スマートババア

ワンダーグーで、人を待ってた時の出来事。


シルバーの軽自動車から降りてきたオバさん。

花柄のパジャマのような格好に、姿勢は猫背で歩くスピードがとにかく速く、歩き方は恐ろしいほどに変速的で機械的。

なのに年齢的には、全然老人とかでもなく中年。障害者でもない。

なのに、あきらかに様子がおかしい。

店内に入るやいなや、真っ先にトイレへ。

そして、その数分後、奇跡が起こる。

やけに肌けた女がトイレから出てきた。

黒いドレス(いや、ランジェリー?)姿に、ボサボサの髪型、よーく見ると、あのババア!
服装だけ、めっちゃセクシーになっている。

ちなみに靴は白のスニーカー。

え、なぜドレス?!
これからお前は何をする?(昼1時)

「つーか、便所で着替えんなよ。汚ねーから。」と思いつつ、

大量の荷物を手に車へ戻ったババア。

「なんだ、お色直しか。これからどっか行くんだな。」と思いきや、再び店内へ。

そして今度は、猛スピードで化粧品コーナーへ。

まさか!

そう。
化粧品のお試し用を、ランダムに物凄い勢いで顔に付けだした。

化粧のやり方もへったくれもねぇ。「良い物を無料で大量に!」が、このババアの美学だ。

はっきり言って、顔はもうグチャグチャだ。

これには、化粧品コーナーの綺麗なお姉さんもドン引きだ。

お試しては店内を歩きデカい鏡でチェックし、またお試しては店内をウロウロするという、凄まじい行動をするババア。

(ちなみに、靴はまだ白のスニーカー。)

「こんだけ周りの目を気にせずに我が道を行く行動力、きっと何かしらの成功者にちがいない!」

なんせ動きも速い。嫌でも目立つ。

入店してわずか2分たらずで、店内のあのザワつき感。そこらの芸能人よりも、はるかに強烈なオーラを発している。

なのに誰も話せない。
誰も近づけない。

そう。奴には誰も勝てないのだ。

住んでる世界が違うとは、このことだ。

奴は、宝石店の社長か?
美容クリニックの会長か?
石油王?
まさか、地球外生命体?

クソ!気になる!

奴は完全に浮いている。
気付いた客は誰もが二度見。

「こいつ、このあとどうなるんだ? 一体何者なんだ?」

ただでさえ、身が透き通るほどの薄っぺらいドレス。(安達祐実でもここまでは出来ない)

格好だけでも十分に浮いてるにも関わらず、あの動きに、あの行動、なんともスマートなことか。

奴こそ真のスマートババアだ!
時代の最先端を走るカリスマだ!スティーブジョブスなんか敵じゃねぇ!

(ちなみに靴はまだ白のスニーカー)

そんなスマートババア。
最後のシメもやはりスマートだった。

お試し用の香水を大量に体へ吹き掛け、全身へまんべんなくかけると、「やりきった。」かのように店をあとにした。

当然、何も買うことなく。

そんなの当たり前だ。
「良い物を無料で大量に」が、スマートババアの美学である。

車へ戻ったスマートババアは、堂々とした顔でエンジンをかけ、猛スピードで車を走らせ、スマートに左折した。

多分、これからデート?
まさか、婚活パーティー?
いや、もしかしてキャバ嬢?

気になって気になって仕方がない。

こんなに気持ちを揺さぶられたのは、家なき子の最終回以来だ。

僕も、どうやら混乱し過ぎたことで、かなり感情的になってしまった。手は震えてるし文章も支離滅裂だし駄目だ。

申し訳ない。

彼女への想いをグッと噛み締め、今夜は眠る。

この出来事があった一週間後、スティーブジョブスはこの世を去った...





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