趣味で生きていかれるのか・第2回・サラリーマン編

前話: 趣味で食べていかれるのか?
次話: 趣味で生きていかれるのか・第3回・趣味の収支について

さて、書きましょう!

 サラリーマンさんに「趣味で食べていこう」というと、関心があるくせに「自分にはできないよ」となることがほとんどです。

 あら、寂しい。

 どういうことでしょうか?

 まず、趣味で食べている人が居るのか居ないのか、それが特別なのか普通なのか、そこが重要ですね。たとえば「釣り」は趣味ですね。釣りで食べている人がいるのでしょうか? でも、釣り具屋さんは立派な職業ですね。同じ釣りなのに、趣味の人と職業の人が居ます。

 釣りが分かりやすいので、もう少し掘り下げます。

 ブラックバス釣りが非常に人気があって、日本中、どの釣り具屋に行ってもバスの道具がありますよ。これは世界中の話です。

 このブラックバス業界っての面白くて、親子で作ったオリジナルルアーが爆釣で、世界的なヒット商品に、それで大もうけなんてことがたくさんあります。もともと趣味でやっていた釣りなんですが、それが商品になり、会社を設立するくらいになってしまう。

 つまり、趣味で食べている人が存在するし、趣味の市場価値は高いし、いかがでしょう、皆さんは趣味に費やす(晩酌も趣味ですよ!)費用は、少なくないんじゃないでしょうか? ということは、ビジネスチャンスがあるし、馬鹿に出来ないと思いませんか?

サラリーマン病ですよ!

 さて、そうは言っても、脱サラして趣味で生活するなんて、できるのでしょうか?

 と、思った人は、センスがないので脱サラなんてしない方がいいです。どういうことか? まず、お金を稼ぐということが「組織に所属すること」「就職すること」「お金を払う人・組織の下に入ること」だという、奴隷のような(言い過ぎ!)考え方から逃げ出さないと。

 そして、その背景にあるのは、営業してお金(契約)をとってくることが大変なことだと知っている、下請けにはいじめとも思えるほど安くしか支払わない、この2つがサラリーマンの心に染みこんでいるんですね。でも、それは、もともと売れない商品を無理に売る、という組織のジレンマが元にあるんですよね。売れないものを組織という暴力で売る、それが会社であり社会ですね。

 ところが、趣味の世界は、もっとピュアーです。いいものにはお金を惜しまない、それが趣味なんです。人が大借金を抱えるのは、趣味が原因ですよ!

 もちろん、たとえば釣り具メーカーさんや釣り具チェーン店さんは、設備や社員数を抱えていますからサラリーマン化の傾向があることは事実。ピュアーじゃない商品もあります。道具は買い換えてもらわなくちゃいけないので、何年度モデルなんてのがあってファッションみたいに入れ替えがある。これは企業文化・サラリーマンのご都合なので、ちょっと脇に置きましょう。

 でも、趣味って、結論が出るじゃないですか、たとえば釣りなら釣れる釣れない。だから、弱小メーカーや個人でも商売になっている。

 何が言いたいか。

 簡単です、趣味のビジネス市場は、非常に大きいということ。そして、みなさん、日本人であることをラッキーに思ってください。日本には趣味を支える独自の文化が根付いているのです。


お茶やお花、書道に学べ

 お稽古事のシステムをご存じですか? 段や級を与えますが、あれって集金システムですよね。名を与える(名取り)、これもそうですね(名をもらうのにお金を支払う)。師範になる、つまり他人に教える免状をもらう、これも集金システムですね。それに付随して、たとえば日本舞踊では着物を師匠経由で買ったりします。これは流通ですね。

 しかも、このお稽古システムは、基本的には「個人」対「個人」をベースにしています。会社のような分業じゃなですよね。そう、趣味は分業じゃない!

 ちょっと「お茶」の世界をネットで検索してみてください。面白いですよ。元航空機パイロットが師匠になっていたり、などなど、教える人の経歴が、元サラリーマン、元エリートがずらり

 もちろん、これは欺しじゃないです。ちゃんとお稽古のある段階を経て、ある経験と知識、技量を認められて、月謝や指導料をもらうことが許された、ということです。

 ほら、サラリーマンにみなさんには分かりやすいですよね。社内の階級みたいですね。名取り、師範、免許皆伝、そう、サラリーマンの組織にそっくりなんですよ、この肩書きシステム


でも、一番大切なのは意識改革

 さてはて、ここまで、あまり実効性のある話じゃなくて恐縮です。

 今回の話の重要な部分は、サラリーマンさんたちは、心の病気にかかっているということです。皆さんが常識だと思っていることは、会社の常識。社会人の常識というのは、会社組織の常識です。でも、趣味の世界は、そんな常識とはあまり関係がありません。

 みなさんの多くは、きっと、今まで、他人が敷いてきたレールにうまく乗ってきている人生です。自分でゼロから創り上げることは、ほとんどない。会社で新規事業を何件もやったぞ、という人でも、自分のお金じゃない。そんなに新規事業をうまく立ち上げられるなら自己資金で自分でやればいいのに、ってフリーの僕らは思います。でも、やらないでしょ。

 趣味でいきるということは、自分でなんでもやるという心構えで生きてゆく、ということです。分業からの脱出です。もちろん、お稽古システムに乗っかれば、サラリーマン風に趣味で生きてゆくことができます。それも道ですね。

 では、元に戻って、趣味で生きていかれるのか、それを考えましょう。

 それは収支を考えると言うことですね。収入が十分に得られるのか、ということですね。結論を言えば、趣味で食っている人が世の中にはたくさんいるというのが事実。ただし、サラリーマンの中には皆無だということも事実。自分の周りには趣味で食べている人が居ないから、趣味で食えない、と思うのはサラリーマン病です。

 次回は、趣味で生きることの収支の話をします。

 最後に一言、「好きなことで食べてゆくことは辛いこと」とよく言われます。はい、それは失敗した人の言葉です。挫折した人の言葉を参考に生きてゆくのですか?


続きのストーリーはこちら!

趣味で生きていかれるのか・第3回・趣味の収支について

著者の渡辺 健一さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。