パスワード入力という単純作業を大事件に仕立てあげた犯人検挙の話(かんちゃん2 パスワード×アスワード)

前話: カラオケで日本酒を飲み過ぎて失踪した話(かんちゃん1 カラオケ×日本酒×失踪未遂)
次話: マンションの踊り場にゲロ吐いてバレたヤフーな話(かんちゃん3 ゲロ×ヤフー)

僕の以前勤めた会社に、1歳年下で半年先輩という仲のいい社員がいた。

名前を「かんちゃん」という。



※画像はイメージです。かんちゃんではありません。



名前に見覚えがある方もいるかもしれない。

前回のストーリーにも登場した。

かんちゃん1(カラオケ×日本酒×失踪未遂)


かんちゃんは、すごい。

どうすごいかというと、

Tシャツだけ着替えるシチュエーションで、

Tシャツを着替えて、勢い余ってGパンも脱いで、Gパンをバッグにしまってから、

「あ・・・」

と、言い、脱がなくてよいGパンを脱いだうえにバッグにしまったことに気づく。

もちろんそのあと、バッグにしまったGパンを何食わぬ顔で取り出して履く。



かんちゃんは、すごい。

どうすごいかというと、

アメを食べようとしていたときのこと。


1.個包装のアメの袋を破る。


2.アメをゴミ箱に捨てる。


3.アメの袋を口に入れる。


4.それを5~6回噛む。


5.「あ・・・」


6.食べるほうを間違っていたことに気づき、アメの袋を口から取り出し、ゴミ箱に捨てる。



7.ゴミ箱からアメを拾って、気を取り直して口に入れる。


8.「あ・・・きたねっ」


9.どのみち、人として間違っていたことに気づく。


10.「まあいいや」

   口の中から、アメと一緒に口に入った髪の毛を取り出し、気を取り直してアメをなめる。



-こんな具合だ。

そんなかんちゃんが、またやらかしてくれた。


先日、社内のパソコンネットワーク環境の切り替えがあった。

これに当たり、社員にはパソコンにログインする際、パスワードを設定してもらう必要があった。

全員の初期パスワードを、一律【password】に設定してあるから、

これでログインしたあとに自分の好きなパスワードを設定するという作業だ。


作業自体は単純なので、社員各自、初めてで多少戸惑うものの順次設定が済んでいく。


さあ、かんちゃんの登場だ。

かんちゃん
(カタカタ、ターン!)あれ?
かんちゃん
(カタカタ、ターン!)
(カタカタ、ターン!)
んーーー。
かんちゃん
あ!分かった!
かんちゃん
(カタカタ、ターン!!)あれーーー?
にー
かんちゃん、どうしたの?
かんちゃん
初期パスワード入れているのに、ログインできないんよー。
にー
そんなはずないよ。
かんちゃん
いや、だって実際にログインできないし。
にー
【password】の
【o】と【r】を順番間違えるとか、ベタなことやっているんじゃないの?
かんちゃん
んー、もう一回、気をつけてやってみる。
かんちゃん
(カタカタ、ターン!!!)あー、やっぱりダメだ、ログインできないよ、不具合じゃない?
部長
(じぃ〜〜〜)・・・。
部長
かんちゃん、もう一回入力してみて?

隣にいた上司が、この事象を検証すべくかんちゃんに再度入力を命じた。

それに応じてかんちゃんが再度【password】を入力。

部長
(じぃ〜〜〜)・・・。
かんちゃん
(カタカタ、タリラリ!)あ、ほら。
ダメですよねえ。
部長
・・・。
部長
かんちゃん。
部長
はい?
部長
最初の【p】押してないよ。


なんとビックリ、かんちゃんは【p】のうえに指を置いただけで【p】を打った気になり、

何度も【assword】(アスワード/和訳:ケツの穴言葉)でのログインを試みていたのだ。


そして、何度失敗しても、自分が【p】を打っていないことには気づけなかったのだ。

かんちゃんは気を取り直して、【p】をしっかり打ち、ログインを試みる。

かんちゃん
(カタカタ、ターン!!!!!)あれ?
かんちゃん
やっぱりだめだ!
これ、絶対不具合ですよ!
部長
かんちゃん。
かんちゃん
タリラリ?
部長
【o】と【r】逆に打ってるよ。
かんちゃん
嘘だぁ〜〜〜!?

ウソならばログインできている。


こうして20回を超える失敗を経て、かんちゃんは初期パスワード【password】の入力に成功し、無事ログインできた。




〜〜〜この事件の1か月前、別件で新ユーザー用の6件ほどのアカウントの登録を、

今回と同様に初期パスワード【password】でかんちゃんにお願いしたが、

翌日ユーザーに提供したところ、【password】で初期ログインができなかったことがあった。


かんちゃんに初期設定ミスの疑いをかけると、かんちゃんは

「きちんと登録した」の一点張りで事件は闇に埋もれたのだが、

なるほど、これが原因だったのか。〜〜〜




完全に自分の失敗だったにもかかわらず”自分は悪くない顔”で首をかしげるかんちゃんの顔が、

真夏の太陽に照らされて美しかった。


おわり



※ストーリーに面白さを感じていただけましたら、おもしろ体験系で"ギリギリセーフの奮闘記「ゲイのおっさんにお持ち帰りされた話」"というストーリーも投稿しておりますので、そちらもぜひお読みいただければ嬉しいです。

ゲイのおっさんにお持ち帰りされた話



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