「ある7月の晴れたさわやかな日のできごと。」⑬
そんな出来事を振り返りながら、今さゆりはベットに入り、手を伸ばそうとしている。
少し弾みをつけてから思い切り手を、宙に浮く白玉に伸ばした。
すると白玉はおとなしくさゆりの手に捕まり、下へとその位置をずらす。
その瞬間、当たりに闇が立ちこめた。
まだ目が慣れるにはしばらく時間がかかる。
いつもならカーテンを開けたままのベット左側の窓から夜空を眺めるが、今日はなんだか眠かった。
まぶたが重い。
何度も目を開こうとするが、その度にまぶたが落ちてくる。
眼輪筋も限界らしい。
さゆりは体のなすがままに目を閉じた。
額に夜風が心地いい。
昼間の喧噪と比べ、外はシンとしている。
さゆりの眠りを妨げるものは何もない。
窓の外では夏の大三角形が強く光を放っていた。
【⑭に続く】
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