【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
9日目…
朝起きて早速、宿のじいさんオススメの女将が始めた屋上ガーデンに行ってみた。
通っていいのか戸惑う程、荷物が無造作置かれた薄暗い階段を上っていくと、
屋上ガーデン→
と書かれている。
通っていいらしい。
僕は扉を開け、屋上に出た。
朝独特の水分を含んだヒンヤリとした空気がとても心地良かった。
屋上ガーデンは、元々女将がガーデニングが趣味で始めたらしいが、
思っていたよりも遥かに本格的だった。
色とりどりの草花がとても美しかった。
そして、この景色。
昨日は夜の到着だったため、全く見ることが出来なかったが、
紅葉を始めた北アルプスが壮大で、思わず、
「すげー」
と声が漏れてしまった。
あんな山を登る人がいるんだから、
そんな人たちはもっとすげーと思った。
朝から良いものが見れた!
見に来て正解だったな!
そう思った。
何より、今日も天気が良い!
今日僕は、何を見て、何に出逢い、何を感じることが出来るんだろう?
1日約25kmの道のりは、体力的に本当にキツイのだが、
そんなことよりも、新しい景色、新しい経験、
新しい感情を知ることが出来るのが嬉しかった。
生きていく答えが見つかる気がして、前へ進みたくて仕方がなかった。
だから、今日も僕は歩く。
前へ進むために。
答えを見付けるために。
弱い自分に勝つために。
今日のゴールは白馬。
そう、長野オリンピックが行われた場所だ。
「ふなきーふなきー」
の場所。
それくらいしか印象はないが、
日本中を湧き上がられせた誰もが
一度は聞いたことがある場所へ行くことに、
どこかワクワクしていた。
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