【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
148号線、千国街道。
日本海までは、この道をひたすら進む。
今日も神様に見守られている。
昔からずっとそこにあって、そこには新しい道も建物も造られない。
神様は、ずっと人々を守ってきていて、
人々もまた、神様を守っていた。
神様は目には見えない。
実際にいるかどうかも分からない。
でも、こうして目に見えるカタチで大昔から残されているということは、
きっといるんだと思う。
誰かが信じている以上、存在しているんだと思う。
そして僕もその一人になった。
神様が守っていてくれていると思ったら、
勇気のいることだって出来てしまう。
たとえ倒れてしまっても、神様が助けてくれると思ったら、
安心して前に進むことが出来る。
自分一人では出し切れない力を、
神様という存在のおかげで出し切ることが出来る。
だから、今日も僕は全力で、
何が待ち受けていようと、一歩を踏み出すことが出来る。
「神様、ありがとう!」
道祖神たちにお辞儀をし、僕はまた、一歩を踏み出した。
おっ!
しばらく歩くと、標識が現れた。
糸魚川まで74km。
もう完全に射程圏内だ。
遥か遠くに思っていた日本海が、
80kmを切った場所にある。
自分の家よりも、日本海に行く方が遥かに近いところまで歩いてきていた。
ゴールが見える位置にまで来ると、さらに力が湧いてくる。
僕は、嬉しくなって、写真を撮った。
これまで、標識や、橋、景色や、面白いもの、あらゆる写真を撮ってきた。
全部自分一人で撮ってきた。
この時、セルフ棒なんてものは無いから、
片手にカメラを持ち、感覚だけで写真を撮っている。
自撮りの技術はかなり上がったと思う。笑
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