホストクラブに入って、1日目から、後悔をした。

死ぬほど、後悔をした。この後悔の深さは、海より深く、サラリーマン時代なんて比べられないくらい後悔が深すぎた。


 売れないヤツは、酒を飲んで、飲んで、飲み干して、客に高い酒を入れさせる。


この絶対的なルールにのっとり、

僕は、初日から、浴びるように酒を飲まされた。実は、僕は、ホストクラブに入るまで、ビール1本で酔いつぶれてしまうほど、酒は強くなかった。


しかし、言い訳を言う前に、口を酒が並々入ったグラスによって塞がれた。

グラスの酒がなくなると、すぐにグラスが口元に運ばれてくる。


毎日、店が終わる前には、完全に酔いつぶれ、気づいたら誰も介抱してくれた形跡もなく、裏の汚い床の上に、汚物と一緒に寝ていた。

そんな日々が、毎日だ。毎日。

僕は、それでも歌舞伎町のホストクラブで働き続けた。

ナンバーワンになるためか?

いや、そんな夢はとっくに、僕の中にはなくなっていた。

ただ、ただ、あるのは・・・ ここを辞めたら、僕の人生は完全にジ・エンド。


結局、サラリーマン時代と一緒。

唯一の努力が、『我慢するという努力』。そこからは何も生まれない。

どんなに辛くても、その辛さを打開する努力ができないのだ。

早く、客を見つけて、売れるホストになれば、限界の一切ない、酔いつぶれるまで無理やりさせられるドンペリの一気飲みからは開放されるのに、とにかく、積極的な努力ができないのだ。


 僕は、なにひとつ、自分の“意志”で努力ができない・・・


急に、悲しくなった。止めどなく涙が流れた。しかし、翌日には、またホストクラブに働きに行く。


そんな時だった、風俗嬢と言われる職業の子に出会い、彼女の家に転がり込んだ。

それをきっかけに、あれほど辞めたくても辞められないホストクラブを辞めた。あっけなかった。

そして、僕は、完全にその子に依存した状態の生活になった。俗にいう、、ヒモ状態ってやつだ。


これがまたしんどかった。向こうは、養ってあげている。こっちは、いてやってる。

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