【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
何ともナイスなタイミングだと思い、
この桟橋に立ち、一人でムービーを撮った。
「誕生日おめでとう!」
「僕は今、青木湖に来ています!」
的な感じで。
録画を開始し、セリフを言っている途中で、
ケータイが、
「容量が足りません」
となった。
「くそ!こんな思い出いらねー!」
と思いながら、
その場で、過去のいらない写真を削除しまくった。
そして再度ムービーを撮った。
一通り撮り終え、Facebookを通してUPした。
すると、今度は、
「ファイルが大き過ぎます」
となった…。
せっかく撮ったのに送れない…。
ここで諦めてもいいのだが、
僕は諦めなかった。
また再度桟橋に立ち、
新しいテイクを撮った。
多分8テイク目くらい。
桟橋に立ち、一人でブツブツ言っている。
完全に変態だ。
しかし、幸いなことに誰一人いなかったから、良しとしよう。
一人で恥ずかしい思いをしたが、
無事にUPも出来た。
後日、奥さんの友達からの評判も良かったと聞き、
変態だったけど、やっぱり諦めなくて良かったと思う。
一仕事終え、僕はまた歩き出した。
右側の山の斜面を利用し、畑仕事をしている若い人達がいた。
こんな素晴らしい景色を見ながら仕事が出来るなんて、うらやましいと思った。
「仕事」と言うと、
毎日スーツを着て、満員電車に乗り、
お客さんと会い、いつも数字に追われる。
仕事が終わらないからと毎日残業をし、プライベートな時間も無い。
そんなイメージがあった。
実際に僕がそうだったから。
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