明石家さんまと笑福亭鶴瓶

著者: Miyoshi Hirofumi

「ヤングタウン」という大阪の深夜ラジオがあります。 


もうないかもしれません、今は聴けてないですから。




僕は10代は深夜ラジオっ子で、高校生の頃は夜中の3時までラジオを聞きながら過ごすというのが珍しくなかったです。


ヤングタウンは欠かさず聞いていた番組のひとつで、土曜パーソナリティは鶴瓶さんで、日曜がさんまさんでした。


(パーソナリティっていう言葉って今考えると面白いですね。誰が言い始めたんだろう?)





さんまさんは、お笑いでいう落としの天才。


どんな話にでも、オチをつけることができます。それがおそろしく周到に、広範囲に用意されているから、一見相手からは自然に会話に応じているように見えます。


でも、最初の相づちからすでにもう相手を自分の術中に引き込んでいて、最後には必ず面白い話になります。話している相手も、さんまさんなら間違いなく会話が盛り上がるので、リラックスして色んな事を話せますね。


まさに完璧な天才。






対照的なのは、鶴瓶さん。


やっていたのは、どこかの路上に共演者と座り込んで、そこを通り過ぎる 一般人と話をするのを延々収録するスタイル。酔っぱらいや女子高生、フリーターに旅行客、相手はバラバラ。 


鶴瓶さんのトークは、オチをつくるような話しぶりではないように見えます。話の盛り上がりは上がったり下がったりで、特にメリハリもありません。延々とウダウダとゆっくりした感じです。


でも、何だか面白い。ほっこりしたり、バカバカしかったり、熱くなったり。話の流れは全く分からないです。でも、やっぱり何だか面白いですね。








鶴瓶さんは、ある街に突然にノープランで押しかけたり、俳優と即興芝居をしてみたり、つくらない番組の形をやってますね。たぶん、この方が自分の持ち味が生かせると思っているのだろうし、何よりオモロイからやっているんでしょう。そしてつくらないから、相手も相手そのままを出していくし、鶴瓶さんはそれを本質的に尊重しているように思えます。


まさに空っぽな天才。


私はこの2人のパーソナリティの姿勢を拝見しながら、今でもすごいなあと思っています。 

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