遊泳禁止サンプル

著者: Miyoshi Hirofumi

結構いろんな話に使えるなあ、と思って考えているたとえがある。 







田舎にある川。


浅瀬があって、大小の岩があり、昔から地域の憩いの場になっている。


夏には子供たちが水遊びや川釣りをした。




でも、数年に一回は子供がその川で亡くなった。


流されたり、深いところにはまったりして、水死してしまった。


地域は色々な防御策や指導をするのだが、子供はスリルを楽しむので、


大人の目を盗んで危険なことをして、また悲しい事故が起こった。


犠牲者の家族は地域に責任問題を訴えている。




この状況でどうするべきなのか。


二つの選択肢がある。






一つは、川を全面的に遊泳禁止にすること。川べりを立ち入り禁止にする。


それでも危険なことをする子供はいるが、たとえ事故が起きたとしても、


一応の面目は立つことになる。


代わりにまだ安全なプールなどの公共施設の整備をすればよい。




もう一つは、何もしないこと。


これまで通りかそれ以上の防御策や指導は行っていくが、


禁止措置や罰則措置は行わない。


川は地域の共通財産であって、生活や文化教育に欠かせない。


多少のリスクはやむを得ないし、地域で補完していくしかない。




この二つのうち、どちらが正しいのだろう。


命は何物にも代えがたいというのであれば、後者は暴論になる。


犠牲者の遺族のクレームは収まらないかもしれない。




しかし、後者を選べば、地域には川がなくなることになる。


川とともに生きてきた地域性が失われる。


市民には川と親しんでいく自由がなくなってしまう。


それで、いいのか。






川をどうしますか。 


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