バリ島に行って全然リゾートしなかった話
って言うけど、ちょっとはおいしいものも食べたし、マッサージもしてもらった。
でも一番楽しかったのはバイク借りて友達と果てまでツーリングしたこと。
そして、田んぼのあぜ道を果てしなく歩いて、田んぼに片足突っ込んで帰りは裸足でバイク運転したこと。
大学4年の卒業旅行。最後は大勢で行きたい。めちゃくちゃでもいいからとりあえず来れる奴全員集合。
結果10人でバリ島に行くことになった。なぜ、バリ島か。安かったから。
旅はどこに行くか、じゃなくて誰と行くか、はたまたそこで誰と出会うかに尽きると思う。
若者はまだまだ経験も足りないし、でもだからこそその経験を補完してくれるのは人との出会い、その人の思いを知るまでの深いコミュニケーションによる経験値の増大だと思う。
結果から言えば、10人は5日間で相当ちぐはぐな行動をしてた。なんのまとまりもなし。
全員で撮った写真は行き帰りの空港と、中日で行った離島のレジャーのみ。
でも楽しかった。帰りの飛行機は一緒に行った旅行なのに会話が「何してたの?」。
4日目そんなすることもなく、ビーチでぼーっとしてたいくらいしかなかった僕は友達とバイク借りてどっか行こー。果てまで行こうと誘った。最低最高催行人数2人。1人の気分でもなく、こいつと行きたいという気分。
10人の中から早期離脱。
街を離れて、20分。最高の風景が広がっていた。
完全なる地元感。隣には東南アジアでよく見た光景と同じように1つのバイクに4人乗ってるし、トラックの上の子供は死ぬほど笑ってる。こっちが体で笑いを取りに行こうとすると、向こうもこぞってボケ返してくる。
バイクに乗りながら、「俺たち、勝ち組っ」とずっと言っていた。
観光客気分で終わりたくないし、現地の人ともっと旅行客と思われない付き合いをしたい、そんな姿勢で旅に多く出ていた自分にとって、この体験は相当心にしみた。
今までは東南アジア、インド、ヨーロッパぐるっと、アメリカなど、文化を、風を感じるために旅してきた。そこではそれをするのが当然で、1泊100円のところには分けも分からない外人が泊まっているし、オランダではレッドライト(赤窓地区)のど真ん中のホステル取っちゃたし、でもそれが当然の文化的交流だと思っていたから。
リゾートというぬるま湯からのギャップで、そこは刺激に満ちあふれていた。信号に並んでて、バイクをこつんとぶつけられる。ちょっと怒ってみる。すると怒りだす。ってしてるまに青信号。
分け分からないcafeみたいなとこ入ると、日本人なんてそんなとこ来ないから、めっちゃ見られる。めっちゃ見られる。
でもトランプ出したら、子供が寄ってきて、一緒にインディアンポーカーした。
ルール説明こそ、なんとなく理解してくれたが罰ゲームがないと面白くないから店のコーラを10本買った。負けたら一気飲み。そんで、i love you って10回言うってだけ。
あとはもうそんなのお決まりのゲップ。
見本を見せるために仕組んで、自分が負けた。
i love you , i love you , i love you , i loveeEveevvevevevevvev.......
笑ってくれた。お母さんはあまり推奨してない笑いをくれた。こいつら馬鹿だな、そんな笑いだった。
子供も負けると、楽しそうにコーラを飲んだ。そして、i love you というまでもなく、ゲップした。
悔しそうに2本目も飲もうとする。
そんなコミュニケ–ションを取るうち、日本の写真見せてよとケータイを手にとって遊びだした。
まさかこんなに近い距離のコミュニケーションを取れるとは、しかもリゾートで。
その帰り道。夕日が僕らを照らしてくれた。なんともセンチメンタルな気分になる。
その時、僕の後ろに乗ってた友達は今は社会人。
でも、1ヶ月に1回は温泉に誘ってくれるし、そこで5時間くらい話す。
あのとき話したのの続きみたいな話をする。
バリ島でバイクに乗りながら、語った夢みたいな話。
男の友情っていいな。って毎回思う。
旅は人を正直にさせる。あのときのあの場所、風景で語った言葉が実現できるように二人でお互いに恥じない生き方をしていかなきゃと思っている。
だからまたバリ島に行きたいって思う。
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