偏差値が低いパパと娘の中学受験

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しかも受験日当日に。


夜22時頃、恐る恐るネットを開く。

俺も妻も、そして娘も90%大丈夫って思ってた。

だって、塾の先生も言ってたし。


結果は不合格。


もちろん、普通の合格はもらえている。

でも、うちの家庭は「普通の合格=不合格」

特待は取れなかった。


娘はネットを開く前から「え~落ちてるよ~!」と言っていたが、

本人もそんなことはないと思っていたのか、特待が取れなかったと分かった次の瞬間、

「だよね~!ぜったいそうだと思った~!さーてお風呂入ろ~!」とそそくさとお風呂へ。


数分後、風呂場から号泣している娘の声が聞こえてきた。

嗚咽を漏らし、泣きわめく娘。

そりゃそうだよ。大人たちが寄ってたかって「大丈夫!」って言っちゃったんだもん。

ホントにすまん。。。娘よ。俺の危機感が足りなかった。

ここで切り替えないといけないのが親の仕事。

次の日からのスケジュールを改めて確認し、子供と二人三脚で進まなきゃならない。


しかし、特待が取れない。

偏差値が10以上下の学校ですら特待が取れない。

「B特待」「C特待」はなんとか取ってくる。

そうじゃない。俺と娘はそのために3年間やってきたんじゃない!


そして埼玉入試が終わった。

残すは1校のみ。

都内の国立中学1校のみ。

国立はメジャーだ。大人たちからすると受かれば万々歳なはずだ。

しかし、国立は大学受験を目指した学校ではない。

受験勉強やテクニックは教えてくれない。

どこをゴールとして目標設定するかにもよるが、なんだかんだ言って、

やっぱり大学受験がチェックポイントになる。


フルマラソンで言えば、大学受験なんてまだ半分地点もいかない。

しかし、半分地点をどのペースで通過するのか、1/4地点をどのペースで通過するのか、

それが受験戦争だと思う。

国立は学問をするには最適だと思う。

私立は受験をするには最適だと思う。

みなさんはどちらを選ぶだろうか。


うちは選択の余地はなかった。

全ての学校で合格を取りながら「実質不合格」の我が家は、最後の砦だった。

しかし、偏差値は娘の年間平均より高い学校。

妻も娘も半ば諦め気味だった。

埼玉受験が終わってから娘はひたすら国立の過去問を解いていた。

本当に最後の受験だから。


2/3 国立中学受験日


いよいよ、最後。

たまたま、その学校の門の前に、塾で大好きだった国語の先生が来てくれた。

塾の中でも娘のお気に入りの大好きな先生。

先生が「大丈夫だよ!絶対受かるよ!」って言ってくれた一言で、娘は何かが弾けたのか

大泣きしてしまった。

そりゃそうだよ。これだけのプレッシャーと合格なのに不合格を重ねてきたんだから。


1~2分、先生と立ち話をした娘は今までにない笑顔になっていた。

そして、物凄い自信にあふれた顔立ちで「パパ、行くよ」と言ってきた。


これは親には無理だ。。。3年間、共に戦ってきた先生だから出来ることだ。

娘は颯爽と学校に向かっていった。




そして、合格発表。2/4


時間は18時。学内発表のみ。さすが国立w

そこにいたのは俺だけだった。

娘も妻もいない。

なぜなら二人とも自信がなかったから。

「パパにまかせる!」という言葉だけ連れてきた。


大学講堂にプロジェクターが用意されている。

娘の番号を握りしめ、18時を待つ。。。後5分。


18時になった時、一人の教員がプロジェクターのスイッチを押した。

途端にスクリーンが明るくなり、番号が並んでる。

一切の前置きも、アナウンスもない。


1秒後、会場内は悲鳴なのか、歓喜なのか分からない女子と女性の声が響き渡る。

「121」

え?あった?

いや・・・もう一度手元の番号を見る。

何度も見返す。その間、何秒だか分からないくらいの時間。

長かったのか短かったのか、いまだに思い出せないが、

確かに娘の番号はそこにあった。


「っしゃー!」と黄色い声の中、俺はつい口にしてしまった。

でも、まだ心配でもう1度番号を確認する。

やっぱり間違ってない・・・ない?もう一度見た。


大学講堂から中学校校舎へ合格証をもらいに移動する間に娘に電話した。

「おめでとう」

「えっ!?」

「おめでとう、合格したよ」

「えっっ!?」

「合格だよ」

「え・・・えっ?!」


まぁ、そうなるよね、娘よ。

妻も娘からも歓喜の声は聞こえなかった。




【最後に】


中学受験は悪いこともいいこともある。

でも、子供の成長にはとても良いと思う。

でも、出来るなら特待のみで受験するのは本当にやめた方がいい。

私立中学・高校、6年間で4~500万円。

払うつもりで特待を目指すのはいいと思う。

国立は年間約60万前後。

私立の特待も年間約60~80万前後。


子供に何をさせたいのか、子供が何をしたいのか、

しっかりと話し合って、私立・国立・公立を決めるべき。

私は娘に中学受験をさせた。娘は中学受験をした。

それがベストだったとは言い切れない。

でも選んだ道は全力で歩んできた。

4月から娘は中学2年になる。

日々の授業、宿題、部活に追われながらも「学校が楽しい」と言っている。

中学受験が終わったから言える言葉だろうが、

「子供が楽しんでくれるのがベストだな」と。







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