会社が滅びていく理由・・・50歳になって栄枯盛衰を見てわかったことがある。

企業が生き残れない理由

今年50歳。4年の海外営業経験を経て日本に戻り、起業準備をしている。その中で自分とかかわりあった企業が相次いで倒産、廃業に追い込まれた。経営学云々ではなく自分が見た実直な意見をここに記したい。ここに3社の例(現状倒産していない企業もありますが)を挙げてみました。


F社・・・・海外旅行専門商社

この会社は87年、バブル開始時期に設立され、六本木に本社があった。母体は六本木の有名なモデルエージェンシーで三越や高島屋などが主力顧客だった。当初は麻布あたりのお金持ちの顧客層に支持され売上もどんどん伸びていった。ウリは当時NGとされていた格安航空券だった。この会社は独自の仕入れルートがあり、まだインターネットなどない時代にとにかく安い航空券が手に入る会社として売上が伸びていった。(今で言うHISのようなもの)

92年の暮れに私はトップと喧嘩して会社を去った。そののち私は人材ビジネスで成功を収め、99年にこの会社にお邪魔する機会があった。まだ相変わらず本社は六本木にあったが、不思議に思ったのは、新幹線など国内の

JRの切符などを販売していたことだ。理由を当時の上司に聞くと「いや海外旅行のみでは食べて行けないから仕方がなくやっているのだよ」という返事。当時携帯電話が爆発的に普及しネットもWindows98の時代にあった。顧客がキーワードで検索すれば自由に情報が見れる時代になっていた。格安航空券市場なんて簡単に探せるのだ。それに対してこの会社は、JRや国内線航空券など売り始め、ネットとは縁のない世界、使っている道具(マックやタイプライターなど)もバブル期のまま。しかも驚いたことに、バブル期時代にやっていた顧客への航空券のデリバリサービスをしていたことだった。

時代はEチケットの時代に入ったのにまだ顧客の自宅まで時間とお金をかけて届けて集金していたのだ。振込方法も物流システムも数段進歩したこの時代にあって、まだこんなことをしているのか?

「自社のホームページは作らないのですか?」私が聞いてみた。

「いや我々はPCダメだから、いらない」

本当に大丈夫だろうか?心配していた。そしてあれから1年後の2001年、この会社が倒産したことを友人の知らせで聞いた。


A社・・・・人材派遣(製造系)

この会社は別の人材派遣会社で働いていた時に一種の業界のリーディングカンパニーとして君臨していた。組織も支店が全国に50箇所以上ある大所帯だ。派遣人員数は確か最盛期で1万人を突破していたと思う。人材派遣業界ではベスト5に常にいたと認識している。

私が日本帰国後縁がありこの会社でアルバイトした。単なる採用のお手伝いだ。毎日5~6名面接してスキルシートに状況を書き込む。一瞬単純な仕事に見えたが、40~50歳位の応募者をみると人生の長さからか、いろいろな個人事情を抱えており簡単にNGとか合格とかいうものではなかった。

しかしながらこの会社の採用は「年齢が高い」「顔が暗い」「匂いがする」「主婦は面倒」とかいう理由でいとも簡単に不合格をつけてしまうのだ。年齢とか外観とかどう見ても2次的な要素ではないか?問題は中身だろう。だが「こういう人たちを避けることによりお客側の信頼を勝ち得てきたのだ」と所長が豪語する。私は何か違うなあ、と思いつつその場にいた。


安倍政権のアベノミクスにより少しずつ景気回復すると人材業界は一転して売り手市場に変化した。この会社も一生懸命求人広告を打つが全く人が来ない。人財が枯渇したのだ。正社員で採用されるものは派遣を使わないのは当たり前のことだ。しかしこの会社は従来型手法を全く改めようとしなかった。

日々人材登録会来場者ゼロが続いた。本社から突っつかれ、顧客からクレイ厶殺到し慌てた所長が過去5年間の登録者のリストを私に渡し片っ端から電話をかけるよう指示した。昔の人材リストでしかもこの好景気、焼け石に水だろうと思った。

1千人の登録者リストを何日も電話して、脈がありそうな人材はわずかに3人。まさに「焼け石に水」だった。こんな効果のない仕事を与えなぜもっと画期的な方法を取らない??私は疑問に思った。主婦とか高齢者とか雇える人材は山といるではないか?

所長に「なにか良い方法はないか?」と聞かれたのでこう答えた。

「人材なんて腐るほどいますよ。今使える人材を派遣先に売り込みましょう」

しかし所長もこの企業も自らの考えを改めようとしなかった。私は15年3月末で会社を去った。



NP社・・・日本有数のMLM企業

MLM(マルチレベルマーケティング)なんていうと格好良いが、いうなれば「マルチ商法」だ。私は友人の誘いを断りきれずこのビジネスに入った。この会社は多分日本では5番目に大きいMLM企業で、サプリとか水素水などを主力に販売していた。

この会社が今年(15年)5月に新規会員獲得活動を全面禁止にしたのだ。理由は「消費者センターからのクレイムが殺到し消費者庁からお咎めが入ったためらしい。

要は「このサプリを飲んでガンが治った」という薬事法違反もさることながら「このビジネスで確実に儲かる」と勧誘のために嘘を使うケースが絶え間なかったということらしい。このMLMの商品は1万円以上を毎月1品買い続けなければ会員の権利を剥奪するというものだった。

私は1年くらいこの製品を使い続けた。モノは悪くない。むしろ体にいいのではないかと確信した時期もあった。ただ値段が高い、何を買っても1万円以上する。例えばシャンプーとリンスのセットで1万は冗談でないくらい高いものだと言えるのではないか?


14年4月、消費税率が8%となり、この会社の製品も一斉値上げした。税率分の値上げはしょうがないにしても、値上げ幅がひどく高かった。1万円から1万3千円くらいまで値上げされていたのだ。私はバカバカしくなって5月で会員をやめた。モノはいいにしても会員をここまで愚弄する会社の態度に呆れたのだろう。

そして今年5月の事業停止処分。なんかわかるような気がした。値上げで会員が新規勧誘するにしてもなかなか会員にならないからかなりのむちゃくちゃをしたのだろう。それが消費者センター⇒消費者庁に入り行政指導となったのだと思う。少なくともサプリを飲んでガンは治らない。でもそれくらいの勢いがなければ今のご時世、年間12万円以上取られる会員には簡単にはなれないだろう。

私が中国に詳しいのでこの会社のアップラインがよく「中国の富裕層に売りたい」といっていた。上海に持ち帰りいろいろな層に勧めてみたが100%の人はこういった。

不要了(いらねえよ!)


この3者を見てきて共通することがある。まず

「時代の変化についていけない」

時代が変化し人々の欲求も変わってきているのに会社が依然過去の成功哲学にこだわり、現在を認めないところに問題があると思う。夏から冬になれば服装は変わるのだがまだやせ我慢して夏向けのファッションにこだわる人と同じだ。

「社員や消費者の目線に立てない」

商売がうまくいった時期があるのだろうか?そこから何も変わらない。消費者満足、社員満足を実行出来ない典型的例だと思う。顧客を愚弄する会社に未来はない。今で言うブラック企業と同じだ。

「将来の自分の姿を見据えていない」

これが一番ではないだろうか?今金が必要だ。だから無茶してもあらかた稼ごうぜ、というスタンス。金を稼ぐことはいいことだが稼いで何をするのか、将来どういう自分であるべきか何も考えていない。


会社の全てはトップ次第だ。私も会社のトップでいて過去のこうした失敗事例を肝に据えて頑張っていきたいと思う。

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